ガチャ124回目:新スキルのあれこれ

「次は『騎乗』だけど……。何の役に立つんだ?」

「旦那様、もしかして馬を想像されてますの?」

「え、違うの?」


 『騎乗』って単語から連想できるのは、馬だと思ったんだけど……。


「いえ、違うという事はないですわ。ただこの『騎乗』というスキル、とても万能だという話ですわ。なんでも、跨るタイプの乗り物であるならば、対象に制限がないそうなのです」

「それって……」

「はい。一般的な動物だけでなく、モンスターに乗る事も可能なようですわ」


 聞いたことがある。

 モンスターを操ったり、特殊なスキルで契約して意のままにするスキルがあるって。

 確かとある国にあるダンジョンでは、比較的簡単に手に入れることができて、上流階級の人間や一部冒険者は、モンスターをペットにして連れ歩いているとかなんとか。

 なんともまあ夢のある話だけど、国外への流通は限られてるとか。そしてこの『騎乗』スキルがあれば、どんなモンスターであろうと簡単に乗り回すことも可能であると。

 ……まあ、懐かせたり従わせることが前提になるけど。そういったスキルもガチャで出て来るんだろうか? それとも、宝箱か?


「ご主人様、もちろん相手は動物やモンスターだけに留まりません」

「ん?」

「女性に乗っかることでも効果を発揮します」

「おいメイド」

「いつでも使ってくださいね」


 良い笑顔でアイラが告げた。乗って欲しいのか……?

 時折見せるけど、アイラってMっ気があるというか、強く迫られるのが好きっぽいんだよな……。


「わ、わたくしも……」

「アヤネは真似しなくて良いんだぞ」

「は、はいですわ……」

「おほん、それじゃ次に『二刀流Ⅱ』だけど……。これは多分、純粋な技術力向上かな。まだ直接振るってはいないけど、剣を持つだけでも感覚が研ぎ澄まされていく感じがする」


 弓から切り替えたばかりだっていうのに。本当に狙い澄ましたかのように来るな。


「最後に『真鑑定Lv3』だけど……。これは色々見ていけば変化があるかな? 『真鑑定』」


 目に映る物を手当たり次第に見ていく。

 アヤネやアイラ。彼女達が身に付けている特注の防具に、アヤネの杖。更には足元の草花やダンジョンの壁、ダンジョンの空まで。

 だが、見えている情報に変化はなく、また『魔力』を消費しているであろう感覚だけが虚しく残った。


「何も変わらないな……」

「では、他の物を見てみましょう」

「他って何かあったっけ」

「そうですね、例えば……。お嬢様、ファイアーボールを」

「?? わかりましたわ。ファイアーボール!」


 アヤネがファイアーボールを呼び出し、頭上で停止させる。


「んん?」

「ご主人様、を『真鑑定』してみて下さい」

「魔法を!?」

「はい。人、防具、武器と見て何も変化がないのであれば、次はスキルを視て頂こうかと思いまして。ですが、スキルそのものは目に見えるわけではありませんから、スキルを行使して出現した物であれば可能なのではないかと判断しました。さあさあ、物は試しです」

「どーんと見てくださいまし!」

「……分かったよ、やってみる。『真鑑定』」


 名前:ファイアーボール

 品格:≪通常≫ノーマル

 種別:炎魔法Lv1

 説明:使用する度、魔力を3消費する。術者の知力100毎に同時に使用可能な数が増加する。


「うわ、本当に見れた……」

「凄いですわ旦那様! 今仰った同時使用可能数は、数年前に解明されたばかりの情報ですの!」

「そうなの? 発見に何年も掛かった物が一瞬で読み取れるとなれば、確かに有効なスキルかも」

「はい。このような情報が見れるとは想定外でしたが、このスキルはかなり有用ですね」


 アヤネはファイアーボールをその辺に放り投げると、ワクワクを抑えられない顔で飛びついてきた。


「旦那様! 今度は、旦那様の武技スキルを見てみませんこと?」

「お、そうだな。……じゃあ、『紫電の矢』」


 名前:紫電の矢

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:武技スキル≪弓≫

 説明:使用する度、魔力を200消費する。使用者の腕力、器用、俊敏が威力に上乗せされる。


「消費『魔力』えぐっ!?」

「あの破壊力ですから相当な技だとは思っていましたが、品格もそうですし、納得ですね」

「流石旦那様ですわ~」


 よいしょしてくれるアヤネを撫でつつ、疑問を口にした。


「ところでこの、さっきから出てくる『品格』ってなに?」

「はい。実はスキルや、アーティファクトを始めとしたダンジョンで得られる物には、レア度が存在しているのです。そして、そんなレア度を判別する為のアーティファクトもまた、存在しています」

「へえ」

「ただ、このアーティファクトはそれなりに見つかりはしますが、希少な物であるため、各国の協会本部やオークション会場などにしかありませんので、個人で『品格』を見られるのはご主人様だけかと。また、そのアーティファクトは『品格』を見ることは出来ますが、ご主人様のように対象の効果などの説明を見ることは出来ません。現状判明している効果は全て、研究所やご主人様のような方が検証を重ねた末に発見された物になります」

「そうか……。まあ、そうだよな」


 それにしても、スキルやアイテムにはレア度があったのか。

 いや、そりゃあるだろうなとは思ってたけど、それは人間が勝手に決めた価値であって、ダンジョン側で定められていたとは思わなかった。この前の珍味表記と言い、何かしらの意思は介在していそうだな……。


「……ん? 今、オークション会場にもあるって言った?」

「はい。出品されたスキルなどは漏れなくチェックされ、商品名と共に大々的に周知されていますよ。ご主人様は、微塵も気にされていなかったようですが」

「……はい、まるで気にしてませんでした」


 じゃあ今まで俺が出品してきたスキルも、『品格』が公開されていたのか。

 ……本当に気が付かなかったな。次からは気をつけておこう。


「ご主人様は興味がある事以外、とことん情報をシャットアウトしますね。まあいいです、そこは私達の方でサポートしていきましょう」

「頑張りますわ!」

「よろしくお願いします……。あれ、でもさっきアヤネやアイラの防具を見たときには『品格』が見えなかったんだけど、なんでだろ」

「この特殊服の事ですか? これらはダンジョンからのドロップアイテムではなく、その素材を元に外の世界で作られた物ですからね。『品格』はダンジョン産限定のはずです」

「なるほど。じゃあアイラの武器なら……」


 名称:パラゾニウム

 品格:≪遺産≫レガシー

 武器レベル:49


 名称:ライフスティール

 品格:≪固有≫ユニーク

 武器レベル:43


「すごい事しか分からないな。ちなみに、この品格はどんな種類があるの?」

「はい。上から順番に『幻想ファンタズマ』、『伝説レジェンダリー』、『遺産レガシー』、『固有ユニーク』、『最高エピック』、『希少レア』、『通常ノーマル』となっております。上に行くほど発見数が限られますね」

「おお。格好良いな!」


 じゃあ俺の弓や槍なんかも……。


 名称:魔道弓・カイザーヴェイン

 品格:≪希少≫レア

 武器レベル:38

 説明:使用者の魔力を1消費して魔法の矢を作成する。装備者の腕力と器用にボーナス。


 名称:激流の三叉槍

 品格:≪最高≫エピック

 武器レベル:32

 説明:使用者の魔力を10消費して、武技スキル『激流槍』が使用可能。装備者の腕力にボーナス。


「……ん? カイザーヴェインはレベルが上なのに『品格』が下だな」

「武器レベルというのが、ご主人様でしか見れない情報ですから詳細はわかりかねますが、恐らく攻撃能力の高さを表しているのだと思います。そして『品格』は、備わっている能力で変動します。ですので、武技スキルが付与された事で槍の方が格が上としているのでしょう」

「なるほどねー」


 あと、弓や槍は説明文が見れるけど、アイラのメイン武器は説明が見れない。

 これももしかすると、『真鑑定』のレベルが足りないからかもしれないな。Lv1の時は、カイザーヴェインの説明が見れなかったし。

 うーん、奥が深い。


 そうして色々と検証してみた結果、『炎魔法』や『風魔法』は『通常ノーマル』。

 『泡魔法』は『希少レア』。

 『空間魔法』と『元素魔法』は『最高エピック』であることが分かり、『元素魔法』で使用できる4属性魔法は、通常のと比べて消費魔力が2倍だが、威力は1.5倍であることが判明した。

 覚えるだけ無駄とか思ってごめん。ちょっとデメリットがあるけど、魔力は余りがちだし、ちゃんと有用だったわ。


 それにしても、見える情報が増えるって楽しいな。

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