ガチャ107回目:別荘と交代制パートナー

 アイラはどうやら、皆が買い物に集中できるようにアキとマキが検討していた車の調達と、ペントハウスの契約を済ませてきたらしい。出来るメイドだ……。

 アイラと雑談して時間をつぶそうとするも、彼女達の水着選びにはまだまだ時間がかかるようだったので、彼女に他に必要なものがないか聞いてみることにした。


「第二層はビーチって話だけど、必要な装備とかは無いんだよね?」

「はい。水中の魔物を狩るならまだしも、水辺で遊ぶだけですからね。ただ、そうですね……。一般客の多い場所では着替え場所の混雑が起きる可能性があります。ですがご主人様達ならば、一般客が入れないエリアでも問題はないでしょうし、着替え用の仮テントくらいはあっても良いかもしれませんね」

「テントか」

「あとはビーチパラソルなども、必要と思えるものは買っておきましょうか」

「そうだね。それじゃ、彼女たちはまだ掛かりそうだし、俺たちでパパッと買い物を済ませちゃおうか」

「はい、お供します」

「いや、どちらかというと、買う物をよくわかってない俺がお供する側なんだけど」


 そんな風に話をしながら、俺達は必要になりそうな物を購入していった。

 あと、忘れずにプランターや植木鉢も。今後のためにも、少し多めに。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 買い物を終える頃には、彼女達の水着選びも終わっており合流を果たす。

 そしてレストランで夕食を摂り、スーパーで明日の為のお弁当の材料を購入。そしてそのまま徒歩でペントハウスへと向かった。

 車はどうやら、もうすでにマンションの地下にある駐車場に納品してあるらしいが、このマンション。実はダンジョンから徒歩5分という立地にあった。

 定番デートコースで有名なダンジョンの側ということもあり、こんな場所で賃貸契約するとかなりの高額になるはずだが、俺と彼女達の貯金があれば問題なかったらしい。しかも、賃貸どころか購入だしな……。

 財産管理は完全に彼女達に任せてあるが、貯金は一体いくらあるんだか。


 けど、今後『中級ダンジョン』や『上級ダンジョン』の近くにも同等の別荘を用意しようとすると、流石にお金が足りないだろうな。また適当に、良さげなスキルがあればオークションに出さないとなぁ。『統率』は使っちゃったし。


 そうこう考えているうちに、新たな我が家へと到着した。リビングはベランダ付きの吹き抜けになっており、そこでは周辺の夜景が一望出来た。彼女達はその夜景に目を奪われていたが、俺は別の感想を抱いていた。

 ここなら、例え『黄金の種(大)』から3m級の木が生えようとも、何とかなりそうだったからだ。


 俺は早速、プランターに9つの『黄金の種』を撒き、水滴の魔法を振りかける。そして4つの植木鉢には、それぞれ1つずつ『黄金の種(大)』を植えていく。

 こっちはサイズが約2倍ある訳だし、水の量も2倍で……いや、3倍でいこうかな。


 その後、順番に風呂に入り、就寝直前に俺はアキを部屋に呼んだ。


「な、なあにショウタ君」

「いや、順番的に次はアキかなって」


 その言葉の意味をすぐさま理解したアキに、緊張が走る。


「じゅ、順番って……。あれのこと、よね?」

「うん……。アキとするのは想像つかないけど、マキとアヤネだけしてアキとしないのもそれはそれで無いかなと思ったから」

「ん……。わかった。変なことしないでね」

「そんな度胸ないよ」

「いやいや、そもそも度胸無かったら、普通女の子を部屋に呼ばないでしょ」

「それもそっか」

「ふふ、おかしい」


 そう言ってアキは、ベッドに腰掛ける。


「なにが?」

「んー……。君とこうやって一緒に生活していることかな。ちょっと前までは、想像できないなって」

「確かに。他の3人は、今にして思えば運命的な出会いだったし、なるようになったって感じだけど……。アキだけは付きあい長いからなぁ。全然嫌じゃないんだけど、付き合ってる女性としては、一番実感が湧かないかも」

「んむ。失礼ねー」


 そこからお互い、緊張をごまかすように他愛のない話で盛り上がる。


「ショウタ君、ありがとね」

「なにが?」

「色々と。マキの事もそうだけど、あたしのことも手に取ってくれて」

「……俺の場合、やりたいようにやってるだけだし」

「んふふ、そうだね。ショウタ君は欲望に正直だもんね」


 甘えるようにもたれかかって来るアキの頭を撫でる。


「それから、今日は誘ってくれてありがと。あたしだってね、色々と思うところはあるのよ? ショウタ君と一緒に冒険するのは、楽しいだろうなーって」

「うん」

「けど、あの子を一人にはしておけないの。だから、あの子が前に出ないなら、あたしも一緒に君の帰りを待ってるから」

「わかった」

「あ、けど、嫌々やってるわけじゃないのよ? 今では戦うのと同じくらい、ショウタ君のサポート業務も気に入ってるんだから」

「うん。2人の援護、とっても助かってるよ」

「でしょー? ……あふ」


 アキが可愛らしく欠伸をした。


「そろそろ寝よっか。明日も早いしね」

「う、うん……」


 アキがモジモジとしている。

 ほんと、少し前までは、彼女がこんなに可愛らしくなるなんて思いもしなかったよな。


「おやすみのキスはする?」

「そっ……そんなのしたら、眠れなくなるじゃない」

「ははっ、だよねー」


 横になって寝転がると、アキもそれに倣う。けど、アキは反対側を向いていた。

 顔は見えないが、耳まで赤くなってることは見てとれた。


「……ごめん、恥ずかしいからこれでお願い」

「わかった、後ろから行くよ?」

「うん……」


 アキを後ろから抱きしめる。

 マキやアヤネとは向かい合っていたけど、アキとはこうなるか……。でも、俺もアキとは面と向かって抱き合うのはまだちょっと厳しいかな。緊張して眠れないかも。


「あっ……。なんだか、安心する」

「それはよかった。おやすみアキ」

「うん、おやすみショウタ君」


 明日は第二層で海水浴か……。皆の水着も楽しみだけど、モンスターも楽しみだな……。

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