ガチャ101回目:秘密の共有

 さて、ガチャを回そうにもアヤネの位置がちょっと邪魔だ。

 ゴロゴロと甘えて来てくれるのは嬉しいけど、いつものように膝の上にいられるとガチャ筐体がよく見えない。


 そういえば、彼女達にもそろそろ、ガチャの存在を教えても良いのかもしれないな。

 あの時は危険だと警笛が鳴っていたが、今は大丈夫な気がしているし……。とりあえず確認だけしておこうかな。


「アヤネ、アイラ」

「「はい」」

「2人にもそろそろ、俺の秘密を話そうと思ってるんだけど……良いかな?」

「だ、旦那様……! 宜しいんですの?」

「ああ。2人とも俺の大事な人な訳だし、外部に漏れる心配がないなら伝えても良いかなって」

「はいっ。アヤネ、覚悟は出来ていますわ!」

「ご主人様、私もよろしいのですか?」

「ああ。アイラはもう大丈夫だと思うし……」


 ちらりとアヤネを見ると、彼女は頷いてみせた。

 ふむ。こういう言い方は苦手だが、やってみるか。


「それにお前はもう、俺の物だろ?」

「はい、私の全てはご主人様の物です!」


 アイラはとても嬉しそうに顔を赤らめた。どうやらこれが正解らしい。


「だったら、何も問題はないよな」

「ふふ、その通りですね。では、お話の前に最終チェックをさせて下さい」

「ん?」


 最終チェック?

 俺がそう疑問に思っていると、アヤネは膝から降りてバンザイをした。そしてアイラが、アヤネの身体。そして髪や装備、衣服を1つ1つ丁寧にチェックしていく。アイラが彼女の下着に手を入れた瞬間居た堪れなくなったが、見守った方が良さそうなので耐える事にした。

 それにしても、何をしてるんだろうか。


「ふぅ、終わりました。昨日から確認をしてはいましたが、やはり何もありませんでしたね」

「旦那様の熱い視線、少し恥ずかしかったですわ」

「ご、ごめん……。アイラ、分かるように説明して」

「はい。ご当主様が、余計な物を付けさせていないかをチェックしておりました」

「もう、アイラは心配しすぎですわ。わたくし、あの家からは何も持って来ていませんもの」

「昨日の宅配業者も、不審な点はありませんでしたし……杞憂でしたね」

「……2人が、アヤネのお母さんをどれだけ警戒してるのかは分かったけど、そんなに信用ならない人なの?」


 支部長もリュウさんも、『圧縮』のスキルについて、その人の耳に入らないよう、めちゃくちゃ警戒していた。それほどの人物なんだろうか。


「彼の方の情報収集能力は世界指折りです。あの方の傭兵をしていた私でも、その手段の1割も把握出来ていませんでしたから。気をつけるに越したことはありません」

「そうなのか。……まあ、その辺は任せるよ」


 俺の『直感』では気にする必要がないと告げてはいるけど、これだけの『運』があっても読めない可能性は否定出来ないし、『直感』も結局のところ、俺の経験から導き出されたのようなものだしな。知らない事象には無力だろうし、万能ではないはずだ。

 2人とも俺のためにやってくれてるわけだし、今後も止める必要はないか。


「それじゃ、もう大丈夫かな?」

「はいですわ!」

「お待たせしました」

「うん。まずは俺のスキルなんだけど――」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 アキとマキに説明したように、目の前で実演しながら『レベルガチャ』の出会いから仕組みを説明して行く。

 そして今回のガチャで得られた成果は以下だ。


 出たのは、緑1、紫2、赤6、青1だった。


『R 魔力上昇+12』

『SR 腕力上昇+28』

『SR 頑丈上昇+25』

『SR 頑丈上昇+30』

『SR 俊敏上昇+28』

『SR 魔力上昇+28』

『SR 知力上昇+30』

『SSR スキル:二刀流』

『SSR アイテム:魅了耐性の指輪』

『UR 武技スキル:紫電の矢』


*****

名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:31

腕力:915(+618)(+262)

器用:870(+586)(+249)

頑丈:873(+588)(+250)

俊敏:836(+562)(+239)

魔力:882(+597)(+250)

知力:887(+600)(+254)

運:1502


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv2、鑑定偽装Lv1、自動マッピングⅡ、鷹の目(1/3)、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、剛力Ⅱ(1/3)、怪力Ⅲ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅱ(1/3)、城壁Ⅱ、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流(2/3)、体術Lv2、剣術Lv4、弓術Lv2、暗殺術Lv1、投擲Lv7、元素魔法Lv2、回復魔法Lv1、魔力回復Lv3、魔力譲渡、破壊の叡智、王の威圧Ⅲ、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


トロフィー:ホブゴブリン、黄金蟲

*****


『ボックスの残り20/120』


「なんでこいつは、いつも出るのが一歩遅いんだ……。いや、まあいいか。次からは楽になるし」


 2個目の指輪を装着すると、2人がマジマジと見つめてきた。


「ハートマーク入りの指輪ですわ!」

「他所から見たら、勘違いされそうな指輪ですね」

「あはは、確かに」


 隣には獅子の指輪がハメてあるけど、一体次は何の指輪が出るやら。

 まあどうせ、次に状態異常を喰らってからになりそうだな……。


 そして、次に目を引いたのはこれだな。


「『紫電の矢』か……。弓の武技スキルであることは間違いないだろうが……」

「聞いた事がありませんね。恐らく新発見の武技スキルかと」

「武技スキルは数年前に発見されたばかりの技法ですもの。謎が多いのですわ」

「宝条院家の傭兵チームでも、持っていれば一軍扱いでしたからね。そんな貴重なスキルを、ご主人様は2種類の武器で……。流石でございます」

「はは、ありがと。でも、入手手段がこのスキル経由だから、他の正規手段とは明確に、入手難度に違いがあると思うよ」


 武技スキルを入手して思い出したけど、今回の戦いで、弓を使うのを完全に忘れていたな。

 最初の石ころ投擲の時に、魔法で攻撃を防がれてしまったから、無意識に遠距離攻撃は効かないものだと錯覚してたかもしれない。そう判断してしまった理由に、弓の扱いに慣れていないのもあるだろう。

 経験を積むためにも、もっと頻繁に弓を使っていこう。


「試し撃ちは後でしてみるとして。……アヤネ、アイラ。ひとまずこれが、俺が抱えていた秘密だよ。理解してくれたかな?」

「はいですわ。旦那様の努力が、巡り巡ってやってきた得難い奇跡ということなのですわね……。そんな旦那様を、先輩達は3年間も、陰ながら応援してきたんですのね……。それは、勝てない訳ですわ」

「アヤネ……」

「でも、それは過去の話ですわ。今は先輩達だけでなく、わたくしも旦那様の立派な恋人になれたのです。だから、これから精一杯ご奉仕しますわ」

「ああ、こちらこそよろしくな、アヤネ」


 いつもならここで、アヤネは飛び込んでくるんだけど、今回は違った。

 少しモジモジとしてみせたあと、ゆっくりと顔を近づけて、頬にキスをしてくれた。そんないじらしい彼女に、俺もお返しとして、おでこに返してあげた。


 そうしてアイラは、何事かずっと考えていたようだけど、腑に落ちたのかスッキリとした顔をしていた。


「今までご主人様は、日を追うごとにとんでもないスピードで強くなっておられました。その秘密はスキルにあるとは踏んでいましたが、まさかここまで途方もないスキルがあったとは。これはご主人様が血が滲むような努力の果てに発見された、奇跡の賜物です。これは誰かが、横から盗んで行っていいような代物ではありません。この秘密を暴こうとする輩は、私が全力で排除しましょう」

「アイラもありがと。奪われたりしないように、もっと力をつけていこう。俺も、アヤネもアイラもね」

「「はい!」」


 改めて2人を抱きしめ、一息入れた俺は立ち上がった。


「さあ、一旦戻ろうか。彼女達も心配してるだろうし」

「わたくし、お腹ぺこぺこですわ~」

「ふふ、重労働なデートでしたね」

「うぐっ」


 そうだった。今日のコレ、一応デートだった……!

 結構長い時間、彼女達を放置している状態だ。食事の為の休憩だけじゃなくて、もう少しゆっくりと過ごすべきだよな。

 ……2時間くらいでいいかな?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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