ガチャ091回目:新居へ

 結局、弓の練習は200ちょっとで抑えて、俺達はバスに乗って帰宅した。

 新しい武器の出現と試し撃ちに、アドレナリンが止めどなく溢れて、最初はテンション高かった俺も、途中からは意識を失って寝こけていたらしい。

 やっぱり、慣れない戦いは緊張と疲労をもたらすんだな。


 そうしてバスの到着と共に起こされた俺は、ギルドではなく、別の場所に到着している事を知った。

 そう、恋人達が探して用意してくれた、俺達の新しい家だ。


 外からは二階建ての一軒家としか分からなかったが、入ってみれば想像以上に広かった。まあ、俺の住んでた手狭なアパートと、100平米の5LDKじゃ、比べるまでもないか。

 俺の部屋は主寝室だそうで、2階の一番奥。恋人達はその隣室となり、アイラは1階だ。俺には特に私物もなにもないので、部屋にあるのは備え付けの家具と、今朝買って送ってもらっていたプランターだけだ。

 『黄金の種』も、協会経由でこの家に直接送ってもらってあるので、手元にある。


 恋人達は自室の荷物整理や夕食作りで忙しいらしい。手伝おうかとも思ったが、ゆっくりして欲しいと言われた以上部屋でのんびりすることにした。


「まずは、この種を植えてみるか」


 何が出てくるか分からないが、まあ危険な物は出ないだろう。

 俺は園芸用の土を満遍なくプランターに注ぎ入れ、種を均等に配置する。そして水に関しては匙加減が分からないので、とりあえず普通の水ではなく、『水魔法』の初期から使える『水滴』の魔法を3滴ずつ与えてみる事にした。もしも、明日以降様子を見て、なんの変化も無いようならば、ウォーターボールをまるごと1個入れてみよう。


 『黄金の種』からは何が出るかと色々と妄想をしている内に、1階から賑やかな声が聞こえてきた。料理でもしてるのだろうか。俺も、今の内にガチャを回すとしますかね。


 20回連続か……。何が出るかね。

 ポチポチッと。


『ジャララ、ジャララララ!』


 出てきたのは緑2、紫4、赤11、青3だった。


『R 器用上昇+12』

『R 魔力上昇+15』

『R 知力上昇+15』

『SR 腕力上昇+28』

『SR 器用上昇+25』

『SR 器用上昇+28』x2

『SR 器用上昇+30』

『SR 頑丈上昇+28』

『SR 俊敏上昇+28』

『SR 知力上昇+25』

『SR 魔力上昇+18、知力上昇+18』

『SR スキル:投擲Lv1』

『SR スキル:投擲Lv1』

『SSR 魔力上昇+50、知力上昇+50』

『SSR スキル:弓術Lv1』

『SSR スキル:二刀流』

『SSR スキル:魔力回復Lv1』

『UR スキル:真鑑定Lv1』

『UR スキル:鷹の目』


*****

名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:2

腕力:595(+590)

器用:591(+586)

頑丈:538(+533)

俊敏:539(+534)

魔力:560(+557)

知力:573(+570)

運:1364


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv2、鑑定偽装Lv1、自動マッピングⅡ、鷹の目(1/3)、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv2、剛力Ⅱ(1/3)、怪力Ⅲ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅱ(1/3)、城壁Ⅱ、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流(1/3)、体術Lv2、剣術Lv4、弓術Lv2、暗殺術Lv1、投擲Lv7、元素魔法Lv2、回復魔法Lv1、魔力回復Lv3、魔力譲渡、破壊の叡智、王の威圧Ⅲ、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣


トロフィー:ホブゴブリン、黄金蟲

*****


『ボックスの残り30/120』


 ふむ……。

 まずはステータスだけど、アイラもダンジョンじゃないし、『統率』の意識は外してるみたいだな。20連のお陰で多少はマシになったけど、それでも、『エンペラーゴブリン』を相手に安全に再戦出来るかと言われると、ちょっと悩ましい。

 『魔道弓』を使った新戦術がもし噛み合えば楽できるかもしれないけど、『上級ダンジョン』で遊ぶにはやっぱりまだ、地力が足りてない気がするんだよな。

 アイラ並み、とまではいかなくても、せめて『統率』無しで4桁か、その手前くらいまでは行っておきたいよな。


 次に、『魔力回復』が出て来てくれたのは素直に嬉しいんだが、ここでガチャでは初めての『弓術』が出たか……。通常ドロップと組み合わせても問題ない事が分かったのは僥倖だが、やろうと思えば取れる部類のスキルが『SSR』で出てきてしまうと、なんとも言えない感じがするよな……。

 いや、嬉しいといえば嬉しいんだけどさ。


 最後に、一番気になっている『真鑑定』だよな。これのレベル1だけでも、武器の強さがある程度わかったんだ。

 それが2に上がった事で、見れる情報が増えているはず。


「『真鑑定』」


 名称:魔道弓・カイザーヴェイン

 武器レベル:38

 説明:使用者の魔力を1消費して魔法の矢を作成する。装備者の腕力と器用にボーナス。


「おお……!」


 今見れた情報だけでもかなり有用性が高い。まず、魔力消費がたったの1!

 しかも、『魔力回復』のスキルは、15秒ごとにレベルに応じた数値分魔力が回復するので、今のスキルレベルならば5秒に1回の射撃間隔であれば、実質消費無しという事だ。

 それに、初めてこの武器を手に取った時の高揚感。やっぱり、ステータスに影響のある武器だったのか。


「一体どれだけの……あれ?」


 持った状態でステータスを確認してみたが、ステータス表記に変化は無かった。


「もしかして、『真鑑定』のレベルが足りないせいで、武器によるボーナスが見えないのか……?」


 うーん、奥が深いな。


 そうして俺は、休む事も忘れて、食事の呼び出しがかかるまでずっと、今後の戦術について思案するのだった。

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