ガチャ089回目:大量取得
さてと、宝箱は最後に取っておくとして、まずはスキルの扱いから考えるか。
雑魚からのスキルドロップは全部使っちゃったから、『キングゴブリン』からの『剛力』『怪力』『鉄壁』『城壁』『破壊の叡智』『王の威圧』。そして『エンペラーゴブリン』からの『剛力Ⅱ』『怪力Ⅱ』『鉄壁Ⅱ』『城壁Ⅱ』『剣術Lv1』『王の威圧Ⅲ』『統率Ⅲ』。
俺の手持ちで該当するスキルとしては『剛力Ⅱ』『怪力Ⅲ』『鉄壁(2/3)』『統率』『剣術Lv3』だ。
『剛力Ⅱ』と『鉄壁』、『鉄壁Ⅱ』。あとは『城壁Ⅱ』と『剣術Lv1』を使って、と。『統率Ⅲ』はどうしようかな……。うーん……。
「アイラ」
「はい」
「『統率Ⅲ』、覚えてくれるか?」
「承知しました」
ひとまずは、俺のパワーアップを優先させよう。
全体的な戦力アップをするなら俺が取得するべきなんだろうけど、レアモンスターを含め、モンスターのトドメは俺の役目だからな。
「マキ、『破壊の叡智』ってなに?」
「何かを壊すことに対して、不思議なパワーアップボーナスが得られるスキルです。アヤネちゃんが持っている『魔導の叡智』と似た、非常に珍しいスキルです」
「なるほど。これって剣での攻撃も対象になるのかな?」
「研究室の検証によると、一定の効果が見込まれるようです」
「じゃあこれも覚えて……。『王の威圧』って?」
「叫んだり、気合を込めると相手が怯んでくれるスキルね。絶対に怯むわけじゃなくて、何らかの条件があるみたいだけど、そこはよく分かっていないわねー」
と、後ろにいたアキが答えてくれる。
とすると、『キングゴブリン』戦でスタンした原因はコレか。『エンペラーゴブリン』も叫んでたけど、あれは仲間を呼ぶ効果と共に、スタン効果もあったのかもしれない。
……あの時、ガチャでこの指輪が出て無かったら、確実にやられてたな。『金剛外装Ⅱ』があるとはいえ、あれは無限に使えるスキルじゃない。『魔力』が尽きれば使用できないし、最悪吐き気に襲われて戦いどころじゃなくなるだろう。
そんな凶悪なスタン効果を相手に強いるスキルか。
使いこなせるかは分からないけど、覚えて損は無いだろう。
「じゃあ、『Ⅲ』だけ使うか」
よし、だいぶ消費したな。
残りは『剛力』『怪力』『怪力Ⅱ』『城壁』『王の威圧』の5つか。
「アイラ、『剛力』『怪力Ⅱ』『城壁』を覚えて」
「承知しました」
「それで、無印の『王の威圧』だけど、効果が不明瞭な点が多いなら、研究所に回しておこうか」
「あ、ショウタさん。実はもうこのスキルは、研究所から検証不可と判断されてるみたいです。なので、出品に回しませんか?」
「そうなの? じゃあ、『怪力』と合わせてオークションに出品しようか。ついでに、この王冠もね」
「はい、わかりました」
宝石も何も入ってない黄金の王冠。アクセサリーとしてはちょっと大きすぎるし、ゴブリンからのドロップというのを考えると、彼女達にプレゼントするのも気が引けるんだよね。
「あ、じゃあついでに普通のゴブリンが落とした装備品や魔石も処理しとこっか。アイラさん、こっちに全部出しちゃってー」
「承知しました」
アイラは部屋の隅に、ドバドバと装備を袋から取り出した。その数100ちょっと。剣や大剣、鎧など。様々な種類の『鉄』や『鋼鉄』、または革装備が、乱雑に積み重なっていく。
「おお、凄まじい数じゃな。ではワシは工房に買い取りの連絡をしておこう」
「お願いします。ではショウタさん、片付けますのでちょっと待っててくださいね」
「うん」
アイテムの処理及び、鋼鉄装備の査定が進む様子を、俺はのんびりと眺めていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……さん。ショウタさん」
「……んぁ?」
頭を上げると、マキが心配そうに顔を覗かせていた。
「あれ……寝てた?」
「はい、20分ほどですが……。やっぱりお疲れみたいですし、今日は早めに帰りましょう。それと、明日は完全にお休みにしませんか?」
「ん……そうだね。そうしようか」
まさか寝落ちするとは。どうやら、思っていた以上に消耗しているらしい。
思い返してみれば、今まで激戦と呼べるような戦いは、『マーダーラビット』くらいなもので、他は単調な作業の延長線だった。
それが、今日は『キングゴブリン』に加え、格上の『エンペラーゴブリン』。更には雑魚戦すら気が抜けない戦いだったし、今までの作業染みた戦いとはあまりにも違い過ぎた。
一般的な上位の冒険者は、いつもこんな戦いをしてるんだろうか。……休みなくダンジョンに通い続ける俺が、異端視される理由もちょっとわかったような気がする。
俺にはまだ、『上級ダンジョン』は早すぎたかもな。
「アマチ少年、帰りのバスを準備しておる。安心しなさい」
「リュウさん……。ありがとうございます」
「じゃが! その前に、宝箱を開けてみんか? ワシは気になって仕方がない!」
「あれ、まだ開けてなかったんですか?」
てっきり、俺が寝てる間にもう見終わっているかとばかり……。
「何を言っておるんじゃ。こういうのは発見者が開けるべきなんじゃぞ。それに、宝箱を開ける瞬間まで中身はわからん。もしかすると、お主以外が開けたら残念な結果になるやもしれんぞ?」
「む……。それは、嫌だな」
となれば、ガチャは帰ってからゆっくりするとして、『運』だけは振っておくか。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:82
腕力:842(+562)(+195)
器用:713(+463)(+165)
頑丈:767(+505)(+177)
俊敏:769(+506)(+178)
魔力:725(+474)(+168)
知力:709(+462)(+164)
運:1364
スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv1、鑑定偽装Lv1、自動マッピングⅡ、鷹の目、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv2、剛力Ⅱ(1/3)、怪力Ⅲ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅱ(1/3)、城壁Ⅱ、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流、体術Lv2、剣術Lv4、弓術Lv1、暗殺術Lv1、投擲Lv5、元素魔法Lv2、回復魔法Lv1、魔力回復Lv2、魔力譲渡、破壊の叡智、王の威圧Ⅲ、スキル圧縮
武技スキル:紅蓮剣
トロフィー:ホブゴブリン、黄金蟲
*****
「……ん? ステータスがやたらと増えてると思ったら、アイラの『統率Ⅲ』の効果か。どうやら3割増しみたいだな」
「「3割!?」」
「1割だけでも破格なのに……凄いですね」
「このスキルが出回れば、より一層ダンジョン攻略が捗るのう……! しかし、落とす相手が相手か……」
「しばらくは、遠慮願いたいですね」
俺には『上級ダンジョン』は早いと考えたばかりだ。『統率Ⅲ』がいかに有用でも、安定して倒すには俺の能力をもっと磨く必要がある。なんせ、レベル18が82に成長するくらいだ。せめて、今の40消費ガチャは回しきっておきたいな。
次の消費が60か80かは分からないが、今の状態で何度も狩れる相手じゃない。
「それじゃ、まず銀色の方から開けるね」
全員が見守る中、銀色のふたを掴む。
特にカギなんてものはないので、持ち上げれば「ぱかっ」と簡単に開いた。
「スキルオーブが2つ。内容は……『算術』??」
え、『算術』?
これ、『キングゴブリン』が出した箱だよな??
その中身が、『算術』??
もしかして、アイツが馬鹿だから、わざわざスキルで『算術』を覚えないと計算できないとか、そういう事じゃないだろうな……??
「ほぉ、『算術』か」
「また珍しいスキルが出たわね」
「え、そうなの? 『算術』だよ?」
「はい、ダンジョン攻略には使えないかもしれませんが、このスキルがあると、頭の中に自動で計算してくれる電卓が存在するような感じになって、ちょっと便利になるんです。なので、どんな計算でも一瞬で暗算出来てしまいます」
「わお。チートだ。でも、本当に使いそうにないな……。それじゃあ2人にあげるね」
「良いんですか!? ありがとうございます!」
「これ、ほんっとに出回らないスキルなの! ありがとうショウタ君!」
まあ、明らかに非戦闘向けのスキルだもんね。ナンプレとかなら爆速で解けてしまいそうだ。それに、ダンジョンのモンスターが直接ドロップしている光景を想像出来ないや……。
喜んでくれたから良しとして、次は本命の金の箱だ。
「さーて、こいつの中身は何かな……?」
相変わらず、力を掛けずとも簡単に開いた。
それで、中にあったのは……。
暗闇だった。
「え、空っぽ?」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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