ガチャ086回目:『運』の反作用

「はー、手強かったー……」


 俺はその場に座り込むと、タイマーを起動して見守る事にした。

 今までの感じからして、最低でも10分は掛るだろうか。……アイラなら知ってるかな。


「お疲れさまでした、ご主人様」

「ああ、アイラもお疲れ。なあ、アイラはこいつの消失時間知ってるか?」

「はい。確か12分ほどだったかと」


 流石にレベル30を超えてくると、消失までの時間の伸びは緩やかになるんだな。


「なら、その間は暇になる訳か。……今のうちに回しておくか」


 今ガチャを回さなきゃいけない訳ではない。回そうと思った事にも、深い理由はない。

 ただ、この集落から離れて安全地帯に移動する間も戦闘は挟むだろう。となれば、経験値が勿体ないことになるだろう。58と18では、ここのモンスター相手でレベルアップ出来る経験値は天地の差がある。

 だからレベルを減らしておくに越したことはない。俺は、謎の焦燥感を理解できず、そう考える事にした。


「アイラ、ちょっとスキルを見直す。雑魚が湧いたら任せていいか」

「お任せを」

「それじゃ、今回の狩りで出たスキルオーブ出してもらえる?」

「はい、こちらに」


 アイラが並べたスキルオーブは、以下の通りだった。


 『剛力』4個。

 『俊足』4個。

 『弓術Lv1』1個。

 『回復魔法Lv1』1個。

 『炎魔法Lv1』1個。

 『鉄壁』3個。

 『統率』0個。


 『剛力』『俊足』『鉄壁』のスキルに関しては、討伐数がそこまでじゃないにもかかわらず、ヒルズウルフと比べても、随分と出が良い。

 もしかすると、ここのダンジョンのドロップ率は高いのかもしれないな。個体のレベルも高い上に、かなりの大集団で襲ってくるからな。その分ボーナスがあるのかもしれない。


 反面、Lv付きや『統率』に関しては、能力の上がりやすさもあってか出が悪いようだ。


 ひとまず『剛力』は『圧縮』で『剛力Ⅱ』にして取得。『俊足』は『圧縮』で『俊足Ⅱ』にして保管。あと2つで『Ⅲ』に出来るな。

 『弓術Lv1』『回復魔法Lv1』『炎魔法Lv1』はそのまま取得。しかし、『元素魔法』がある為か『炎魔法Lv1』は取得出来ずリストには反映しなかった。

 最後に『鉄壁』は3つ連続使用して『鉄壁(2/3)』にしておいた。


 各スキルの検証もしたいが、今はそれよりも時間が惜しい。

 周囲の警戒は引き続きアイラに任せ、『レベルガチャ』を起動した。


『ジャララ、ジャララララ!』


 出てきたのは緑1、紫2、赤5、青2だった。


『R 腕力上昇+12』

『R 知力上昇+12』

『SR 腕力上昇+25』x2

『SR 器用上昇+25』

『SR 魔力上昇+16、知力上昇+16』

『SR スキル:投擲Lv1』

『SSR スキル:予知』

『SSR アイテム:スタン耐性の指輪』

『UR スキル:元素魔法Lv1』


*****

名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:18

腕力:642(+562)(+59)

器用:533(+463)(+49)

頑丈:579(+505)(+53)

俊敏:580(+506)(+53)

魔力:543(+474)(+50)

知力:530(+462)(+49)

運:1236


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv1、鑑定偽装Lv1、自動マッピングⅡ、鷹の目、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv2、剛力Ⅱ、怪力Ⅲ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁(2/3)、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流、体術Lv2、剣術Lv3、弓術Lv1、暗殺術Lv1、投擲Lv5、元素魔法Lv2、回復魔法Lv1、魔力回復Lv2、魔力譲渡、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣


トロフィー:ホブゴブリン、黄金蟲

*****


 『炎魔法Lv1』の再取得は叶わなかったが、ガチャで『元素魔法Lv1』が出てくれたのはありがたいな。1のままだと使用出来る魔法の種類が貧弱すぎた。

 改めて魔法をイメージすると、使用できる物として各種属性の壁が作れるようだ。

 炎の壁、水の壁、風の壁、土の壁。……使いどころとしては、ゴブリンの群れが来た時の分断だろうか? 次の雑魚戦で試してみよう。


 次に『予知Ⅱ』になってくれた。これは大きい。無印の時ですらこのスキルに何度助けられたことか。『Ⅱ』になったことで効果がどれだけ上がっているか、期待できるな。


 そして最後に、アイテムがついに出た。

 何が来るのか期待していたが、まさか装備品が出るとは。しかも、効果をみるに、ついさっきやられた奴なのでは??

 少し遅いが、逆に1度喰らったからこそ、ありがたみが分かるというものか。この耐性とやらがどの程度のものか確認する必要があるな。……とりあえず、人差し指に着けておくか。


 指輪をよく見ると、獅子のレリーフが刻まれていた。うん。格好良いな、これ。

 あ、そうだ。


「アイラ、この指輪、見える?」

「……はい、視えます。この様な装飾品をお持ちだったのですか?」

「いや……。これは内緒ごとだから、またいつかな」

「承知しました」


 ガチャ産のアイテムはちゃんと実体を持つ、と。


 さて、そろそろタイマーが10分を超える頃合いか……。

 立ち上がり、周囲の確認をする。雑魚モンスターはアイラが掃討を続けてくれているので、この集落での安全は確保され続けている。いつもこの時間は次が出るかどうかというハラハラしているのだが、今の俺は無性に嫌な予感がしていた。

 これもまた『直感』の1つか? 1体目のレアモンスターの時点で苦戦したんだ。当たって欲しくない勘だが……。


 そう思っている俺をあざ笑うかのように、目の前で煙が


 どうやら、大人しく帰してはくれないらしい。


「アイラ、次が来るぞ!」


 俺は抜刀し、その時を待った。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る