ガチャ077回目:『俊足』祭り開催
アイラに武器を返却した俺は、狩りを再開する事にした。
「さて、それじゃあウルフ狩りといきますか。アイラ、気を付ける事はある?」
「常に2~5の群れを作って動いています。また、スキルの使用頻度も高く、時折加速するので注意が必要です。ただし、『迅速』と同じく直線以外には減速が必要になる点は同じなのと、出せる速度は一定です。そこに気を付ければ問題ないかと」
「了解。俺はウルフ相手は初見だから、危なそうだと判断したら、数を減らしてくれると助かる」
「承知しました」
そうして俺達は、丘陵地帯へと足を踏み入れた。
目視が難しいが、この丘陵地帯、どうにも中央にクレーターのようなくぼみがあり、そこを中心に群れが形成されているように思う。予想通りであれば、そこにレアモンスターが湧きそうではあるんだが……。
けど、マップ情報を見る限り、そこにもモンスターは普通にいるんだよな。
嫌な事を考えると、今回のレアモンスターは、雑魚と一緒に戦う事になるかもしれないな。
「まずはあの3匹だな」
道中拾った『鉄のナイフ』を使い、モンスターを釣り出してみる。
「おりゃっ」
『ギャンッ!』
『鉄のナイフ』は吸い込まれるようにヒルズウルフの眉間に吸い込まれ、一撃で煙になった。
『グルルルッ』
『ガウッ! ガウッ!』
近くにいたヒルズウルフ2匹が、俺に向かって駆け出すが、やはり遅い。
『マーダーラビット』の『迅速』に比べれば、その速度には天地の差があるな。簡単に目で追える速度だ。飛び掛かり攻撃を仕掛けるヒルズウルフの移動先に、剣を置くようにすれば勝手に煙になっていく。1匹2匹と順番に処理すれば、戦いは簡単に終わった。
「お見事です、ご主人様」
いつの間にやらドロップ品を回収し終えたアイラが隣に立っていた。
その手には『俊足』のスキルオーブがあった。
「お、もう出たのか。『運』が1000はあるから、ドロップ率も10%くらいなんだけどな」
いや、今は1100だから11%か? ……うーん、誤差だな。
「幸先良いのは喜ばしい事ですね」
「ああ。それじゃ、『俊足』は4つ使うから、5つ目から7つ目まではアイラが使ってくれ。それで『俊足Ⅱ』にして構わないから」
「感謝します、ご主人様」
そうして、特に大きなトラブルもなく、ヒルズウルフの連続100匹狩りは、順調に進んで行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そして、5匹の群れの3匹目を撃破した際、それは現れた。
レアモンスター出現の兆候だ。
「おっ」
それを見た俺は、慌てずに残りの2匹を切り捨てる。
今まで試した事は無かったが……。今追加で倒した2匹のモンスターだが、すぐに煙になった事から、既に出現しているレアモンスターの煙には、何ら影響は与えないのかもしれないな。
あとはこの後、98匹で済むのか、また100匹必要なのかも試してみるか。
そして煙は、想像通りクレーターの中心地に辿り着くと、膨張を開始した。
「アイラ、ヒルズウルフのレアモンスター、他のダンジョンで発見報告はある?」
「はい、ございます」
「同名同種だったら教えてね」
「はい」
煙の中から、ヒルズウルフより一回り大きな狼が現れた。
*****
名前:ボスウルフ
レベル:23
腕力:150
器用:270
頑丈:110
俊敏:250
魔力:300
知力:150
運:なし
装備:なし
スキル:迅速、統率
ドロップ:ボスウルフの牙、ボスウルフの毛皮
魔石:中
*****
レベルは『マーダーラビット』と『ジェネラルゴブリン』の中間といったところだが、魔石が中である以上、明らかに『ジェネラルゴブリン』よりは弱いな。
特に『腕力』と『頑丈』の低さは、『黄金蟲』の半分程度しかない。
『ワオオーン!!』
『グルル』
『ガウッ!』
『ガウガウッ!!』
『ボスウルフ』の咆哮により、クレーター周辺に湧いていたヒルズウルフが集まってきた。
「うわ、マジかよ」
一応このクレーターを中心に狩りをしていたおかげか、集まったヒルズウルフの数は少なく7、8体しかいない。まだ全てリポップしきっていないようだが……。それでも、完全に囲まれている。
これが本体のステータスが低い理由か。今までのレアモンスターはソロだったが、こいつはチームプレイで襲ってくるタイプか!
「レベルやスキルは異なりますが、行動パターンや名前、見た目は同一ですね」
「なるほど。他でもこんな厄介な奴なのか」
だがあいにく、今の俺は1人じゃない。頼れる仲間がいるんだ。
「アイラ、ヒルズウルフを頼めるか」
「お任せを」
仲間がいると助かるね。
さて、やるか!
「『俊足Ⅱ』」
『グルッ!?』
『マーダーラビット』に毛が生えた程度の相手だ。今更この程度に、後れを取る事は無い。
『ガウッ!!』
『ボスウルフ』は大きな牙で喰らいつこうとしてくるが、難なく回避し余裕をもってカウンターを入れる。
「遅いっての!」
『斬ッ!』
『ギャンッ!?』
相手のレベルが高い事もあって、『腕力』ブーストなしの舐めプでは、さすがに一撃とまではいかなかったが、瀕死の重傷を負わせることが出来た。
「とどめっ!」
そこに追撃を入れる事で、『ボスウルフ』は煙となった。
【レベルアップ】
【レベルが9から30に上昇しました】
難なくレアモンスターを倒した俺は、やたらと静かになったことに違和感を覚えた。
「アイラは……」
「こちらに」
心配してアイラの姿を探すが、どうやら杞憂だったようだ。彼女はすぐ近くに控えていた。
10にも満たないヒルズウルフ程度では、アイラの足止めすらできない訳だ。全て煙へと変わっている。
まあ、ドロップはないわけだけど。
「流石だね」
「ご主人様こそ」
お互いを労い合った所で、改めて煙を見る。
レベルの高い相手だったし、煙が消えるのに10分くらいだろうか。
カウントが進むタイマーを眺めながら、俺達は少し離れたところで様子を見る事にした。
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