ガチャ064回目:レベルガチャの不思議
背後に、いつものカプセルトイマシーンが現れた。どうやら、目の前に机があって出現位置がずれたらしい。こういう事もあるんだな。
俺は改めて筐体に手を置いて、彼女達を見た。しかし、彼女達は怪訝な顔だ。
「……? ショウタさん?」
「そこに何かあるの?」
「え、見えないの!?」
2人は顔を見合わせ、頷いた。
これは冗談を言っている顔ではない。本当に見えていないらしい。
「俺が、物に体重を預けてるのはわかるよね?」
「はい……」
「パントマイムしてるわけじゃないわよね?」
「そんな器用な事は……」
このステータスとスキルなら出来ない事も無いだろうけど、今は置いといて……。
「手、借りるよ」
そういって2人の手を持って、触れさせる。
一応、触れることは出来るみたいだ。
「触れるのに見えない? なら、他の人にも見えないのなら、収穫と言えば収穫だけど……」
「ねえショウタ君、秘密のコレって、何か名前あるの?」
「ん? 『レベルガチャ』だけど」
「『レベルガチャ』……。!? うわ、いきなり出てきた!」
「「え?」」
アキがペタペタと筐体に触れる。
「マキも言ってみなさい」
「『レベルガチャ』? ……わ、出ました。私にも見えました!」
「スキル名を知らないと見えない?? 本当に不思議なスキルだな、お前は……」
彼女達は興味津々で筐体をペタペタしている。なんだかその様子が微笑ましい。
「あれ、でもここだけ変。見えない壁があるみたい」
「ほんとですね。ショウタさんのスキルだからでしょうか」
そう言う2人の手は「10回ガチャ」へと伸びていた。いや、伸ばそうとしていたが、ギリギリ届いていない。俺のスキルで、中身も俺用にカスタマイズされてるから、他者は触れられないのか……?
「これも、誤って見えていない他人から……更には『運』の低い人に押されでもしたら、たまったもんじゃないからだな。この仕様も助かるが……アキ。好奇心強すぎ」
「ご、ごめんね……」
「いや、良いよ。結果的に無害だと分かったから」
ショボくれるアキを撫でてあげるとすぐに復活した。
「にひひ」
「これが、ショウタさんの秘密なんですね。レベルを消費して、アイテム……それからスキルも獲得されてますね?」
「うん、そうだよ」
「すごい……。これなら本当に、世間に知れ渡れば常識がひっくり返ります」
「ステータス増強した状態で毎回レベル1からやり直せるんでしょ? 超効率的に成長できるじゃん。ショウタ君が頑なにレベルだけ見せてくれない理由がよくわかったよ。ね、今のレベルっていくつ?」
「41」
「回せるギリギリ! あはは、流石ショウタ君」
「ショウタさん、今まで出てきた物を教えて貰って良いですか? 安全のためにもメモは取りません。全て記憶します」
「ええ? そんな無茶な」
「もうショウタ君、マキはそれくらい出来ちゃうわよ。何て言ったって、あたしの妹だからね!」
自慢げに胸を張るアキと、褒められて嬉しそうなマキを撫でつつ、覚えている限りの情報を伝えた。
「……はい。大雑把にですが把握しました。『SR』はダンジョン探索における基本的技能。『SSR』は超人的な技能。『UR』は前人未踏の技能のようです。『UR』はまだ回数が少ない為特定はできませんが、大体あっていると思います。この出現の優先度は、私達にとっての価値や発見のしやすさは関係なさそうですね」
「うん、それは俺も思ってた。『SSR』で数億する『予知』と数百万の魔法が混在してるからね」
本当にマキは頭が良いんだな。
一通り思い出すように伝えただけなのに、彼女の中ではもう整理がついているんだろう。
「ねえねえ、それも良いけどさ、実際に使ってみてよ。ショウタ君もそのつもりだったんでしょ?」
「ああ、そうだね。じゃあ回すよ」
「楽しみです!」
2人が見守る中「10回ガチャ」を押す。
『ジャララ、ジャララララ!』
出てきたのは紫2、赤4、青4だった。
『R 腕力上昇+12』
『R 器用上昇+12』
『R 魔力上昇+10』
『R 知力上昇+12』
『SR 俊敏上昇+25』x2
『SR スキル:自動マッピング』
『SR スキル:投擲Lv1』
『SSR 知力上昇+70』
『SSR スキル:体術Lv1』
演出音やカプセルにワクワクしている彼女達に、俺はカプセルを開いて中身を見せた。
「中身はこんな感じで……ん?」
「また見えないです……」
「んー?? ショウタ君、ちなみにそこにあるのは何?」
「えっと、『魔力上昇+10』だね」
「『魔力上昇+10』! ……うん、ダメだね。変わんないや」
「ええーっ!?」
その後も、ガチャから出た物を確認してもらったが、スキルオーブ含めて何も見れないし触れないようだった。中身に関しても、他者が手を出せないようになっているのか。「10回ガチャ」ボタンと同じく、徹底してるな。
けど、『SSR』以上で出るようになったという、通常アイテムはどうなんだろう?
誰にでも視認出来る物なのか、それとも他と同様、俺限定のアイテムになるのか。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:1
腕力:347(+343)
器用:303(+299)
頑丈:401(+397)
俊敏:390(+386)
魔力:314(+312)
知力:355(+353)
運:802
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv5、鑑定妨害Lv5、自動マッピング(2/3)、鷹の目、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv1、怪力Ⅱ(1/3)、金剛力Ⅱ、迅速Ⅱ、金剛壁Ⅱ、統率、予知(1/3)、二刀流、体術Lv2、剣術Lv1、投擲Lv4、元素魔法Lv1、魔力回復Lv2、魔力譲渡、スキル圧縮
トロフィー:黄金蟲
*****
「まあ、とにかく。ガチャから出た増強アイテムもスキルオーブも、本人専用ってことね」
「最初は高額な増強アイテム、売れないか考えた時があったんだけど、どうやら出来なさそうだ」
「もしも、誰にも見えない物を売ろうとしてたら、頭の心配されるところだったよ?」
「だよね……」
やらなくて良かった。
「ね、ね。それよりさ、このスキルって、やっぱりスライムが出したの?」
「うん、じゃあ次はその辺りの話をしようか」
「わ、気になります!」
そうして俺は、外に人を待たせていることも忘れて、地獄のような苦行の3年間を語った。
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今日も2話です。(2/2)
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