ガチャ050回目:総決算のお時間です

ヒロインの外見にあまり触れていなかったので、3話と4話に追記済。

アキ:ポニテ

マキ:ショートボブ


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 俺のステータスとスキルを見た2人は、最初こそ驚いたが、すぐに受け入れて再び腕に抱き着いてきた。


「これで、安心してくれた?」

「はい。今のショウタさんなら、初心者ダンジョンの中層でも、問題なく戦っていけますよ!」

「どうしてこんな急成長を遂げたのかは気になるけど、それよりもあんな化け物を倒せた事に、今ようやく納得出来たわ」


 俺がどれだけ強くなったかわかってくれたようだ。これなら、多少の事では心配させないで済むかな。


「アマチ君」

「あ、はい支部長」


 ん? 支部長、なんだか柔らかくなった?


「まだヨウコちゃんから、事の顛末が届いていないんだけど、ハートダンジョンで何が起きたのか教えてくれるかしら」

「わかりました」


 やっぱり、さっきの反応からして、支部長の俺の強さはのまま止まっていたみたいだな。

 俺が昨日……正確にいえば今日か。激闘の末に倒した『黄金蟲(強化体)』のステータスを知っていれば、あそこまで固まる事は無かったはずだ。

 支部長とハナさんに、昨日の事を教える。


「強くなったレアモンスターですって? それは確かに、報告書にまとめるにも時間がかかるわね。昨日は会議が中途半端に終わってしまったから、今日改めて会議が行われる予定だったのよ。恐らくその時に共有があるんでしょうね」


 なるほど。


「そして、あの子のレアモンスターの扱いは流石ね。あえて触れずに、近寄らないのは正解だわ。綿毛虫のドロップは高額であることは有名だけど、それと同時にドロップが渋い事も有名だもの。それでも訪れる冒険者はいるだろうけど、そういった対処には彼女達も慣れてるだろうし……。経営に問題は無さそうね」

「それで、報酬の件なんですけど」

「免除の話ね。わかったわ、好きにオークションに出しなさい。ただし、あの子の方にもどういったアイテムを売りに出すかは伝えておきたいから、今後ハートダンジョン産の物を出す際は私にも連絡をしなさい」

「了解です。では早速なんですけど」


 そう言って、俺は昨日集めたアイテムをテーブルに並べた。


 『極小魔石』370個。

 『大魔石』5個。

 『特大魔石』1個。


 『綿毛虫の玉糸』330個。

 『黄金の種』21個。

 『黄金の盃』6個。


 スキルオーブ『金剛力』2個。

 スキルオーブ『金剛壁』2個。

 スキルオーブ『金剛外装』2個。


「……本当に、頭のおかしくなる量ね」

「すごいわショウタさん」


 支部長は頭を抱え、ハナさんは小さく拍手してくれた。

 これでも、半分以上捨てたけどね。


「マキ、査定を頼めるかな」

「はい。まずは魔石の査定からしますね。『極小魔石』単価200円で、7万4000円。『大魔石』単価5万円で25万円。『特大魔石』単価30万円になりますので、合わせて62万4000円です」

「魔石だけでこんなに稼げるのはショウタ君くらいね」


 『ホブゴブリン』や『マーダーラビット』から落ちる『中魔石』は単価1万だったけど、その上となるとやっぱり相応の値段がするんだな。


「ふふ、そうですね。続けて『綿毛虫の玉糸』ですが、ショウタさんと相談した結果、10個単位を3つ、100個単位を3つで、それぞれ競売に出します。単品でも中々出回らないので、まとまった方が高く売れるかもしれません。とりあえず、それぞれ10倍と100倍で出して見て、様子見しましょう」


 単価が3万の計算だから、30万が3つと、300万が3つか。

 うん、中々だな。


「それと『黄金の種』ですが、なにか発芽するかもしれませんし、ショウタさんの家で、育ててみるそうです。なので、こちらの出品は保留になりました」

「改めて聞くけど、大丈夫なの?」

「まあ、悪いようになる気はしないから、様子見かな」

「私はショウタさんの判断に従います」

「大きくなったら見せてねー」

「もちろん」


 お世話の仕方はよくわからないけど、とりあえず3個ほど植木鉢に植えてみて、1日1回水をあげてみるかな。


「次に『黄金の盃』ですが……」

「飾る趣味はないので、まずは1個だけ出品して、様子見で」

「はい。では1個50万で、様子見で出しておきましょう」


 これが単一品なら価値はあるんだろうけど、倒せば倒すだけドロップする物だしな……。


「ちょっと待って。出品する前に、変な効果が付随していないか確認しておく必要があるわ。アマチ君、この盃を1つ、アイテム研究所に買い取らせても良いかしら」

「研究所ですか。俺も興味あるんで、お願いします。マキ、とりあえず出品は、研究室からの報告待ちで」

「承知しました」


 アイテムの仕分けはこんなものか。

 そして次に、大トリのスキルオーブだ。


「まずは『金剛力』からですね。ショウタさんが使用して自ら検証したところ、効果としては以下の物でした」


 効果時間30分00秒。再使用60分。効果中腕力約2.5倍。効果終了後、5分間『腕力』のみ80%にまでパワーダウン。


「継続して戦う上ではこの反動が大きいですが、長期戦をする冒険者は少ない事と、休みを入れれば長い時間強化出来ることは強みです。『怪力』以上の効果が長期間続く以上、価格は8000万から出して見ようと思います」

「あらマキ、随分弱気な設定ね」

「今回は2つも同時に出品ですから。それに、最初の2つに比べれば最後のスキルは破格ですし、言わば前座ですね」


 この2つの性能は高いが、それでも『金剛外装』の万能さには劣るだろう。

 なぜなら、2つのスキルは前衛向けだが、『金剛外装』は万人向けの無敵スキルだ。用途は計り知れない。


「続いて『金剛壁』です。こちらのスキルの効果は、『金剛力』の『腕力』が『頑丈』に置き換わったようなものらしいです。『頑丈』系スキルの三次スキルですが、総じて安価であることから鑑みて、1000万からにしておきましょう」


 マキが言うには、『頑丈』系の一次スキルは200万、二次スキルは500万らしい。『怪力』とはえらい違いだ。


「最後に、データベースにない完全新規のスキル『金剛外装』ですね。こちらは破格の性能をしていまして、ショウタさんが実験したところ、『消費魔力50。次の攻撃を1度だけ無効にする』というとんでもないものだと判明しました」

「無効化スキルですって!?」

「ひとまず、1つ3億で出品しましょう。こちらも、2つ同時に出品してしまって問題ないかと」

「了解したわ。次のオークションは明日に控えているし、丁度良いわね。また人が集まるわよ」


 支部長に聞いたところ、オークションは4日置きに開催されているらしい。しかも、俺達が参加しているのは全国規模の物ではなく、日本の中で4つに区分された、地域ごとに開催されている内の1つなのだそうだ。

 そしてオークションは、4つの地域が順番に開催されているらしく、猛者ともなれば複数のオークションに毎日顔を出しているのだとか。

 想像以上に大規模かつ、結構な頻度で開催されているんだな。


「それで、この無効化スキルだけど、どの程度まで無効に出来るのかしら」

「アキの回し蹴り、俺の投石、俺の攻撃。とりあえずこの3つは完全に防ぎましたね」

「回し蹴り……?」


 支部長の冷めた視線がアキに注がれたが、本人は知らんぷりだ。


「そう……。アマチ君の攻撃を弾くなら、相当量の効果があるわね。完全無効化かどうかは不明でも、注釈として『腕力』300程度の冒険者の攻撃に対して、無効化を確認済み。としておくわ。これで下手なケチはつかないでしょう」


 そのようにして、支部長は率先して、オークションの出品物に対して細かなアドバイスをしてくれた。

 味方だと思うと、急に頼もしくなるなぁ。ハナさんやヨウコさんが尊敬しているのもわかる気がした。

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今日も2話です。(1/2)

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