ガチャ026回目:またもや新発見した
『怪力』スキルの二重使用をしても何の効果も得られなかった俺は、しばらく落ち込んだ。
「くそー、勿体ない事をー! でも、もう取得してるにもかかわらず、スキルオーブを使用できるってのは変だよな。これは、他のレベル制のスキルが存在してる弊害か? それとも……」
俺の中に、またしても危険な考えが渦巻いた。
「……とりあえず、もう100匹追加で狩るか」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「『怪力』使用。おりゃっ」
【レベルアップ】
【レベルが18から22に上昇しました】
本日
「もしかしたら、2回の重ね掛けでダメでも、3回重ねる事で効果を発揮する可能性が……。いやしかし……」
スキルオーブを握りしめ、本日3度目の苦悩をする。そう、3体目の『ホブゴブリン』のドロップで、2個目のスキルオーブまでも無駄にした俺は、新たにもう1匹追加で倒したのだ。
レベル上げのついでに取れるからと判断しての事だった。
「これも無駄にしたら、9000万もの大金を無駄に……。いや、この数時間何もドロップしなかっただけと考えればまだダメージは少ない」
まあ、雑魚のドロップを全スルーしてる以上、大剣と『中魔石』以外、手元には何も残らないんだが。
色々と言い訳を考えつつ、結局使う事にした。
「『怪力』を……使用する!!」
スキルオーブが消え、効果が発揮されたのを確認した俺は、若干諦めつつもステータスを確認した。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:22
腕力:140(+115)
器用:104(+79)
頑丈:135(+110)
俊敏:145(+120)
魔力:98(+75)
知力:118(+95)
運:282
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv2、鑑定妨害Lv4、自動マッピング、身体強化Lv4、怪力Ⅱ、迅速、予知、投擲Lv1、炎魔法Lv1、水魔法Lv1
*****
「……よっしゃ!! ここまでの努力は無駄じゃなかったんだ。重ね掛けには、意味がある!」
Ⅱになったってことは、重ね掛け次第でⅢになることも……。
あれ、てことは、レベルガチャも……?
いや、しかしそれは危険だ。またあの地獄をやり直すだけだ。しかも1回じゃない。最低でも3回は必要になるんだ。
今の『運』はあの時の4倍以上だ。けど、この程度ではまだまだ途方もない時間がかかるだろう。せめて……そうだな。『運』が1000は欲しい。いつになるかは分からないけど、それくらいないと再戦は厳しいだろう。
なぜなら、スライムのレアモンスター枠は確認できただけでも7段階はあるんだ。1000もあれば、今までの傾向からしてレア枠4体目の『紫』までは確定で出るはず。そこからなら……うん、現実的に『虹』を出せそうだ。
「あ、やば。約束の時間までもうあまりないな。ガチャは後回しにして、戻りながら『怪力Ⅱ』の検証をしよう」
◇◇◇◇◇◇◇◇
協会へと戻ると、2人ともエントランスで待っててくれていた。
「おかえりなさい、ショウタさん!」
「ただいま、マキ。アキさんも」
「あたしはついでかー! でもやっぱり、あたしの言った通りだったでしょ」
「そうね、本当に5分前に戻って来るなんて……」
「あはは、流石アキさん……」
俺の行動を完全に把握されてるな。
「それにしてもショウタ君、嬉しそうな顔してるわね。そんなにマキの手作り弁当を楽しみにしてたの?」
アキさんの発言に周囲が騒めいた。相変わらずこの人は爆弾を投下するなぁ。ここに居続けてはアキさんが何を言い出すか分からないし、さっさと離れよう。
「まあそれもありますけど、とりあえず奥行きません?」
「そうですね、行きましょうショウタさん」
「もー、2人とも待ってよー」
◇◇◇◇◇◇◇◇
ガチャンッ!
いくら『腕力』と『頑丈』が高くなったとは言え、この荷物はちょっと嵩張るし、密度もある分、重すぎたな。
刀身部分は防刃対策が施されたリュックの中だが、長すぎて柄が飛び出てしまっている。バラけないよう柄は縛ってるから、見方によっては1本に見えるかもしれないが、しっかりと見れば4本あることが分かるだろう。
「ショウタ君、それってやっぱり……」
「あー、精算を先に済ませたほうが良いかな?」
「気になるからお願い~」
「私も、ちょっと信じられないので……」
「あはは、ならしょうがないね」
俺としてはあの並べられたお弁当が気になるんだけど……。多数決で負けてる以上は俺が折れるしかないか。端に避けられていくお弁当を眺めていると、マキが申し訳なさそうにした。
「ごめんなさいショウタさん、今日はいっぱい作ってきましたから、あとでゆっくり食べましょう?」
「……わかった」
「よしよし、食いしん坊な子ねー」
「ふふ」
朝の仕返しか? アキさんが頭を撫でてきた。それにマキも。
「……戦利品、置きますね」
「照れてるー?」
「もう撫でてあげませんよ」
「じょ、冗談だからっ」
「……はぁ、わかりましたよ。はい、今朝の戦利品の『鋼鉄の大剣』4本と、『中魔石』4個です」
アキさんとマキはごくりと喉を鳴らして4組のソレを見る。そして続きを促す様にリュックを見たが、今日の戦利品はそれだけだ。もう終わりだよとジェスチャーをするが、彼女達は信じられなかったのかリュックの中を直接確認しだした。
いやだから、何も入ってないってば。
「え、これだけ!?」
「ショウタさん。『極小魔石』は、どこに……?」
「あ、面倒だったので拾ってないよ」
「捨てたの!?」
「いや、倒してすぐ次へ向かったから。そもそも拾ってない」
「「ええ……」」
2人が信じられないものを見るかのような目で見てくる。そんなに……?
「大量の魔石を持ってこないなんて、ショウタ君のアイデンティティが……」
「ちょっと、俺の存在意義ソレ!?」
「ふふ、冗談ですよショウタさん」
「なんだ冗談か……」
「大物を倒すのに忙しかったんですよね。ただ、それ以外何もないって言うのは衝撃的でしたけど……」
「……」
「あはは、ごめんショウタ君。ちょっとあたし達、これが4つも並んでいる現実を直視できなくて……。でも魔石がないなんて」
「……いいんです。俺なんて大量に魔石を取るくらいしか能がありませんから。報告終わったんで食べて良いですか」
まさかここまで魔石がない事をいじられるとは。
俺はもう投げやり気味に弁当へと視線を動かした。食べるまで視線は弁当から離さないからな!
「ご、ごめんなさいショウタさんっ」
「じょ、冗談だってば。もー、機嫌直してよ~!」
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今日もまた3話です。(2/3)
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