豊漁祈願
全く、東京とは誘惑が多い場所でございます。大正の世になって十二年が経とうとしておりますが、一歩でも都会を出てご覧なさい。そこには
僕は浅ましい
僕は神奈川県のとある寒村で生まれ育ちました。
漁港を訪れてから五日後に小型動力漁船の水夫として働くことになりました。僕は日雇い労働者としては破格な給与を保障されたことに浮かれて、疑う心をすっかり忘れていました。僕を雇った漁師達は港町で
ああ、
そのような折に事件は起こりました。たしか、八月七日の夕刻だったと記憶しております。その日は、早朝に
漁は
真っ赤な太陽が水平線に沈もうとしている時分になって、僕の握っていた
ええ、僕を助けようとする漁師はいませんでした。そればかりか、船から海に引きずり込まれようとしている僕の姿を見て、彼らはゲタゲタと笑っていたくらいです。事態が
「おお、
その後のことは不鮮明な記憶しかございません。ただ、
八月九日の朝、
しかし、
(了)
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