第46話 耐火レンガと窯を考える
エリオス君はここで最初かつ最大の悩みに入る。
耐火レンガの材料を探す必要がある。
耐火レンガに必要な材料の、
ボーキサイト、マグネシアは当面鉱山からの採掘に限る。
現在マグネシアは海水の塩化マグネシウムから石灰で反応させて
ロータリーキルンで1800℃で焼けば取れるそうだが、
この時代の技術レベルではまだ無理だろう。
アルミナにしてもボーキサイトを化学反応させてから
1050℃で結晶化させるので容易ではない。
現代レベルのは直ぐには出来ない。
それ専用のキルン炉などが必要である。
従来型のケイ素質の耐火レンガを作ってから
更に高温炉材料を作るしか無いという事か。
最初は普通の窯業の粘土質レンガの窯を作って焼ける様になってから
材料を高温で焼いて精製するプロセスしかなさそう。
正当な手段では。
だから粘土質の窯を作って更に高温に耐えられる材料を焼くという事。
粘土質の窯は茶碗と同じプロセスである。
現代であれば酸化に強い炭化ケイ素の棚板などが容易に入手できるが、
当然として難しい。
高温の窯を作るだけでも相当大変だなぁという事が分かる。
それだけ古代、中世から材料が進歩したという事であるが
どうしようかな。
既存の窯用のレンガを調達して焼ける様にするしかない。
それで色々な材料を焼いてみる。
まさに茶碗職人・・・
茶碗は焼き物の原点でもある。割れないような技術は当然必要。
教授に相談して材料確保を協力してもらおう。
真面目に考えると材料の技術レベルが高くないと結構難しい。
うん、知ってた。
俺にセラミックファイバーを売ってくれ・・・。
という事で窯業を見に行く。
中世なので普通に窯業はあって陶器を焼いていて
レンガも普通に手に入る様子。
レンガ職人さんがいる様子。
中世の建設物はレンガが多い。地震に弱いが。
これなら低温の試験炉は簡単に作れそう。
1000℃位までなら耐えられる。
試しに200ブロックくらい買って組んでみるか。
レンガ職人さんに聞いてみると発注しても納期がかかるらしいから、
窯用の耐火レンガを前金で購入する。お父様済まない。
購入したら木材と石炭を蒸し焼きにして
コークス炉が出来るかどうか試してみようと思った。
製鉄はかなり先である。
悲しいけど・・・
製鉄初期は低温で焼ける高炉や反射炉でも良い気がしてきた。
材料開発を進めていく中で、1500℃以上で焼く必要がある
ベッセマー転炉やトーマス転炉型はその後しかない。
材料開発と炉開発を分離して。
史実でもそうなんだろうな、と思った。
実際、日清戦争の賠償金で立てた八幡製鐵所に
耐火レンガの工場を自前で作ったらしい。
難しいなり。
もちろん、SOxやNOxが放出されるので酸性雨など環境問題が発生する。
そちらも現代知識で対策する必要がある。
そしてこれが長い戦いの第一歩となるのであった。
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