第47話 双子エルフの転入生
ある日、近隣諸国のエルフの留学生がやってきた。
1人は男性でシルヴィ君。もう1人は女性でティアナさん。
金髪の美少年と美少女である。
二人は周囲に人がいないことを確認してからエリオス君に挨拶しに来た様子。
「はじめましてエリオス様。
こちらはシルヴィと私はティアナと申します」
「ど、どうもはじめまして」
エリオス君はドキドキしながらシルヴィ君とティアナさんに挨拶する。
定番通りエルフは美男、美女が多いはず。
しかも農村生まれの平民のエリオス君が様付けで呼ばれるのは初めてである。
緊張してしまう。
そして何故だろうか、驚きの後に色々と疑問が浮かぶ。
「実は我々は秩序神レイ様の使いでございます。
エリオス様にお目にかかれて光栄です」
「これはご丁寧に。いや、別に光栄と言われる所は
僕には何もありませんけど・・・」
エリオス君は新しい神様の名前を聞いてまた驚く。
神の使い・・・。天使か。
天使という存在はこの世界に沢山いるんだろうかと思ってしまった。
うちの女神様は腹黒派遣会社の社長みたいなイメージがあるが・・・。
こちらの神様は違うんだろうか。
ふと思った疑問を二人に投げかけてみる。
「で、秩序神様からは何かご指示はありましたでしょうか?」
「世界を破滅に導くものから世界を救う様にと仰られるだけです」
「具体的には?」
「いえ特にコレと言って聞いて無いです」
「え?」
どこぞの女神様と似たような事を聞くエリオス君。
的を得ないな。
魔王軍が一気に侵略してきてどやー、みたいな雰囲気でもなさそうである。
異世界から侵略者が来たとか、神々の怒りが世界を破滅に導くとか。
ダンジョンやレベルMAXの勇者とかスーパースキルの持ち主とか。
異世界転生小説の読み過ぎか・・・
こちらの世界の神様が何を考えているのか余計にわからなくなる。
「それでは、どんなご使命を?」
「エリオス様と同じ学校に留学して知識を学ぶ様に。
エリオス様と一緒に世界の秩序にしなさい、と」
「・・・」
エリオス君はこの言葉に不思議と違和感を感じた。
知識を学ぶ様に?
知識?
え?
良く分かりません秩序神さま。
つまりこの二人を教育して使える様にしろと?
「ち、ちなみに付属学校の選抜試験はどうでした?」
「「全くよく分かりませんでした。」」
「クラスはどこになりましたか」
「Gクラスです」
エリオス君はこめかみを手で抑えて悩んだ。
勉強が全く出来ないのか。
それとも教育を受けていないのか。
このロイスター帝国大学と付属学校は超エリート学校である。
よし、マスコットキャラ確定だ。
待て待て。
そうか、どうしよう。
要はイケメンお荷物という事ですね、秩序神さま。
「・・・!!!」
エリオス君の腿に激痛が走る。
前回と同じパターンなので犯人は考えなくても分かる。
物理的攻撃を加えてくるモンスターの顔をチラリと見るエリオス君。
「今度はエルフの美少年と美少女にデレデレしてる!
し、しかも男にまで・・・。
わ、私がいるのにどうしていつも浮気ばっかりして」
いつのまにか涙目の幼馴染が隣に。
エリオス君の腿をつねってくる。痛いんですけど。
いつもそれやるんですか?
「いや、ニーナさんがこのイケメン美少年と美少女に一目惚れという
展開ではないでしょうか?と内心ドキドキしているんですが」
ガン!!!
エリオス君は思いっきり幼馴染のニーナさんに殴られた。
そして蹴りとばされた。
意識が一瞬飛んでしまう。
「こ、こ、この、よくもそんな事を、この口から・・・
恥知らずが」
ニーナさんは怒りを超えて逆上してしまった様だ。
幼馴染をからかい過ぎたか。エリオス君は少し反省した。
何もそこまで暴力をふるわなくても。
ふと我に返り、大切なことをエルフの双子に聞いてみる。
「と、とりあえず得意な事は何ですか?」
「弓が得意です」「魔法が得意です」
・・・狩人か。戦闘要員か。
双子エルフはこの超エリート学校について来れるのだろうか。
秩序神様も酷な事をされるな、とエリオス君は思っていると
「「と、という事で、勉強を教えて下さーーい」」
やっぱりエルフ双子が涙目で泣きついてくる。
まあ、そういう展開になるのね・・・。
よし幼馴染よ。この重大な任務を任せた。
エリオス君はこの双子エルフの教育係として
ニーナさんにひたすらお願いするのだった。
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