第13話 学校にて王都への留学を報告

 家族会議など色々会って話し合ったエリオス君。

結局、物資や人脈の無いど田舎のキルテル村よりも

都市の方が便利であろうと解釈し、

色々あって都市に留学する事になって、

学校で先生から報告があった。



「此度は学業優秀なエリオス君とニーナさんが

 代表として都市に留学する事になりました」


「えーーーーー!!!」



 クラスメイト一同驚きの一声。

普通に考えて庶民が抜擢される事は無い。

何か特別な力が関わっていない限り。

当然ながら、この娘は黙ってはいなかった。



「やだやだ絶対やだー。

 チェリーもエリたんと一緒に行くー。」



 と言って泣きながらチェリーちゃんがくっついてくる。

まあこの娘の行動は予想済みである。

しかしチェリーちゃんは成績が大変よろしくない。

エリオス君は黙って優しく頭を撫でてあげるしかない。

うん、頑張って勉強するしかないよね。

留学生に選ばれるには日頃の努力が大事である。


 と、頭を撫でながら思っていると

スポーツ万能娘のミネアちゃんと委員長のニーナさんが

険しい顔してアイコンタクトしながらこちらを剣呑な目つきで見てくる。

別に怒っている訳でもなさそうであるが、

ちょっと本気で怖いエリオス君である。



「チェリーも良い歳してくっついていないで僕のエリオス君から離れなさい」

「そうよ。あ、アタシは留学生としてエリオス君と一緒に行くんだからね。

 お目付きとして近くで見張っていないといけないんだから」


「ム、やはりこの娘も危険人物か。ニーナ。

 僕の前でそんな問題発言をしないでもらいたい。」

「なによ。悪いの?ミネア。

 アタシが留学生に選ばれたのは、努力と日頃の行いが良いせいよ。」

「あたいは絶対エリたんから離れないもん。」 



 三人の幼馴染が激しくアイコンタクトする。

エリオス君の知らない所で何があったんだろうか。

目には見えない火花がバチバチ飛び交っている。



「はいはい、皆さん静かにしなさい。

 この2名は村長さんと校長の決定事項です。

 領主様のご指示と王令なので変更はありません」



 先生の一言で場が落ち着く。

まさに鶴の一声であった。

納得しない表情を見せるが領主様のご命令には逆らえない。



「今回は王令にて学業優秀な子供、学生を集めて専門教育を行うそうです。

 帝国大学への進学を含め、次世代の人材育成が目的だそうです」



 庶民には珍しい、そして数少ないチャンスであった。

急な話だったのであろうか?

こんな良い話が偶然起こるものであろうか、と思うエリオス君。

封建主義にしては大胆な事をする国王である。

人材というか役人が足りないのであろうか?この国は。


 ふと思うエリオス君であったが、

そう言えば三國志でも、信長の野望でも学校ってコマンド無い。

不思議な話である。

まあそちらはゲームの話であるが。


 この国はいつまでも中世ではなく、

文明のレベルが近世や近代への始まりなのかもしれない。

エリオス君はもうちょっと世間を知る必要を感じた。

ここは田舎なので世間の動きがわからない。



「で、都市とはどこなんです?」

「王都ロイスターです」



 その話を聞いて驚く一同。

想定はしていたが王都であった。

女神メサ様が裏で暗躍していないと良いのだが、

と思うエリオス君であった。

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