第16話 約束の時間⁈

   31.第五の攻略対象


 魔術教練では、座学は講堂で一斉にうけるため、クラス分けはない。そして野営訓練が終わってしばらくたったこの日、ゲームで攻略対象となる、五人目の女の子が現れる。

 教師につれられ、教室に入ってきたのは銀色の髪に、耳が尖った……そう、エルフの少女だ。

「ウェイリング・フォーバースですぅ」

 どよめきが起きる。それは、このゲームの世界観ではエルフはかなり珍しい種族であり、人との交流はほとんどない、とされているからだ。

 でも、バーベル国はエルフとの連携に成功、その友好の証として派遣されてきた留学生が、ウェイリングである。

 この教練所から、エルフの町へ留学にでたのは五人。上級生なので、新入生であるボクたちが留学することはないけれど、エルフからは一人。それをみても人族の側がこの提携をのぞみ、喜んでいることが窺える。

 主人公によるウェイリング・ルートでは、四百歳ぐらい生きるエルフなので、十二歳ではまだまだ子供。見た目は大人で、胸もかなり大きくてスタイルがいいけれど、幼児っぽいところがあり、それがギャップであって萌える一方、攻略の難しさでもあった。

 子供、といっても魔法は超一流。一方で、座学は常識知らずでからっきし。そんな点も愛される所以だ。

 このゲームの攻略対象で、もっとも熱狂的な人気のある一人、ともいえる。


「凄い人気だね、ウェイリングちゃん」

 エマがボクの隣にすわって、転校生の周りにたかる集団をみている。

「伝説のエルフを初めてみるんだから、仕方ないよ」

「シドル君は興味ないの?」

「大アリさ。でも、その他大勢にまぎれて、お近づきになる気はないかな」

「策士だねぇ」

「むしろ、出遅れ予備軍さ。早めに仲良くなった方が、何かと都合いいに決まっている。でも、まぁまぁの付き合いでよいのなら、ボクぐらいの距離感がちょうどいい」

「その達観が、シドル君のよいところだもんね」

「じじくさい、といいたいのかな?」

「そんなこと言わないよ。心に思っているだけ」

 エマはくすくす笑っている。それは転生前の実年齢が高いので、仕方ない部分もあるけれど、一方でそれが魅力という人もいて、痛し痒しだ。

 ただ、その人ごみの中に主人公と目しているレンの姿をみて、ボクも複雑な目でみつめていた。




   32.レイラ


 今日はレイラに呼ばれていた。レイラ・セイロンはいつもの通り、ベッドの上にいたけれど、いつもの寝巻ではなく、今日は少しオシャレをしているように見えた。紅も薄くひき、化粧もしてもらっている。

「ご活躍のようですね。でも、目立つことは避けている……」

「ボクの立場は、嫌でも悪目立ちするからね。これで変なところで目立つと、セイロン家にも悪影響があるかもしれない。トップになるより二番手、三番手でいる方が、何かと都合いい」

「慎重ですね。でも、その慎重さは頼もしい……」

 レイラはくすくすと笑った後、居住まいを正した。

「今日は、予てよりのお約束を果たしてください」

「大丈夫なのかい?」

 彼女は小さく頷く。そう、彼女と子づくりをする約束で、ボクは養子になった。

 勿論、そこに異論はない。ただ、心配なのは彼女の体調だ。それでも、今日はその覚悟をもって、ボクを呼んだはずだ。ボクもそれに応えることにした。

 ベッドの隣に腰を下ろし、優しく肩を抱きながら、軽く唇を重ねる。緊張して固くなっているけれど、彼女は覚悟がちがう。素直にそれを受け入れた。

 中々ベッドから起きられないので、手足は細くて華奢だ。それはするりと下ろした薄い肌着の下から現れた、まだ膨らみきれていない胸をみてもそうだ。体を動かさないので、食も細くてぜい肉がついていない感じだった。


 優しく胸をさするようにする。ボクの手の平にある溝で、彼女の突起を刺激する形になるが、彼女は少し顔を顰めるようにして、必死で耐えている。

「我慢する必要はないんだよ。リラックスして」

「申し訳ありません……」

 彼女はゲームに出てこないキャラであり、性格をつかみきれていなかったけれど、これまでの関係で大体わかった。彼女はセイロン家の復興に、その身を捧げようとするなど、基本はマジメだ。むしろ、真面目すぎるほど、といってよいだろう。病弱という自分の運命も素直にうけいれるが、それに抗うのは家を守るため……と硬く誓うほどだ。

 その堅苦しい部分を、少しでも溶かしてあげられれば……。ボクの手は彼女のほっそりとした腹部を下り、その幼くみえる体とは不釣り合いな叢をかき分け、その先へとすすむ。

「あ……」

 彼女は声を漏らしたことを後悔するように、慌てて手で口を押さえる。

 ボクはその唇を、ふたたび唇でふさぐ。彼女が気にすることがないよう、下の口にも刺激を与えつつ……。


 丁寧に、優しく、時間をかけて彼女の準備を高めた。さすがに初めてであり、また彼女の緊張から、もう少し時間をかけたいとも思う。でも体の負担を考えると、もう限界だと思った。

 彼女も静かに頷く。ボクはゆっくりと前進した。

「痛……。ん、ん、ん……」

 自分の中に、他人が入ってくる感覚に、彼女は必死で堪えているようだ。ボクも狭くてきつい、その中にムリして押し進めることはしなかった。ただでなくとも体調の悪い彼女が、出血を伴うかもしれないこの行為で、体調を崩してしまう可能性もあるからだ。

 その間も彼女が気持ちよく感じるよう、内股をさすり、足の付け根を指でなぞり、そのまま脇腹を擦り上げるようにして、胸にまで至る。

 でも、中々潤滑油がでてこない。ふと、ボクも考えた。このままでは痛い思い出となってしまう。でも、彼女は硬いのだ。それは中の様子が、ではない。この行為も、家を守るため。子供をつくるため、という意識が強い。

「リラックスして。子づくりをしよう、ではなく、ボクだけを感じて。君の中にいるボクの、その温かさ、大きさ、硬さを感じて……」

 耳元でそう囁く。言葉責め……。あまり得意でないけれど、これからはちょっと人に言えない言葉をつかい、彼女の緊張と、凌辱心を増していく。彼女がエッチをすることだけに、集中できるように……。

「あぁ……、入ってくる、入ってくる……。気持ち……いい」

 自分をしばる全てから解き放たれた。それが、足を開くことからはじまったのは、ちょっと逆説的かもしれないけれど、家のためではなく、自分のためにこの行為を愉しんでくれるのなら、ボクも嬉しかった。




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