第14話 貴族の失態⁈
27.野営訓練を終えて
「マイアは不満ある?」
「お風呂に入ってから、シドルのベッドに入りたい!」
寮生活なので、お風呂の時間も自由にできるわけではない。乙女としては気になるのだろう。
「そうじゃなくて、野営訓練の話だよ」
「あぁ、オーウェンのこと? 女ったらしで、アリシアちゃんや私に色目をつかってきたって話でしょ? そりゃあ、いい気持ちはしないし、実際に手をだしてきたら、先生に訴えてやるって思っていたけれど、何もなかったし……」
野営訓練が終わった後、負担を一人でかぶっていたアリシアがぶち切れた。特に仕事もせず、言い寄ってきたオーウェンに詰め寄るほどに怒りが高まって、周りが抑えるなど大変だったのだ。
「女たらしの貴族に一々腹を立てていたら、教練をやっていられないよ」
「私は分かっているよ、でも、アリシアちゃんは違うんだよ。貴族に近いとされる冒険者の娘だから、貴族に思うところがあるんじゃない?」
その気持ちは痛いほど分かる。庶民であれば、誰しも貴族に思うところはある。平民を守るのが貴族の役目、でもそのお題目で平民からお金をむしり取っている……と感じるのだ。
冒険者なら、貴族から色々と要求もあるし、制限もうけているだろう。父親のそんな姿をみて、アリシアが元々貴族にいら立ちを募らせていたなら、それが爆発したのかもしれない。
「私だって苛立っていたんだから、癒して、癒してぇ~♥」
マイアはそういって首に腕を回してくるので、ボクもその体を優しく抱き止め、唇を重ねた。
マイアは胸を揉まれるのがあまり好きではない。大きな胸で、触りがいがあるけれど、小さいころから男の子たちに触られたり、叩かれたりして、あまりいい気持がしないのだそうだ。でも、先端を優しく責めてあげると、敏感に体をよじり、甘い吐息をだす。
ボクが弄りだすと、可愛らしいポッチの先端が起立して、それだけでも感じているのが分かるほどだ。舌を這わすと「あぁん……ん~……」と、小さな声でうめき声を漏らす。
それだけでイってしまいそうなので、ボクは彼女の中へと挿しすすんだ。野営訓練の間、我慢していた彼女はもうトロトロだ。ボクのものをしっかりと握りこむと、すぐに「きゅ~ん……」とイってしまった。
「早すぎないか?」
「久しぶりで、あぁ、入った……と思っただけで……、んふ♥」
幸せそうな笑みなので、文句もいえない。一度、力が抜けてしまった彼女の力が入るのを待って、ボクも動きだす。
「はう……あ、あ、あ~ん♥」
またイったようだ。「だから、早いよ」
「う~ん……。シドルが気持ちいいからだよ」
そう言われると、何もいえない。どこが、何が、という点が抜けているので、ツッコミができない、というのもある。
久しぶりの今日、マイアが一体何回イクのか? 今から心配になっていた。
28.アリシアの心
「何ッ⁉ あ、ごめん。何……?」
カリカリしていたアリシアの肩を叩くと、振り向きざまにそのいら立ちをぶつけられた。でも、すぐに彼女は真っ赤な顔で言い直してきたのは、怒った顔をみられて、恥ずかしかったのだ。
「野営訓練、お疲れ様」
「あぁ、うん、ありがとう……。話は聞いているんでしょ?」
「大変だったみたいだね?」
「色々とやらないといけないことはあるし、魔獣への警戒もしなくっちゃいけないのに、間男にまで警戒するなんて……。やっていられない!」
また怒っている。でも、野営訓練で、必ず女の子は二人でチームに入るのも、不測の事態に備えたものだ。12歳とはいえ、そこは男女。しかも大切な貴族の子女であり、間違いがあってはいけない。
「貴族なんて、そういうものだって知っているけど……。あ、シドル君はちがうって分かっているから」
ボクの場合、マイアの存在が大きいとは思う。彼女がいるので、余裕のある男にみえる。それはまるで、既婚者が若い女の子からすると、大人にみえるのと似るのかもしれない。
貴族の男子、跡継ぎが結婚する相手は、庶民であろうと構わない、というのがこの世界の常識だ。貴族同士の方が勿論いいに決まっているけれど、そこまで貴族が多くないため、庶民の娘を娶ることも多いのだ。アリシアなど武にすぐれ、魔法にも長ける。貴族からみれば願ってもない花嫁候補。その意味で、オーウェンも焦ったのかもしれない。
「君の能力が高すぎて、みんながおんぶに抱っこになるのは、何となく分かるよ。でもこんなことをいうと、嫌われるかもしれないけれど、もっと人をつかうことを覚えた方がいい。きっとそれは君が将来、冒険者パーティーを組んだときだって、君一人でできないことがでてくるだろうから」
アリシアもその言葉に、ぐっと詰まる。
彼女はオールマイティーのプレイヤーであり、誰にも頼らずに、一人で解決してきたからこそ、他のメンバーを率いると、途端に負担が増してしまう。それが使えるメンバーならまだしも、頼りないと思う相手に仕事を任せられない、といった性格もあるはずだ。
「でも……」
「貴族は庶民を守り、率いる立場。でも、それを全うできない者もいる。そんな相手にかりかりしても、きっと自分が損をするだけだよ」
「それは分かっている……つもりなんだけど……」
「貴族の愚痴なら、ボクが聞くよ。これでも一応、庶民出身の、なんちゃって貴族だからね。貴族への不平、不満は共有できる」
「なんちゃってって……。でも、愚痴をいうだけじゃ足りないわ。……一発、殴らせて」
拳をかためるアリシアに、何で? といったところで、これはウーマンズリーズンだ。シェイクスピア曰く、女性は女性特有の理屈で考え、動く。それは男のボクには理解できるものではない。
「友人の失態のツケは、払うよ」
ボクが目を閉じると、アリシアはぐっと握り拳をかためて、それをボクの腹へとめりこませた。
痛みで体がくの字になる。さらにボクの後頭部をつかんで、頭を引き上げた。
「え? 二発……」
ボクが文句をいおうとしたところ、その唇は彼女によって塞がれていた。
「同じ貴族の失態を、自らかぶろうとした、これはシドル君の勇気と、潔さに対するご褒美だから」
赤い顔をして、そうイイワケめいたことをいう。
アリシア・ルート……。やっぱり主人公とはちがう入り方だ。
確かに、アリシアはちょっとシドルに惹かれていて、主人公の誘いに乗りづらかった面はあった。
でも、裏でここまですすんでいたんだ……。そのことにちょっと驚いた。そして赤い顔をみられたくないからか、走って遠ざかっていくアリシアの後ろ姿は、乙女のそれでしかなかった。
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