第6話 主人公候補⁈
11.匂い消し
「アリシアさんは……あ! バロルの魔眼をつかって……うぅん。戦っているって……あぁん♥ 言っていたよ~ぉぉぉぉッ‼」
アリシアの普段の様子を聞こうとマイアを呼びだしたところ、校舎裏ではじまってしまった。
バロルの魔眼――。ゲームの中で、魔法らしい設定、お話はあまりでてこなかったけれど、それだけははっきりと出てきた。相手の動きの数秒先が読める、という特殊スキルで、恋愛においては相手の出方を読んでしまう、かなり厄介な代物として登場した。
しかし実際に、戦いとなると非常に厄介でもある。アリシアと対等の力がある、剣技をもつのはボクだけなので、毎回ボクを指名してくるのだが、こちらの出方、動きが読まれてしまうのだ。
「あぁ……嫌、最後まで……お願い♥」
制服の下に手を入れ、前ホックのブラを外して、その温かでふっくらとした胸を愉しみつつ、言葉が止まるときは唇をかわし、舌を絡ませている。でも、気分が乗ってきたらしく、マイアは自らスカートをたくし上げ、下着に手をかけ、もう一方の手でボクのそれをさすってくる。
「これから、グループで魔法演習だろ?」
「大丈夫。匂いは消していくから……」
彼女は自ら導いて、ボクのそれを収めると、一人で始めてしまった。魔法演習とは自主練のようなもので、レベルの近い者が集まり、高い生徒から教えを請う、という形で放課後に数人で行う。ボクは教える側だけれど、今回の彼女たちの演習には呼ばれていない。
マイアはボクの首に手を回すと、ぶら下がるようにして自ら律動を重ねる。校舎裏なので、声が漏れるのを気にして口を結んでいるけれど、胸は気持ちよさを示すようにぷるん、ぷるんと大きく動く。
それを愛でるのも興奮するけれど、やはり手で強く揉みしだいてしまうのは、サガのようなものだ。
ボクは壁に背をもたれさせ、彼女の体重を支えているし、彼女はその壁に両足をついて、自分の体を律動させる。油断していると彼女の腰が落ちそうになるので、ボクも手でそれを支えないといけない。そのたび、また自由になって暴れまわる彼女のふくらみ、それはもう暴れん坊な二つの丸いゴムボールのような胸をながめて、ボクもほくそ笑む。
「あぁんんんん♥」
マイアは、いつも一回目は早い。でも、今回は次の予定があるので、その方が都合よいのだろう。でも……。
「ボクはまだイってないけど……」
「もう~……」
マイアはボクの前にかがみこむと、両手でにぎるようにして、ボクのそれを口に咥えた。
「にふぉい消しの魔法、おへはい」
咥えながら喋るので分かりにくいけれど、意味は通じる。エッチした後の匂いを、魔法で消すのだ。
これはボクが教えた。マイアもつかえるけれど、この後の魔法演習のことも考え、ボクにやってもらおうとしているのだ。エイリンとエッチしていたときから、この魔法はつかえた。本来は、野獣の襲撃をかわすため、人の気配を消すための魔法だけれど、エッチをした後の匂いも消せるのだ。
彼女がボクのそれを一生懸命に咥え、動いてくれるので、それを邪魔しないように前かがみとなり、手を外からまわして彼女の胸を揉む。ボクがだしてから、魔法をかけてあげよう……と思っていたけれど、すぐにそうなりそうなほど、彼女の舌使いは上手くなっていた。
12.剣術大会
アリシアのことを意識するのは、最初の大きなイベントとして、彼女のそれがでてくるからだ。新入生歓迎会、と称して剣術大会が開かれ、魔術教練に在籍しながら、彼女が優勝するのだ。
他の子たちは、主人公との二人の関係が序盤の肝になるけれど、彼女だけがこうして大きなイベントを伴って、主人公との関係をはじめる。
つまり、そのタイミングで誰が主人公か? 分かることにもなる。
「シドルは剣術大会に出ないのかい?」
ボクにそう尋ねるのは、取り巻きのオーウェン・ギャド。貴族であるけれど、それほど立場は強くない。ゲームをしていたときも、シドルの取り巻きとしてでてきた人物で、会話ですすむシミュレーションゲームの中で、シドルの事情を語る上でも必須の人物だった。彼の方から声をかけてきたので、そのまま友人となっている。
「ボクは剣技に自信はないよ」
「何言っているんだい。アリシアと対等に戦えるのは、君だけだぜ。アリシアが出場する以上、君がでないと独擅場になるよ。結構、賭けがすすんでいるけど、アリシア一択で、面白くないんだ」
この世界では、こうした賭博も法的にOKだ。ちなみに、教練に通う間はわずかであるけれど給金もでるので、それを賭ける生徒も多い。
ただ、ボクとしては大会終了後のイベントで、主人公を見定めるのが優先だ。それに、ゲームでもアリシアの優勝で決まり。シドルがそこにでていたかどうか、不明でもあった。
なら、ボクの出番はない。下手に入賞でもしてしまい、自分に注目が集まっている間、アリシアから目を離す方が後悔する。
剣術大会は、盛り上がりの中ではじまった。本来、注目を集めにくい憲兵教練をうける生徒たちに、活躍の場を与えるのが目的として行われるものだ。でも、魔術教練をうける生徒も出場でき、アリシアをはじめとして五名が出場する。
主人公がアリシア・ルートを攻略する際、出場する、しない、に関係なくハッピーエンドにすすむ。ただ、出場した方が攻略し易かった記憶がある。冒険者の父親に鍛えられた彼女は、やはり強い男をのぞむ。でもそれ以上に、チャレンジ精神をもった男が好きなのだ。
ジーク・ハンマーショルド、レン・スウェイ、ジョアンナ・アレント、そしてオーウェン・ギャド。
三人が貴族で、レンだけが庶民の出。ジョアンナは女性で、友人であるアリシアに誘われたらしい。オーウェンは、周りから貴族として出るべき……と煽られ、ボクがでないので仕方なく登録した、といっていた。
この中で、条件に合うのはレンだけ。それほど目立つキャラでもなく、主人公の条件としては適任だ。そもそも、剣技でも特に優秀ということもなく、何で登録したのかも不明だ。
主人公としてアリシア・ルートに入ると、全員参加するものだと間違えて登録した主人公が、こてんぱんにアリシアにやられ、そこから交流が始まる、といった設定であった。
大会に参加しないケースだと、偶々シドルがいないとき、剣技の授業で相手をさせられ……だった。とにかく、まずは主人公と目されるレンを見つけられたことは、収穫かもしれなかった。
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