自己愛

 幼少期から、世界に愛されていない気がしていた。そのきっかけはほんの些細なものだ。

 苗字の和田山は、出席番号を最後にした。出席番号順で回ってくるものは必然的に大トリを任せられる。先生は最後だから、みんな聴こうねと煽り、嫌そうな顔の同級生の視線が刺さる。

 八人兄弟の二番目の家庭は、あなたは上なんだから我慢しなさいと強要された。何でもかんでも我慢と言われ、自分の要望は通らず、弟妹が愛されるのを見てきた。気がつけば親の相談係のようになっていた。望んでいないのに。

 人から見ると大した内容じゃないかもしれないけれど、そんな環境は僕を変えた。毎日鏡を見て、自分の顔を愛する。同級生より大人な考えを持っていた自分を褒め称えた。

 自分を愛するしか道がなかったと言い訳はしない。事実僕は最高の人間だから。

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