無償の愛

 淡い水色の座椅子に座り、煙草を燻らせる。紫煙の向こう。壁掛け時計の下に置いてある写真立てを眺める。高校の制服を着た女性の写真が三枚。学生時代に好きだった子。

 唯一持っている三枚の写真。増やすつもりもない。ただ、生きていてくれたら良い。そこに私が干渉しなくていいんだ。

 昔からの友達が家に来た時、犯罪だけは起こさないで。って言われたけど、起こすわけがない。あの子が悲しむのは、辛い顔は見たくない。トラウマにもなってほしくない。

 勝手に浮かぶ笑顔に心地良さを覚えながら、コンビニで買ってきたサワーを胃に流し込んでいく。あぁ、そういえばメイク落とすの忘れてた。まあいいや。おやすみ愛する人。

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