第二話 帰途
ここしばらくはジャンク山で地図端末のような機器は見つかっていない。また、運良く見つかっても欠損や腐食が進んでいて大抵はそのままでは使いものにならなかった。一見ゴミのようなジャンクから代用可能な部品を
生活用品や医薬品、水や食糧などあらゆる物品は値が張るが、地図端末などの電子機器は桁違いに高価なものだ。少年にとっては痛い出費ではあったが、今を
そこまでして生きて戻ることに執着するのは彼の弟の存在が大きかった。
行商人と共に訪れた医師が一度弟を
医薬品はどの集落でも全般的に不足している。医療系端末のデータベース解析と研究が進んで製薬可能になった薬剤が増えてきたものの、精神安定剤や睡眠導入剤など、心を落ち着けたり寝つきを良くするような薬は圧倒的に供給量が少ない。あったとしても対処療法的な効果に
少年は六年ほど前にまだ幼い弟と共にジャンク屋の親方に預けられた。両親は死んだと伝えられていたが、親方に預けられる以前の生活や、両親のこと、その顔も記憶から消え落ちていた。
親方の元で生活を始めてからしばらく
最初の頃は少年がジャンク拾いに出かける時に離れるのを嫌がって泣き
少年にはいずれはエンジニアと呼ばれる職業に
エンジニアとしての腕を
しかし、隣街は集落から直線距離でも六十キロ以上はあり、とても弟を連れて徒歩で移動することはできそうもなかった。それに賊徒やドローンに遭遇する危険も無視できない。それらの危険を避け、運良く街へ
ただ、その夢は完全に消え失せることはなく、
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