冬の間、眠りにつく不思議な家族。本作は短編ながら、読者の想像力を膨らませる魅力を持っております。彼等は何処から来て、何処へ行くのだろう?眠りにつく時、誰が守ってくれるのか?人間も大自然の一部なのだと感じさせる、童話のような物語。寒い冬に温かさを分け与える作者様の筆調も見所。オススメです★
「そのとき」が近づくと、少年とその家族は眠くてたまらなくなる。そうなる前に一家は、住処を移り、深い深い眠りにつく。けれどその年、不穏な影がその家族に迫りつつあった…。大きな秘密を抱えた一族、不吉な予兆、それらすべてを覆いつくすように降りしきる、どこまでも白い雪。静謐の中に眠る秘密を、淡々と綴る筆致が美しい。もしも続編があるなら、胸苦しく恐ろしい展開になるような気がしてならないが、それでも読んでみたい魅力を感じる一作。
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