第12話 精霊たちの誤解を解こう
いつものエネルギーぐるぐるを行っていてふと気づく。
ぐるぐる練り上げて貯めたエネルギーを放出していろんな現象を起こしているわけだ。
ならば、このぐるぐるエネルギーを外から自分の体内に取り込めたらすごくないか?
仮にだが、このぐるぐるエネルギーを「魔力」とした場合、外から「魔力」を吸い込み使えるようになれば、自分の体内でぐるぐる練り上げる以外にも強力な切り札になるはずだ。
自分の体内のぐるぐるエネルギーを練り上げるのではなく、渦のようなイメージで回し出す。まるで水が渦を巻き吸い込まれていくように力をイメージしていく。
ズオンッ!
俺様の周りの空気が変わり、木がざわめきだす。ゆっくりと空気が俺様を中心に回り出しているような気がする。
ズズズズズッ!
自分の体内にぐるぐるエネルギーがものすごい勢いで満ちてくる。自分で練り上げるよりずっと早い。
(おおっ! これはいいぞ!)
調子に乗ってもっとエネルギーを集めてみようと力を入れてみる。
ズゴゴゴゴッ!
木々が大きくざわめき、空気が加速するように流れ出す。
その時だ。
「ちょっとちょっと! さすがにボクたち見過ごせないぞ?」
「そんなオイタをされると、とても困ってしまいますわ~」
「風たちも困っているので、もっと優しく接してもらえると嬉しいです・・・」
「お前、オレにケンカ売ってんのか!」
え~っと、美少女四姉妹がそろい踏みです。姉妹かどうかわからんけど。
後、この四姉妹、何気に空飛んでるな。何だが水色っぽい衣装の女の子は元気娘って感じだ。水色のミニスカから健康的な足がスラッと伸びている。ボーイッシュな髪形も元気倍増なイメージだ。何せボクっ娘。
茶色っぽい衣装の子は腰まであるツヤツヤのブラウンヘアーが美しいおっとりしたお姉さんって感じだな。パレオのような長いロングスカートに薄茶のブラウスが清楚な感じだね。ゆるふわ系お姉様で決まりだな!
緑っぽい衣装の女の子は、だいぶ引っ込み思案な感じ。でもすごくかわいくて優しそう。膝くらいまである薄緑のフレアスカートを靡かせると一段とかわいさが増す。引っ込み思案な妹系キャラで決まりだ!
真っ赤な髪を逆立ててタイトなミニスカートを穿く赤い衣装の子はちょっとヤンキー入ってる感じ。昭和のツッパリスケバン風キャラで決まりかな?
『え~っと、どちら様ですか?』
この前子供たちと試してうまくいった念話で話しかけてみる。四人?いるから、全員に伝わるように意識する。
「ボクは強制的に魔力を吸収しようとするのは良くないと思うな」
水色のボクっ娘に言われた。
「契約したりして、頼まれれば私も風の力を貸すこともあるけど、無理やり魔力を吸収するのはどうかと思うのです」
緑色の清楚な妹ちゃんにもダメ出しされた。
「無理やりはイケないと思うの~。もっと分かりあってからの方がいいと思うわ」
茶色いゆるふわお姉さんは何か違う気もするが、そこはあえてスルーだ。
「てめえ! ぶっ飛ばすぞ!」
うん、赤髪トサカはヤバいヤツっと。
『あ、やっぱりこのぐるぐる回ってるエネルギーで魔力なんですか?』
「え? 何で実践してるキミが知らないの?」
水色のボクっ娘が首を傾げて俺に聞く。
『自分、ここで生まれて基本一人で生活していて、誰にも何も教えてもらってないんで。』
「うっわ~、チョー寂しいヤツ!」
赤髪トサカが俺を馬鹿にしたように声を上げ、下げずんだ目で見降ろしてくる。
ほっとけ! 誰も好き好んで寂しい思いをしてるわけじゃねーよ!
スライムだから仕方ないだろ!
さらに赤髪トサカがとんでもないことを言いだした。
「魔力を吸い取ってるから、邪悪な存在なら滅ぼそうと思ってきてやったんだ」
『ちょ、ちょっと! 俺は邪悪でも何でもねーよ! 試しにエネルギーが集まらないか試してみただけだから』
「なんだ、残念だな。邪悪な存在なら遠慮なくアタイの必殺技、<
赤髪トサカは拳に炎を纏わせ体の前で左右の拳をゴツゴツとぶつける。怖いからやめて下さい。
「そう言えば、キミがこの前すっごく綺麗にしてくれたここの泉、ボクの加護つけたんだよね。もしかして泉だけじゃなくて、キミ自身にも加護欲しかった?」
水色のボクっ娘がニコッと笑顔で聞いて来たので、シンプルに疑問をぶつけてみる。
『加護って何ですか?』
「加護って、ボクたち精霊が与えるもので、ボクなら水の加護をあげられるよ! 水の魔法の抵抗力が上がったり、水の魔法を使いやすくなるよ。加護とは別に契約ってのもあるけどね」
『じゃあ君は水の精霊なんだ。それで加護と契約は違うものなの?』
「加護はボクたちが一方的に付与してあげるチカラなんだけど、契約は相互協力だから。キミの魔力をもらって力を直接貸すことが出来るようになるよ。直接的には水の精霊魔法を使用できるようになるのと、契約したボク自身を精霊界から呼び出すことが出来るようになるね」
『いつでも呼び出せるんだ? じゃあ友達だね!』
「と、友達っ!?」
水色のボクっ娘がびっくりした顔をする。
『うん、俺基本独りぼっちでここにいるし・・・。契約して友達になってくれると嬉しいな~』
あまり深く考えずに思ったことを言う。そう言えば、ローガたちは獲物取りに行ってるし、ヒヨコも軍団結成の旅に出ているため、今は俺しかいない。うん、だから嘘じゃないよね。実際寂しいし。ぼっちツライ。
「うわ~、寂しいね~。そうだなぁ、キミには泉も綺麗にしてもらったことだし。そう言えばキミ、子供たちにも自分が水の精霊様だー! なんて言えたのに、正直に水の精霊に力を借りたって言ってたね! ボクは正直な人が大好きだから、ボクの加護を付与して契約もしてあげるよ!」
『えっ!? ほんとっ! やった!』
水色のボクッ娘が両手を開いて前に突き出す。
正直スライムの俺を人って呼んでくれるのはありがたいやらちょっと違和感あるやら複雑やらだけど・・・。
両手のひらが光り輝いたと思ったら、俺に抱き着いてきた。
強烈な光に包まれたと思ったら、光が収まっていく。
「ボクは水の精霊ウィンティア! これからよろしくね!」
そう言って水の精霊ウィンティアは俺に抱き着いてくる。スライムボディはたゆんたゆんして抱き心地がいいだろう? だが、こちらもウィンティアが抱き着いて接触している個所の触感を集中して感度アップ! ウィンティアのぽよぽよおっぱいとスレンダーなフトモモを堪能だ!
・・・これは相互協力によるWinWinな関係だからな?
俺が全身でぴょんぴょん飛んで喜びを表すと、他の精霊たちも興味を持ったみたいだ。
「あなたは~、泉の水を撒いて木々に安らぎを与えてくれましたし~。私、土の精霊であるベルヒアからも加護を付与し契約も行ってあげましょう~」
『わ! ありがとう!』
茶色のロングへアーなゆるふわお姉さん、土の精霊ベルヒアも光り輝いたかと思ったら抱き着いてきた。
光が収まって加護と契約が完了する。
「あなたの魔力はとても力強くて優しいです。きっとあなたの存在はこの世界において無くてはならないものになって行くでしょう。私、風の精霊シルフィアも加護を授け、契約を行いましょう」
緑色の清楚な妹ちゃん、風の精霊シルフィアも光り輝き出し、抱き着いてきた。
『すごく嬉しいよ!』
「オレは加護も契約もやらねーぞ! そんな安い女じゃねーからな!」
胸の前で腕を組みそっぽを向く赤髪トサカ女。
『じゃあいいや。三人も友達が出来たし十分だよ』
「えっ!?」
俺があっさり諦めたので、信じられないって顔をして俺を見る赤髪トサカ。
『三人同時に呼び出した時はすごく賑やかになるね!バーベキューでもしたいね』
「バーベキューって?」
水の精霊ウィンティアさんが小首を傾げて俺に聞く。
『仲の良い者同士集まって料理して食事したり、ゲームして遊んだりするんだ』
結構適当な説明だな! 自分で言ってて情けないけど。
地球時代はぼっちでバーベキューなんてしたことなかったからね!
「へー、楽しそうだね! 私たちは魔力を高めて実体化すれば触れるようになるし、物を食べたりも出来るようになるよ。食べたものはすべて魔力にエネルギー変換されるけど」
すごいな、エネルギー変換率100%! うらやましい・・・って、もしかして俺もそうだったりするかな? 排泄しないし。
「待て待て待てぇ!」
赤髪トサカが喚き立てる。
『なんだよ?』
「いやいや! ここはぜひとも契約と加護をお願いしますって泣いて頼むところだろっ!」
赤髪トサカが捲くし立てる。
『いや、別に』
「何でだよ! オレ様にも加護と契約をお願いしますって言えよ!」
『だが断る!』
「どどど、どうしてだよ! オレ様にまさか不満でもあるってのか!」
『むしろ不満だらけだ』
漫画であればガーンといった表現がバックに出ること間違いなしの表情でショックを受ける赤髪トサカ。
「チクショー! こうなりゃ無理やり加護与えて契約してやる!」
赤髪トサカは全身に炎を纏わせて輝きだすと俺に突っ込んでくる。
『ばっ、こら! やめっ・・・あちゃちゃちゃちゃ!』
ジュ~~~~~といい音がしながら赤髪トサカに抱き着かれる。
俺から煙が立ち昇ってるだろ!
「ふんっ! 炎の精霊フレイアだ。加護と契約を与えてやったんだ。死ぬほど泣いて感謝しな!」
『アホかっ! 焼け焦げて死ぬほど熱かったわ!』
俺は炎の精霊フレイアを睨む。
あ。スライムだから暑さ寒さに強いのかと思ってたけど、今焼かれて熱かったぞ。
やばい!炎耐性とかどうやって取得するんだろ?
トレーニングとしては、炎の精霊フレイアを呼び出して毎回焼かれて経験値を稼ぐ・・・つらいな。
「あ、キミこれで四大精霊と契約しちゃったね! 過去の歴史に四大精霊と同時に契約した人なんていなかったから、キミすごいね!」
「私の感じている通り、きっと世界に無くてはならない存在になるくらいすごい人ですわ」
ウィンティアが褒めればシルフィアも同意する。
「でも、気負わなくてもいいわ~、自然の中でゆっくり生活してね?」
ゆるふわおねーさんのベルヒアが言う。
「俺はお前をまだ認めてねーからなっ!」
フレイアは俺の目の前にゲンコツを突き出し宣う。
ならなぜ加護を寄越して契約する?
「これでボク達は一旦帰るけど、いつでも呼んでね!」
そう言って精霊たちは見えなくなる。
水の精霊 ウィンティア
土の精霊 ベルヒア
風の精霊 シルフィア
炎の精霊 フレイア
四大精霊たちから加護と契約をもらってしまった。
これってチートって言ってもいいのかな?
わかんねーけど、チートかなぁ・・・、いや、これは神だか女神だかから何の説明も、何のチートももらええなかった俺が、自力で手に入れた・・・『友達』だ!
うん。
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