第7話 自分の能力を確かめてみよう


泉をピカピカにして、ジェット噴射で脱出した俺様は泉の畔でのんびりしていた。


「あ~、泉がピカピカだと気持ちいいね~」


泉が濁っていたころは、光の反射もなく空気さえも淀んでいる感じだったけど、今はすがすがしいったらありゃしないわ、ホント。否定形で肯定する矛盾も何のその、ひと仕事やり終えた「おとこ」として、いや、水職人として、いやいや泉の精霊として(?)、やり切った満足感がハンパない。せっかくだし、しばらく泉を見守るとしよう。




あ、どうせなら水を体内に溜めておくか。

体の一部をホースのように伸ばして、泉の中に垂らす。




ズズズズズ~




素晴らしく澄んだクリーンな水を大量に吸い上げる。

え、そんな水をどこに仕舞っておくのかって?

実は素晴らしい能力に目覚めました!




タララタッタタ~! 名付けて「亜空間圧縮収納」!




これはもう、スキルと呼んで差し支えないのでは?

ノーチートノースキルでスラ生大丈夫かって悲観していたけども!


きっと、ラノベのテンプレ能力「無限収納」。いわゆるストレージ、インベントリなどと呼ばれるあの能力だ。だよね? 誰かそうだと言って!(切実)


泉の底でピュリファイピュリファイ毒を分離して水を浄化している時に不純物の処理に困ったんだよね。


どんどん不純物が溜まるから。


そこでさらにエネルギーをぐるぐるして不純物の圧縮に努めまくったわけ。


そりゃーもう日頃ヒマして時間だけはあるもんだから、毎日毎日ボクらは鉄板・・・じゃなくて、ぐるぐるエネルギーをぐるぐるしては枯渇させ、それを繰り返して幾星霜(笑)

自分でも驚くほど膨大なぐるぐるエネルギーを溜めまくった挙句、炭素もぐるぐるエネルギーの圧力でびっくりしてダイヤモンドにでも変わろうかというほど圧力かけまくったわけ。


そしたら、エネルギーの先に開いたのよ!謎の空間が(笑)

いや~、びっくりしたね。とりあえず不純物を放り込んでみる。

どんどん放り込みながら、これはなんだろ~なんて考えていたら・・・




すると、何ということでしょう!




何と放り込んだ不純物の名前が分かったのです!


【ポイズンウォータードレイクの毒】


【詳細:致死毒。成人男性に対して致死量は約3g。現在14125g保持】


想像以上にヤバイモンだったよ!?


でもでもでもでもそんなの関係ねー!!

何といっても鑑定機能付き! これはもう絶対スキルだよね? よね?

大体誰が教えてくれてるの? この情報。まさかの大賢者様?


どうやって取得したか分からんけど。後、毒がヤバイ程溜まってる(汗)


とりあえず、その他のヤバイ毒以外の不純物は無毒化して排出。スライム細胞はすごく優秀なんだよね!

エネルギーぐるぐるしてイメージすると、ヤバイ毒以外の一般的な有毒物を無毒化出来た。


それ以外にも消化液を出して溶かす、接着剤代わりにくっつける・・・、うん、他にもいろいろできそうだ。スライム細胞の活用方法について検討せねば。この世界のスライム研究第一人者になれるかもしれん・・・頑張ろう。




そんなわけで、自分で綺麗にした泉の水を亜空間収納でズゴズゴ吸い込んでいる。




【奇跡の泉の水】


【詳細:汚染された泉が浄化され、水の精霊に祝福され奇跡の泉となった水。体内の解毒、新陳代謝の活性化を促す効果あり。】




(Oh・・・)




いつの間にやら、水の精霊に祝福された奇跡の泉になってました!


ホントいつの間に?


てか、やっぱり精霊っているのね。この世界。




とりあえずトン単位で頂いていきましょう。奇跡の泉の水(笑)


そのうち、カレーとか作って食べたいな~。この水で料理すれば、すごくうまそうな料理ができる気がするぞ。それをこの世界の人間に食べてもらえれば・・・。うん、いいぞ! きっと「異世界うまいぞー!」って感じでフレンドリーに対応してもらえそうじゃない?




・・・スライムの体じゃ料理できないけど。




たとえスライムの体で料理ができる様になっても、どう考えてもこのナリで料理してると怪しすぎるよな。

だいたい、魔女ばりに巨大寸胴鍋を棒でかき回すくらいしか出来そうにないし。

せめて包丁でトントントン、なんてくらいには料理できるようになりたいな。


というか俺、取り込んで消化してるから味わからないんだよね。


・・・尤も狼やら兎やら草やらを消化してるから、味が分かったら最悪だと思うけどね。そういう意味では今は味が分からなくてよかったってところかな。




能力という意味では、スライムボディの変化にはかなり柔軟に対応できるようになった。


やはり体を動かすのはあのぐるぐるエネルギーが必要だが、逆に言えばぐるぐるエネルギーさえあればかなり自由に体を変化させることが出来る。


目下練習中なのは高速触手発射ね。


さっきテストしたのは高いところの枝に二本の触手を高速発射して、巻き付けた後自分の体を引き上げるって動作。これ、かなりうまくいった。慣れれば木と木の間をターザンや野生の猿の如く高速移動できそうだ。


・・・自分で触手って言ってると、ちょこっと悲しいな。何とか、右手とか左手って言えるくらい器用に動くようにトレーニングしなくては。


ぐるぐるエネルギーを体に巡らせると、体自体の大きさもコントロールできるようになった。ちょっと気合を入れれば、今までの三倍以上の体積になることもできる。尤もその状態で動くとぐるぐるエネルギー的にしんどかったので、移動の際には通常のサイズに戻ることにしている。逆に小さくなれるのか試してみたが、普通に小さくもなれた。小さくなるのにもぐるぐるエネルギーがいるんだけどね。


やっぱり一番楽なのは標準サイズのデローン型だな。うん。




スライムと言えば、分裂だけど・・・、ちょっと自信ない。怖いよね。戻らなかったらどうしようとか。分裂したもう片方が勝手にどっかに行ったりとか。もうちょっと様子見よーっと。・・・決して日和ったわけではない、うん。

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