私と双子のクリスマス

黒崎颯

クリスマスプレゼントは……?

 クリスマスが特別な日になったのはいつだっただろうか。

 よく言えば大人びた、悪く言えば斜に構えた性格をしていた幼少期の私は、季節ごとのイベントのほとんどを避けていた。

 クリスマスを例外ではなく、サンタクロースなる会ったこともない謎の人物からプレゼントを受け取るなんて気味が悪いと思っていた。

 なので毎年、親からサンタさんにプレゼントをお願いする手紙を書くように言われても、『サンタクロースへ プレゼントはいりません』なんて可愛げのかけらもない手紙を書いていた。

 それでも私の両親は私の普段の様子から欲しいものを察してくれて、毎年プレゼントを用意してくれていた。

 今になって思うと、とても面倒なことをしていたと思う。

 お父さん、お母さん、ほんとごめん。

 そんなクリスマスが特別な日になったのは私が六歳、小学一年生の時だ。

 双子の妹が産まれたのだ。

 真昼と夕夏と名付けられた二人を見た瞬間、私は一目惚れした。

 二人はまさに天使だった。

 それから私は二人に夢中になり、家に帰ると真っ先に二人の元に向かう日々を過ごした。

 そのおかげか、高校生に成長した二人はこんなシスコンな姉を見放さずに、幼い頃から変わらず私のことを好いてくれている。

 そして、明日はそんな愛しの妹たちの誕生日だ。

 二人が産まれてから、私はプレゼントをもらう側からあげる側になった。

 もちろん今年もプレゼントを渡す予定だ。

 しかし、なんだか今年は二人の様子がおかしい。

 なにか私に隠れてコソコソしているのだ。

 気にはなるけど私のやることは変わらない。

 いつもと同じように、二人が産まれてきてくれたことに感謝を伝えるだけだ。



 クリスマス当日の夜。

 例年と同じように二人を私の部屋に呼び出してプレゼントを渡した。

「はい、まずは真昼に新しいスニーカーね」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 いろんなところに出歩くのが好きな真昼には新作のスニーカーを。

「そして、夕夏にはこれ」

「姉さん、ありがと」

 読書が好きな夕夏にはブックカバーと栞を。

「二人とも誕生日おめでとう! 私の妹に産まれてきてくれて本当にありがとうね!」

「お姉ちゃん……」

「姉さん……」

 私の言葉に少し頬を赤らめる二人。

 その可愛さに鼓動が早くなる。

「お姉ちゃん、今年はね、私たちからもプレゼントがあるの!」

「大好きな姉さんへの感謝の印」

 そういうと夕夏は私にアイマスクをかけてきた。

「えっ?」

「準備するから、そのままちょっと待ってて!」

 何やら布がすれる音がする。

 なんだろう、視界が塞がれて聴覚が鋭くなっているおかげでなんか、こう、いやらしい音に聞こえてしまう。

「アイマスク、外していいよ」

 目の前にあったのは、リボンで結ばれた愛する双子であった。

「私たちからのクリスマスプレゼントは」

「真昼と夕夏の二人」

「「お姉ちゃん(姉さん)大好き!」」

 気がつくと、眼から涙がこぼれていた。

「二人とも、愛してるよ」

 涙を見られるのが恥ずかしくて、思わず二人に抱きついた。

 なんて素晴らしい妹たちなんだろうか。

 その後のことは皆さんのご想像にお任せします。

 ただ一つ言えることは、最高のクリスマスを過ごすことが出来たということだけ。

 双子の妹、最高。

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私と双子のクリスマス 黒崎颯 @usagi-kurosaki

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