月と太陽、暗がりと日なた。月(つき)と日(にち)という名の双子に重ねられたモチーフがそう言った類のものであるならば、さながら読者の心は潮の流れのようです。月と太陽の引力に翻弄される潮流です。
ちょっとキザっぽいこと言っちゃいました。この作品を読み終えた時に感じた、心を鷲掴みにされるような気持ちと抒情的な文運びの妙に、思わず引きこまれた故のキザな感想です。
月の抱える、どうしようもないほどの強い感情。その抱え込み方や結末への心情の変化、そして月から見た日の心情とその実情のカタルシス。素晴らしい密度の百合短編であること請け合いです。
大変素敵な百合作品を拝読し、その僅かばかりのお礼としてレビューを置いておきます。ありがとうございます。