雪と星
鈴音
空きらり
朝早く、どんよりした空とどっさり積もった雪を見て目を覚ました。
毎年この時期になると本格的に雪が積もり初め、雪かきをしたり遠いところに住んでいる友達に方言を笑われながら暖房の効いた部屋で冷え冷えのみかんを食べるのだ。
そんな光景を考えながら、玄関フードの戸を開け、雪かきを始める。
今日は何も無い日だったが、冷蔵庫の中身も無いので買い物に出かけようと思い、雪下ろしもしなきゃなぁと考えてスコップを重い雪に差し込んだ。
そして、大体終わった頃に、玄関フードの中に雪下ろし用のブラシが無いことに気づき、窓から車の中を覗くと何故か家に2本あったブラシが両方車内に取り残されていた。
多分、昨日気づかず入れっぱにしたのだろうと、車の鍵を開けたが、扉は開かない。どうやら凍っているようで、すぐには開けられそうになかった。
なにか温めるものが無いかとリビングに戻り、テレビを見ると、世間は大渋滞で大混乱だった。
軽くため息をつきながら、鍵をコルクボードに戻して、カイロと防寒具を用意した。
雪かき用の薄い手袋から、外用の分厚い手袋にはき替えて、帽子とコートも外用の少し質のいいものを着て、家を出た。
なげるゴミも無いので、財布だけ持って近所の大きな商店街に向かう。あそこなら、食べ物の他にも色々使えるものがあるだろうし、まだまだ雪や寒さが厳しくなりそうなこれからに備えて、買うものを増やそうとぶらぶら歩き始めた。
歩いていると、次第に雪が降り始めた。クリスマスが近くなった街は、色とりどりの飾りと、楽しそうな子供の声で彩られ、そこに雪でうっすらと化粧が施されて、昼間なのにどこか幻想的な姿がそこにあった。
商店街のアーケードの真ん中には、ビニールを突破って天高くそびえるもみの木があった。その隙間から、雪がはらはらと零れ、その下のプレゼントボックスの周りには子供たちが集まり、楽しげに笑っていた。
微笑ましい光景につい見とれてしまったが、買い物を無事済ませ、私は帰路についた。
今日は夜に雪が少し弱まり、綺麗なホワイトクリスマスになるという。
私はそれを楽しみにしながら夜ご飯の準備をし、カップ麺を食べて一日を過した。
夜ご飯は、食べたいご馳走だけを沢山食べて、雪が程よい具合の時に外に出てみた。
そこには、初めて見るような星空と、雪が煌めいていた。
星の光が雪に反射して、眩しいくらいに明るい夜を眺めていると、頭にこつんと、何が当たった。
見るとそれは、きらきらと輝く星の欠片。それをそっと手に取って、空に掲げると、ぴかりと輝いて、その光に目を閉じると、私は空に浮かんでいた。
ふわふわと、雪と一緒に街に向かって落ちていると、光溢れる街と、空の星の輝きに挟まれて、気づけば私は眠っていた。
…気づくと、布団の中で私は眠っていた。久しぶりに暖かくて、ゆっくりとした眠りだった。ぐっと伸びをしたその時に、目の前に箱が落ちていた。
なんだろうと思って手に取ると、どうやらプレゼントボックスらしい。
…さて、サンタさんは私にどんなプレゼントをくれたのだろう?そう思いながら、ゆっくり蓋を空けて、その中の星空を、私はいつまでも眺めていた。
雪と星 鈴音 @mesolem
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