冒頭を読んでいるときは記憶の断片のみが語られるようで、不思議なまぼろしの世界に迷い込んでしまった感覚に襲われるかも知れません。
ですが、そこで語られることは全てのちのちの伏線です。
タグにもあるのでネタバレにはならないかも知れませんが、念のため伏せておきます。
ある「精神症状」を包含したSF系ミステリーというのが、本作の真の姿でしょう。
その一方で一人の女性『純麗子(すみれこ)』の一生を綴った文学作品としての側面も持ち合わせています。
SF要素が濃厚になって行くのは中盤以降。
ラストには背筋が凍る種明かしが用意されています。
ちなみにオペラ好きには楽しい要素もありますよ!
各アリアの意味やオペラのシチュエーションを重ねつつ読み進めると、本作の人間関係にもさらに深みを感じられること請け合いです!
7万5千字と長すぎず読みやすい完結済み作品ですので、気負いなく読み始めてみてください!