最終話 6か月後の関係は……。

 彼女たちが越してから6か月が経つ。

 それまでに色々あった。

 バイト先に 彩弥音あやねが来たり、凛華と2人だけで買い物に行ったりね。

 その度に試行錯誤。俺の好感度はドンドン上がったんだ。


 じゃあ、3人の数値を観てみようか。


 好感度数値化ハートデジット


 まずは末っ子の11歳。咲から。

 彼女は三姉妹の中で1番チャンスタイムが多かったんだよな。



♡+92(結婚したい)(安定期)



 もうとんでもない数値になっている。

 何かと俺に抱きついてくるし、一緒にいたがる。お風呂に一緒に入りたいと言い出した時は流石に強く断った。11歳ながら、出る所は出ているわけで。兄妹でもこれだけはダメだと思う。 

 

 この前なんか酷かった。

 俺のベッドに潜り込んでいたんだよな。

 そして、


「ねぇ、お兄ちゃん……。咲ね。もう赤ちゃんを産めるんだよ」


 などと真っ赤な顔で言う。

 まったく、俺はどう対応したらいいんだよ。とりあえず手刀をオデコに食らわせてから自分の部屋で寝てもらった。


 続いて、長女16歳。 彩弥音あやねだ。




♡+77(恋人になりたい)(安定期)



 彼女とも随分と仲良くなった。


 学校が同じなので、共有する時間が長ったのが大きな要因だろう。加えて、俺のバイト先、アニだらけで働くことになった。

 彼女みたいな美少女が、妹なんていうのは本当に気を揉んでしまうよ。男店員、並びに男性客からは嫉妬の嵐である。


「陸斗になりたい!」

「陸斗氏は、あんな子と一つ屋根の下で暮らしておるのか! なんと羨ましい」


 義妹だからな! 兄妹なんだ! 

 そんな甘いことはない!


 しかしながら、この前はしくじった。

  彩弥音あやねが風呂に入っているとは知らずに扉を開けてしまったのだ。

 丁度、下着を着ていたところで、大きな胸にブラを被せようと屈んでいる時だった。

 もう、2人とも全身が真っ赤で、俺は「ごめん!」と謝って部屋に戻る。そしたら、彼女は部屋着に着替えてから、俺の部屋へとやって来た。

 で、怒られるかと思いきや。


「さっきはごめんね。……その。汚いモノ見せちゃった」


 美少女なのに、何故か自分の体にコンプレックスがあるようで。これを本心で言っているのだから困ったもんだ。

 俺からすれば、感謝する案件なんだよな。しかしながら、彼女は俺に迷惑をかけたと、本気で思っている。

 俺は散々謝ったあげく、


「言っておくがな……。俺は嫌な気持ちにはならなかった。そ、それどころか、兄として、その……。そういうのは本当にダメなんだがな。お前の下着姿を観て……。その……。と、とにかく。嫌な気持ちにはならかったからな!」


「じゃあ……。私のこと嫌いにならない?」


「そんなのは当たり前だろ」


 彼女は真っ赤な顔で口角をわずかに上げた。


「わ、私って……。異性として見られてるのかな?」


 俺は思わず、「そうだよ! そうに決まっているだろ!」と言いかけて、


「そんな訳ないだろ! い、妹なんだからな」


 彼女は少しだけ残念そうな顔をして、


「そっか。エヘヘ。そうだよね」


 と言って出て行った。

 俺が「はぁ」とため息をついて安心した時、ひょいと顔を出す。


「陸斗くんって、なんだか、本当のお兄ちゃんみたいだね」


「揶揄うなっての。俺たちは家族だろ」


「フフフ。おやすみ」


 俺は彼女の残り香を胸一杯に吸い込んで天井を見上げた。脳裏に焼きついているのは、 彩弥音あやねの真っ白いレースの下着である。中央部分のピンク色のリボンは、今でも鮮明に覚えている。

 右手を強く握った。


「使ったら、兄として失格だぞ。うん」


 などということがあったな。

 去り際に彼女の好感度を見たら♡+78(恋人になりたい)になっていた。

 どうやらまだ上がるようだ。




 さて、最後は14歳の次女。凛華の好感度になる。

 2か月でどうなったかな?





♡+79(恋人になりたい)(安定期)




 なんと、 彩弥音あやねの好感度を抜いてしまうというとんでもない事態となっていた。


 そして今、俺にもとんでもない事態が発生していた。

 バイト先の子が100万円の借金をしてしまい、このままでは高校を中退して働かなくてはいけなくなったのである。

 俺の提案で借金返済の金はコミケの同人誌即売会でなんとかすることになった。同人誌は、借金をしている子が描くことになり、その出来はまぁまぁ上手いのだが、何分素人が作った物。完売しなければ金は作れなかった。そこで重要なのが売り子である。可愛い売り子さえいれば、同人誌は売れる。

 この話を聞きつけた凛華は、売り子を志願してくれた。しかも、コスプレまでしてくれるというのだ。


 今は、その姿を確認する時である。

 部屋の扉がノックされ、魔女っ子の格好をした凛華が入ってきた。

その顔は真っ赤である。


「ど、どうかしら?」

 

 め、めちゃくちゃ可愛い。

 しかし、素直に可愛いというのは癪に障る。


「お、おう。結構、いいんじゃないか?」


 いや、結構どころではない。

 スレンダーな体に魔女っ子のフワフワミニスカート。安定のニーハイ。そして、上半身は肩出しで、少しだけ胸の谷間が見えていた。


 最高だろう。


 ただジッと見惚れてしまう。


「……か、勘違いしないでよね! あ、あんたの為にやったんじゃないんだから! これは人助けなんだからね!」


「ああ、わかってる。手伝ってくれてありがとな」


「フン! 全く。他人の借金なんてどうだっていいじゃない。バカ陸斗! 本当にお人好しなんだから。見てられないわよ」


 ふと、腰のリボンが解けているのに気がつく。


「あ、リボンが解けてるぞ?」


「え? 本当?」


「よし、俺が結んでやるよ」


 と、近づいた時。

 焦った彼女と俺はぶつかり、2人はベッドの上へと転倒した。

 俺は凛華の上へと覆い被さる。


 彼女は真っ赤な顔で俺を見つめた。


 いかん早く退かなければ!


 そう思いながらも、可愛い魔女っ子コスプレの凛華に目を奪われて体がいうことを効かない。視線を晒せば、はだけた衣装の隙間から水玉模様の下着が見える。


 うう、逆効果!


 しばし、2人で見つめ合う。

 彼女は何かを求めるように、唇を突き出し、そっと瞳を閉じた。


 いやいやいやいやいや!  

 ダメだダメだダメだ!


 俺たちは兄妹なんだからな!

 本当に絶対にダメだ!

 俺の心拍数が早くなる。 

 と同時に凛華の♡は七色に輝き、チャンスタイムへと突入した。


 つまり、これは……。

 俺の選択によって、好感度が爆上がりか!


 ・キスをする。

 ・キスをしない。


 し、しかし、ここでキスをしてしまっては取り返しのつかないことになってしまう気がする。

 それにキスをした後、俺は、凛華を襲ってしまうかもしれない。

 不味い! 落ち着け俺!

 鎮まれ俺の本能!!


 などと葛藤していると、唇に柔らかい感触が伝わる。


「!?」


 凛華の方から、俺に口付けして来たのである。






「好き……」





 ハッキリと、凛華はそう言った。


 俺は混乱すると同時に、彼女の可愛さに胸が張り裂けそうだった。

 そして、今度は俺の方から彼女にキスをした。少女の甘い吐息が漏れる。


「ん……」


 凛華は、恥じらいながらも俺の体を抱きしめた。

 それは俺の全てを受け入れるように。


 あ、もうこれダメパターンだ。


 心臓はバクバクと動き、体中の血液がグルグルと循環する。

 凛華の唇に舌を捩じ込むと、彼女は嬉しそうに俺の舌を絡めた。


 もう、自分で自分をコントロールできない!


 そう思った時である。



ガチャ!



「お兄ちゃーーん! 咲も着て来たよぉ♡」


 ケモ耳姿にコスプレをした咲が部屋に入ってきたのだ。

 俺は扉の音でハッと我に帰り、咄嗟に離れていた。


「あーー! 2人とも狡い! なんか仲良いんだからぁ!!」


 そう言って俺たちに抱きついてくる。


「咲も仲間に入れてーー♡」


 どうやらキスは見られてないらしい。

 と、そこへ、


ガチャ。


  彩弥音あやねが魔導士の格好をして入って来た。


「な、何やってんのあなたたち?」


 やれやれである。


 とにかく、なんとかことなきを得た。


 その後は3人で撮影会が始まる。

 そして、3人が部屋に出て行こうとした時。凛華はソッと俺の服を摘んだ。


「つ、続きはいつでもいいからね。……ま、待ってるから」


 俺は時が止まったように、「あ、明日の即売会はよろしく頼むな」


 と言うだけだった。

 去っていく凛華の好感度を見る。



♡+82(結婚したい)



 もう、どこまで上がるのか想像もできない。


 次の日。

 コミケは大成功した。バイトの子は借金を返済。その上、俺たちには高額なバイト代まで貰えることになった。

 これも全て三姉妹のおかげである。


 俺は彼女たちにお礼すべく、買い物に付き合うことにした。


 咲は俺の腰を抱きしめる。


「咲ねぇ。お兄ちゃんの服を買ってあげたいの」


「え?」


 咲にお礼をする買い物なのだがな?


 咲の頭の上から 彩弥音あやねが俺の右腕を抱きしめた。


「じゃあ、私は陸斗くんの靴を買ってあげたいな」


 いやいや、だから、この買い物はお前たちのだな。


 などと思っていると、今度は左腕を凛華が抱きしめる。


「私でも遊べるゲーム教えてよね。買ってあげるからさ」


 おいおい。


「今日は俺がお前たちにお礼をする日なんだってば!」


彩弥音あやねがニコリと笑う。


「良いのよ。いつもあなたには、親切にしてもらっているんだから」


 凛華はそっぽを向きながらも俺の腕を抱きしめた。


「た、たまには私たちにお礼させなさいよね」


 咲は満面の笑みである。


「いつも優しくしてくれるもんね」


  彩弥音あやねが「感謝してるわよ」と言った後に、三姉妹は口を揃えてこう言った。




「「「 お兄ちゃん! 」」」




 やれやれ。

 可愛い妹を持つと気苦労が絶えないよな。



おしまい♡




────


 最後までお読みいただき本当にありがとうございます。

 ☆の評価が予想以上に低くて、急遽、終わらせることになりました。

 全ては私の実力の無さが原因です。申し訳ありません。

 本当は消そうかとも思ったのですが、楽しみにしてくれている読者様もいるようなので、急遽、最終回を書きました。


 私が書く作品は、基本的に3つです。

 男性用がハイファンタジーとラブコメ。女性用が恋愛小説。

 この3つがメインとなっております。

 コレクションにまとめておりますので、是非クリックして読んでみてください。


 男性向け小説は、基本的に美少女が出てきて主人公がモテモテで大活躍する話となっております。


 また、作者フォローなどしていただけると新作の知らせができたりしますので、是非、登録をお願いいたします。


 それではまた、次の作品でお会いしましょう。

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俺、【好き】が見える〜親が再婚したので美少女の義妹が3人も出来ました。「このキモオタ」と罵られても、俺は好感度を可視化できるからな。お前の数値は、もう遅い〜 神伊 咲児 @hukudahappy

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