第9話 大ピンチ
今は引っ越しの最中である。
3人の義妹たちはせっせと自分の荷物を運ぶ。
さて、咲を手伝ったからな。
今度は他の2人だけども……。
凛華の好感度は♡−28(嫌い)だ。
これじゃあ声を掛けるのすら
とりあえず、彼女は置いといて、
「
「ありがと。じゃあ、その段ボール持ってもらおうかな」
「よしきた」
1階は駐車場で、いきなり高い階段を登らなければならない。
彼女は俺の先に登ることになった。
よし、じゃあ、俺も彼女の後に続いて……。
と、顔を見上げて時が止まる。
視界に飛び込んで来たのは、細く、綺麗な太もも。
彼女はミニスカートを履いているのだ。
「う!」
いかん。
このまま角度がつけば下着が見えてしまう。
本来ならばラッキースケベイベントだが、よくよく考えろぉ。
彼女は妹なんだ。そんなことができるはずがない。
それに、もしも、スカートの中を覗いているのがバレたら、確実に好感度は下がる。
絶対に上を見ちゃダメだ!
俺は、直様、目を閉じた。
同時に、階段から顔を背ける。
あ、待てよ。
横を向いてんなら目を閉じる必要もないか……。
ゆっくりと目を開けながら嘆息。
「はぁ……。危なかったぁ」
視界に
危機は去った。
代わりに凛華がこちらを睨んでいた。
え!?
「何が、危なかったのかなぁ?」
「あ、いや。あのな……。これは、その……」
み、見られた。
この、親の仇のような視線は、確実に見られてしまったぁ!
このままでは確実に好感度がマイナスになる。
しかし、落ち着け俺、まだマイナス演出は始まっていない。
言葉は慎重に選べぇええ。
「じぃいーーーー」
凛華は蔑むような視線で俺を睨む。
「あ、あのなぁ。これは違うからな」
「なぁにが違うのかしらぁ?」
「だ、だから、そのぉ……」
うう、直接的な表現は避けたい。
まだ、知られていないという僅かな可能性に賭けたいんだ。
「お姉ちゃんのパンツ見ようとしてたでしょ?」
バレれてたーーーー!
オワターー!
松田 陸斗、終了のお知らせーーーー!!
って、待て待て、
それは覗いてたらの話だっての!
めちゃくちゃ見たかったが、理性がそれを押し止めたんだ。
「俺は見てない!!」
そう、これが真相だ!
「じぃーーーー」
くっ!
俺をジャッジするような目で見るな!
「だいたい、俺たちは兄妹なんだぞ! そんなことするわけないだろ!」
これは本心だ。
届いてくれ、俺の想い!
凛華は鼻で嘆息。
「ま……。それはそうなのかもね」
「え?」
「一部始終を見てたけどさ」
うぉおお、見てたんかい!
早くそれを言え!
心臓に悪すぎるだろ!
「あんたは見ないようにしてたわね」
おおお、良かったぁああ!
ちゃんと見てくれてたぁああ!
「だ、だろ? 俺はそんなことはしないからな。安心してくれ」
「……もしも、いやらしい顔でお姉ちゃんのパンツを覗いてたら、大声出して警察呼んでたわよ」
「は、ははは……」
ひぃーーーーーーーーーーー!
怖ぁああああ!!
覗かなくて良かったぁああああ!!
偉いぞ理性。
ありがとう俺の知性ぃいいいい!!
凛華は荷物を持って階段を登ろうとする。
「
「……そんなことするわけないだろ」
恐ろしい。
彼女の言葉は本心だろう。
そんなことをすれば、俺の体は八つ裂きにされて、社会的身分は永久に剥奪されるような気がする。
「ふん!」
と、彼女は階段を登って行った。
ふぅ……。
なんとか危機は去ったな。
引っ越しの時くらいズボンを履いてくれよって感じなんだけどな。
3姉妹はミニスカートが好きみたいだから仕方ないか。
それと、さっき、凛華とすれ違い様に彼女の好感度を覗いてみた。
俺はまめなチャックは怠らないんだ。
今までは♡−28(嫌い)をキープしていたけどさ。
♡−26(嫌い)
なんと+2されている。
どうやら、この件が効いているようだ。
災い転じて福となす、とは正にこのことだろう。
やれやれ。
なんとか乗り切ったな。
とはいえ、彼女はまだ(嫌い)の段階だ。
なんとか(好き)まで持っていかないとな。
因みに、引っ越しが終わってからの
♡+6(好き)
前回が+5だったから1上がっている。
地味だけど、こういうのも嬉しいんだよな。
────
面白ければ☆の評価をお願いします。
次回は三姉妹が松田家について印象を語り合います。
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