第8話 凛華のざまぁ
「じゃあ、借りようかな」
俺は笑顔で答えた。
この選択しかないはずだ。
「あは♡ 貸し合いっこだ」
「だな」
「えへへ……♡」
チャンスタイムの演出が終わっているな。
咲の好感度は♡+5だった。
さぁ、どうなった?
♡+20(好き)(安定期)
安定期キターーーー!!
一気に15も上がってしまった。
ふふふ。目標達成だ。
今後、咲とはちょっとくらい喧嘩しても好感度は下がらないぞ。
「貸し合い♡ 貸し合い♡」
「随分とご機嫌だな。そんなに漫画の貸し合いが嬉しいのかい?」
「うん。だって、凛華ちゃんも
なるほど。
同じ部屋だとそんな問題があるのか。
「それはプライバシーに欠けるな」
「えへへ。でも、今日から夢の1人部屋だよ。ママが結婚して良かったなぁ」
「そうか……」
そんな考え方もあるんだな。
親の行動に振り回されて困っているだけじゃないんだ。
なんにせよ、家に来ることをこんなに喜んでくれるなら俺も嬉しい。
「それにね……えへへ」
「なんだ?」
「お兄ちゃんもできたしね♡」
「……そ、そうか」
恥ずかしいけど、素直に嬉しいな。
しかし、出会った時から随分と好感度が変わったよな。
どんな心境なんだろ?
「俺のこと嫌ってなかった? キモいとか言ってたと思うけど?」
「あ、もしかして気にしてる? ごめんね」
「いや。特に気にはしてないけどさ。随分と態度が変わった気がするからさ」
「うーーとね。初めて出会った時は、なんか冴えないお兄ちゃんだなーーって思った。髪型とかボサボサだしね」
「ははは」
申し訳ないね。
見た目は無頓着なんだよな。
「でも、一緒にゲームしてくれて楽しいしね。それに……」
そういって顔を赤らめる。
「優しいもん」
彼女にとってはいい友達ができた感じなのかもしれないな。
まぁ、俺にとっては理想の関係だ。
とりあえず咲は目標を達成した。
後は、凛華と
咲の荷物を部屋に入れて、1階に降りると、凛華がこちらを睨んでいた。
なんかめっちゃ怒ってるな。
もしかして手伝って欲しかったのか?
「どうした凛華? 俺に手伝って欲しいのか?」
「はぁああ!? んなわけないでしょ! このキモオタ!」
じゃあ、なんで怒ってるんだ?
「ちょっと、咲ぃ! あんたは自分の荷物くらい自分で持ちなさいよね!」
「ほえ? なんで?」
「な、なんでってねぇ……。こ、これからは1人部屋なんだから当然でしょう! 自分のことは自分でする! もう子供じゃないんだからぁ!」
「咲、小学5年生だよ? まだ子供だよ??」
「う! と、とにかくねぇ! キモオタから離れなさい! ちょっと距離が近いわよ!」
「えーー。やだ。咲、お兄ちゃんと引っ越しの準備するもん」
「ちょ、咲ぃいいい!!」
「んべーー。凛華ちゃんの怒りんぼ」
「あ、
「意味不明だよ。咲はお兄ちゃんと仲良しなんだから」
「な、仲良しぃいい!?」
「もう、漫画の貸し合いっこする約束もしちゃったんだからね」
「な、ななな……! そ、そんなことしたらあんたの大切な漫画にキモオタの臭いが移っちゃうわよ!?」
おいおい。
キモオタの臭いってなんだよ?
「キモオタの臭っさい汁が漫画に付いちゃうわよ!? あんたの漫画がキモオタ臭くなってもいいの?」
「そんなの移らないよ。お兄ちゃん、良い匂いだし」
ふむ。
「そこは安心してくれ。毎日、風呂には入っているからな」
見た目には無頓着だが、綺麗好きな方なんだ。
漫画は綺麗に整頓し、部屋には芳香剤を置いている。
「お兄ちゃんは清潔だもん」
そう言って、俺に抱きついた。
「咲ぃいいいいいいいい!! そんな奴にくっつくなぁあああ!!」
「えへへ。お兄ちゃん♡」
凛華は真っ赤な顔でこう言った。
「勝ったと思うなよ!」
そう言って、自分の部屋に荷物を整理しに行く。
何かの勝負をしていたのだろうか?
うーーむ。よくわからんな。
さっき、チラリと凛華の好感度を見たが、♡−28は変わっていなかった。
この数値を+にもっていくのは至難の業だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます