第4話 作戦開始!

 末っ子の咲は小学5年生。

 俺に対する好感度は−5(嫌い)だ。


 この数値を上げるべく、俺は作戦を開始した。

 その名も、仲良し大作戦。

 まぁ、大が付くほど大袈裟ではないが、語呂が良いので大作戦とする。


 その方法は、ゲームと漫画で仲良くなる! 


 フフフ。

 これは俺の常套手段。

 俺はスクールカースト底辺層を、この方法で乗り切ってきたのだ。

 ボッチの寂しさを埋めるべく、同胞を探すんだ。服や髪型のダサさなど、同じ臭いのする生徒を見つけて探りを入れる。「ゲーム何が好き?」「漫画何読む?」同じ趣味。ここから交友関係が構築されるのである。


 ここで気をつけたいのが「今期のアニメ何観てる?」という質問だ。これは中々に鬼門である。なにせ少々オタク臭い。

 もしも、相手にその免疫が無ければ、「こいつはオタク臭いから付き合うのはやめておこう」というジャッジが下されてしまうのだ。また、「こいつキモオタだから付き合うのは気をつけろ」などとクラス中に吹聴されようものなら大事件である。ただでさえスクールカースト最底辺の自分の身分が、「コイツはキモい」と格付けされて、更に下がってしまう可能性があるのだ。


 よって、まずはジャブ的に探りを入れる。

 ゲームと漫画から入るのが無難な方法だ。 

 踏み込んで良さそうなら、そこからアニメの話へと発展させるのが上級者というものだろう。

 もっとも、アニメが好きな奴というのは、大体オーラでわかったりする。ニュータイプとでも言おうか。感じるモノがあるのだ。向こうもこちらのオーラには感付いているので、アニメの話題ともなると相当な盛り上がりを見せる。


 さて、話を戻そうか。


 咲にはアニメの話は振っていないが、ゲームと漫画が好きなら、きっとアニメも受け入れてくれるだろう。いやむしろ、その話題で仲が深まるかもしれない。


 フフフ。

 俺の部屋を見せるのが楽しみだ。


「咲が行くならあたしも行くわよ! 可愛い妹をキモオタの部屋にやるなんて心配だもん」


 よし。

 もしかと思ったけど凛華も来てくれるぞ。良い展開だ。


「じゃあ……。私も行こうかな」


 おお!  彩弥音あやねまで!

 美少女3人が俺の部屋に来ることになったぞ。フフフ。良いぞ良いぞ。


 仲良くなるには自己開示が必須。


 ハッキリ言うが、俺はオタクだ!

 凛華の言葉は中々に的を得ている。


 しかし、そんなことは隠していても直ぐにバレること。家族として仲良くなるには自分を知ってもらうのが一番なんだよな。

 学校では隠しているが家族には晒そうと思う。早目に知ってもらった方が傷は浅く済むんだ。

 

 ここで、3人まとめて仲良くなってやりたいが、まずは咲からだな。

 あとの2人には俺と咲が仲良くなるのを見てもらうのがベストかもしれない。


 よし、粛々と進めていこう。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る