第2話
俺として。
皆のヒーローとして。
まずは何をやろうか。
街中で人助け?
いや、いつも困っている人がいるとは限らない。
生徒会などに入る?
俺の学力と信頼度では無理だ。
…!
そうだ。
学力を鍛えれば、皆に勉強を教えるだとか、
信頼度を伸ばすだとかできるじゃないか。
俺は、成績表とテスト結果の紙を持ってきた。
成績は…
保健体育は5だ。
俺自身も体を動かすのは結構好きだし、運動神経もまあまああると思う。
数学と理科と音楽は4だ。
数学の問題は、謎解きをしているみたいで楽しい。
理科は世の中いろいろな事象があることが分かるから好きだ。
音楽を聴くのも好きで、よく音楽を聞きながら勉強したりする。
その他は全部3…。
歴史は細かいところまで覚えないとだから苦手だ。
英語も、文法とか覚えにくいものがあるから苦手。
テストは…
数学は75位中15位だ。
このときは結構力を入れてたなぁ。
理科は75位中22位。
そこそこかな。
国語、社会は共に75位中31位。
英語は、75位中51位…。
英語に力を入れて勉強しなきゃだな。
ということで、俺は今、英語の参考書を買いに来た。
俺の家から徒歩約5分で行ける書店だ。
学校にも近いから、たまにクラスメイトに会ったりもする。
なるべく俺でも分かりやすい説明のものがいいな。
「………なあ、もっと早くやってくれないか?
お客様を待たせているんだよ」
「す、すみません」
「返事はいらない!さっさとやれさっさと。」
…!レジの方から声が聞こえてきた。
推理すると、新人さんと店長の会話らしい。
ここの書店の店長は、少しキツいことで有名だ。
お客様に対しては優しいが、新人には厳しいと聞いたことがある。
「ほら、モタモタするな、ちゃんとやれ!」
「はい…」
うー、だめだ、放っておけない。
「あ、あの、」
「ああ、レジ待ちですか?
それは列の後ろに並んでるから…」
「いえ、あの、新人さんが大変そうにしていたので、手伝えることがあれば手伝いますが…。」
店長の目がキラリと光った。
「いいのかね?青年」
「はい。」
「じゃあブックカバーを包むのをお願いするよ。 新人、教えながらレジ打ちを頼む。」
「「はい。」」
「まず、本の高さに合わせて内側に紙を折る。」
「はい」
「本の横幅に合うように、指で少し擦って印を付ける。そして、その線に合わせて内側に折る。」
「はい。」
「さっき折ったところを広げて、本の表紙、裏表紙を入れる。」
「はい。」
「これで完成。君、なかなかうまいね。」
「あ、ありがとうございます」
褒められて悪い気はしない。
少し照れながら本を包み続けた。
「よし、休憩の時間だ。休んでていいぞ。」
「は、はい」
「青年、よく頑張ってくれたな。本当にありがとう。」
「はい、こちらこそお役に立てて良かったです。」
「青年、君はなんでここに来たんだ?」
「あ、俺、英語が苦手なので参考書を買おうと思って。」
「ほう、じゃあ一冊タダであげよう。」
「いいんですか!?」
「うむ。」
意外と優しい人だなぁ。
「じゃあ、これ、お願いします。」
「うむ。」
店長が丁寧に包装してくれた。
意外と手先も器用で、ブックカバーも本にピッタリだった。
「青年!頑張れよ〜!」
「はい!また来ます!」
人助けも悪くない。
もしかしたら、俺はもうヒーローなのかもしれない。
ヒーローへの一歩を踏み出せたと思うと、嬉しくなった。
まだヒーローへの道は始まったばかりだ。
よし、明日も頑張るぞ!
〜第3話へ続く〜
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