スーパーヒーロー

きみとおさる

第1話

6歳の頃。

幼稚園で将来の夢を発表するとき。


「僕は、スーパーヒーローになるんだ!」


そう、答えていた。


小学校中学年になっても貫き通した。

だから、皆に笑われた。

なれるはずないって。

存在すらしないって。


だから、

嫌になって、思ってもない夢を描いた。

幼馴染たちは

存在する、現実味のある、

自分らしい夢を描いていた。


小学校を卒業し、半年が経った。

幼稚園の頃のアルバムを見つけて読み漁っていると、案の定、将来の夢の欄にはスーパーヒーローになりたい!と書いてあった。

俺は唐突に思った。


スーパーヒーローってなんだろう?


皆の役に立つこと?


皆を幸せにすること?


世界を幸せで満たすこと?


皆の役に立つだけなら、

ただのどこにでもあるありがとうだけだ。


皆を幸せにすることなら、

皆挫折や反発などの経験をせずに人生過ごすことになる。


世界を幸せにすることなら、

当たり前にあることに感謝することを忘れてしまう。


そんなら皆の役に立つことがヒーローなのか?

本当に?


アニメや特撮で観るのは、

世界を蝕む悪を退治するのをヒーローと呼ぶ。

そんな世界は存在しないから、

そもそもヒーローなんていないのか?


いや、いる。

自分の憧れになって、自分が目指す人をヒーローと呼ぶこともある。


ヒーローは、人の憧れになることなのか?


決めた。

自分が自分らしく、

皆のために役に立つように。

皆が幸せを感じながら過ごすことができるように。


俺は。

今日からヒーローになる!


〜第2話へ続く〜

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