照明
車は重信川近くの駐車場に停めてそこからは自分ので現場に向かった。そこは大層大きな川でプールと同じ距離であると思う。
現場はどうやら重信橋から離れた所でどうやら仰向けにされていたそうだが別に怪しい所はなく行き詰まるばかりでございます。
二人は「では」と言うことで日暮早苗の家に寒い冬の中に車を走らせそうとしたが車内は冷凍室になっており、外套を来た山根でも身震いして白い息を吐いた。
着いたのは出発から2・3分で車は近所に駐車した。
周囲を見回しても住宅街しかなく、左右を見ても一軒家しか見えないが時折何かしらの店はあるがほとんどが年気を持たせるような見た目の建物ばかりだが接客のやり方は人に信頼させるようで、店から出て来た人たちは清々しい顔で去っていく。
日暮早苗は一軒家の古民家を所有しており、しかし本当は夫の名義で契約しており、夫が亡くなったため早苗の名義に変わったのだが、その早苗が殺されたため次は日暮龍都の名義に変更されたのだ。
なので龍都にもちろん許可を頂いて共に家に入るようになっている。
さっそく龍都が合鍵を使って扉を開けた時山根と署長は少し驚いた。家の中には物があり、しかも築何年も立っているというのに汚れやホコリなどが一切ない新築の家と同じような状態である。
「署長さんの警察署は捜査のついでに掃除もするんですか?」
「いやいや、そんなサービスしたことないし。そもそも内の連中は皆全員が掃除や整理などが大層苦手ですからな。」
少しニヤリと笑う三宗署長をよそに
「では調べが終わったら外にいるので声を掛けてください。」
鍵を二人に預けて去っていく龍都を見送った二人は虫のように棚と棚の間をみたり、その上を見たりしている。そして最後に、殺された日暮早苗の自室。その部屋の襖は家にある他の物より縁が白く紙の部分は一枚も色が悪い物はない、まさしく新品同様である。
その襖をスッと開けようとしたが、やっぱり古民家であったため建付けが悪く、まさかこれで骨を折るなんて署長は思わなかった。
さて、中に視線をやると襖と同様、新築はこうなのかと思ってしまうほどの美しさであり、床の間には桜の掛け軸となんてへんてこな柄の壺に入った生花・仏壇に、洋服タンスや夫婦だるまなどがわんさか物があるが整理させられている。
「整理したのはあなた方警察ですか?」
急な質問に署長は少し困惑したが
「いえいえ、捜査が終わったと遺族に申しましたら整理し始めて、、、。早苗さんの潔癖症が孫に受け継がれたのでしょうな。」
足を踏み入れてまず目に付いたのが例の金庫である。その金庫はさっきも言ったが空き巣によって開けられた物で実物を見ると人の膝にも満たさないぐらいの小物である。
「指紋と下足痕はありましたか?」
「一切ありませんでした。おそらく手袋をして開けたのでしょうし、床に微量の砂があるだけで、、、、」
「そんなに落ち込まないでください。証拠がなくてピンチになるのは警察のあなたが一番わかってるでしょ。」
顔を上げて白い歯を見せる署長に
「金庫の存在を知っている人は?」
「遺族に確認したんですけど、被害者の性格があれなのでほとんど知っている人はいなかったと思います。遺族も知らなかったそうですし、つまり金庫の存在を知っている人が犯人ですか?」
「いえ、空き巣が金庫を狙ったっということは聴診器を用意したっということは計画性があると考えてつまり前から金庫の存在を知っている誰かが伝えたと思いましたけど、遺族が知らなかったなら、、、、」
何を伝えようとしているのか察した署長は
「では空き巣と殺人事件との関係性はないということですね。」
「そう考えて問題ないと思います。それに外から金庫を見ようとしたら怪しますし、塀の高さだと邪魔して逆に見れないと思います。」
なるほど、のような顔で手帳にメモを取る署長は真剣な眼差しで山根に食い入っているので山根はその手帳を覗いたが所々達筆な部分があり理解ができなかった。おそらく忘れない内に書いてしまおうとして殴り書きになってしまったのだろう。それかただそうなったのか。
それはさておき山根も万事休すになったかが、それはやむを得ないのだ、もし日暮早苗が家で殺害されたとしても空き巣で家の中をめちゃくちゃに荒らされているため証拠が一切なくなってしまったのは間違いないのだから。
「やっぱり何もありませんか。帰りますか?」
「そうですね、、、、いやありました。ほら上の方にある襖が微妙に開いていますよね。そこから何か光っています。ほら、これ」
山根が拾ったのはひし形の形をした物で光に当たると直射が放たれる。
「これを鑑識へ回してください。自分の勘があっていれば本物の宝石でしょう。」
持っていたハンカチで宝石を包んで署長に渡した。
それで二人が部屋を出ようとした時、署長の小指がタンスの角にぶつかり、涙目になりながら倒れた。
山根は署長に駆け寄ってしゃがんだ時視界にとある物が見つかり、署長を素っ気向けにしてそれに食いった。
「見てください。これは!?」
「いてててて、、、、。どれですか?あっこれは!?」
それを見た署長は体が跳びはねりそうになったがぐっと堪えて、互いに笑顔を見せあった。
それは赤黒く、畳に染み付いていてた。この言い方で読者諸君はもう察したと思うが、説明すると血が発見されたのだ。
「おそらく早苗さんの血でしょう。犯人はこれを見つけたからタンスで隠したのだと思います。なるべく早く調べたらいいでしょう、警察がこの発見をしたと分かれば何するか分かりませんからね。」
「それでは今から電話しますね。」
署長は飛び上がり廊下の黒電話に駆けてダイヤルを回した。しばらく話したのち戻って来て
「すぐ来るそうですがこれからどうしますか?」
「もう出た方がいいでしょう。誰にも見つからない内に」
早足で家を出た時龍都が塀の陰で待っていた。
「捜査は終わりましたか?」
「いえ、まだ終わっていません。ただタバコを吸いたくなってしまって、一本どうですか?」
山根は箱から一本の葉巻を取り出し、龍都に差し上げようとしたが
「すみません。タバコをもうやめましたから。」
タバコを払い除けられた山根はムスッと態度したがすぐに顔を変えて笑った。
「まだ捜査を続けるなら、ついでに鍵を持っていてくれますか?大事な用がもうすぐあるので」
「分かりました。終わったらあなたのご自宅にお届けします。ついでにもう一つ聞きたいのですがこの家には合鍵はありますか?」
「いえ、鍵は一本だけです。」
「いつもどこにあるのですか?それを知っている人物は?」
「鍵は外出するときなくしたらいけないと、いつも門のランプに入っています。知っているのは和義だけです。いちいちこっちに来るのは無理でしょうし。」
「ありがとうございます。」
龍都は山根に家の鍵を渡して停めてあった車に乗ってその場を去ったのを見届けた署長は山根に不思議そうに聞いた。
「どうして日暮龍都に血の事を聞かなかったのですか?」
「気付きませんか?あの部屋に血があったということは、その部屋で早苗さんは殺害された可能性があるのです。」
署長はハッとした。殺害された時刻に現場の家にいたのは日暮龍都と日暮和義一家である。しかし日暮和義は家族と一緒にいたため犯人の可能性は十分低い。
「もしかして犯人は日暮龍都!?」
山根は目を大きく開いた署長に
「その可能性が大きいでしょう。しかしながら我々はただここで早苗さんは殺害された事を発見しただけで犯人を立証できそうな物がないのです。」
互いに額に皺を寄せて下唇を噛んだ拳を握った。
しばらくして鑑識係が現場に来て署長に血痕の場所を案内された。どうやら1時間で判明するらしいので、警察署に戻った時探偵事務所に連絡すると約束した。
そう話していると突然山根が署長の手を引いたと思えば自転車が署長の真後ろを通った。
「人の真後ろを通るなんて危ないじゃないか、ちゃんと前を見なさい。」
すると自転車の先がくるりとこちらを向いたと思えば真っ直ぐにこちらに向かって来た。間一髪避けて命拾いした。
「おっ面白いことになってんじゃないか。」
暴走自転車に乗っていたのは赤頬の中年男性で見たからしてパジャマを来ているのだろう。酒の匂いがしないものの赤頬のため初めて見た人からは飲酒をした後乗っていると思われてもしたしかあるまい。
署長はそうだと思い事情聴取をしようとしたが山根は肩を抑えた。山根は前に署長と同じ事を思い、話を聞いていたが酒の匂いがしなかったため謝って彼を見送った記憶がある。そして彼は時折住宅街の道を自転車で徘徊していると言っていた。
それが彼である。
山根は署長を払い除けて
「君はここら辺も走っているのかい?」
「まぁ、ここら辺もルートに入っています。」
「では15日はここを走っていたかい?」
グイグイ来る山根に男は引き気味であったことは見て取れる。事情聴取された時は真剣な目だったが、今は興奮してる子供のように輝いている。
「走ってましたが何か?」
「その時何か見なかったか?例えば誰かがこの家を訪ねていたとか?」
考えも短く男は
「確か家の中に男が入っていたのを見たな。」
「いつ頃の事ですか?」
「だいたい9時頃じゃないかな?家を出たのがその時だったから、、、、、、。」
うんうんと頷いて
「ではあなたからは日暮早苗さんはどんなイメージでしたか?」
すると男は皺を寄せて、すーっと息を吐いた。
「あまり見ないからな、ざっと言えば優しい一色ですな。会った時普通に挨拶してくれるし地域活動なんかも積極的に参加してくれてましたよ。」
「分かりました。お停めしてしまいすみません。」
男は手を上げながら頭を振って角を曲がって行った。
「山根さんは怨恨の線だと考えているのですか?そうなると地域の人たちの線も、、、、。」
その言葉に手を振って反応した山根は
「さっきの質問は署長が言った通りで、それを左右するために質問したのです。では次にあちらの家へ向かいましょう。」
そう言って山根が向かったのは早苗の家の反対側にある一軒家であったので署長が戸惑った。そこは部下が話を聞いた場所であり、それをまた聞くのである。
「ここはもう聞いた所なんですけど。」
振り向いた山根は駆け付けた署長に微笑んで
「家の目の前なので何か分かると思いまして。」
そして躊躇なくインターホンを押したら、ピンポーンピンポーンっと静かな住宅街に響いた。
「何か用ですか?」
出てきたのはエプロンをした小太りの女だった。女は署長の顔を見て皺を寄せて
「また話ですか?私は何も知りません」
「度々すみませんがしばらく付き合ってください。」
「なら早くしてください。夕飯の準備をしなくちゃならないので」
彼女の態度や言葉があまりにも癪に障るが彼女も焦っているので何も言えない
「では早速なんですけど、怪しい人物を見ましたか?」
「いえ、見てませんが」
痰を切らして改めて
「では言い方を変えます。誰か家を訪ねた人はいましたか?」
すると彼女は機嫌が悪そうから真顔になって山根を見た。
「それなら見たわ、10時くらいだったわね。」
署長は二人の間に割り込んで
「それは聞いていませんが、どうして警察に言わなかったのですか?」
彼女は元の顔に戻ってしまった。
「だってどう見ても怪しくなかったんですもの。」
山根と署長は顔を合わせた。
「顔は分からなかったけど見たのは黒い男が家を出る所だったわ。どうしての顔ね。その男は玄関に向かって頭を下げていたけど変じゃないし、それに玄関の照明がついていたし。」
「それじゃ照明はついたまんまじゃないんですか?」
署長は山根の脇元で驚いて聞いた。
「刑事さん、私はそこまでアホじゃないわ。男が去った後しばらくして電気が切れたわ。」
山根は上歯の裏を嘗めてその発見が起こした衝動に抵抗した。
「その男は何か持っていましたか?」
「大きなリュックを持っていたわ。多分ゴルフバックじゃなかったかしら、その後車に乗ってどっか行った」
「しかしそれだと玄関の扉は閉じないと思いますけど、、、、」
「それは男が閉めたんです。」
これは山根はただ誰が来たか聞いただけなのに顎が外れるほどの発見をするとは思いもなかった。二人が来た時は鍵は掛けられていたのにどうしてなのか?
「山根さん、つまり9時〜10時までの間に空き巣が入ったことになりますね」
「奥さん、もう一つ聞きますけど空き巣と男はどちらのが先ですか?」
「空き巣の方が先だったわ。その後に男が、、、、」
山根は下唇を噛んでキョロキョロしたのを署長は見逃さなかった。
「間違いないないですか?」
「だからさっきから言ってるでしょ、あたしはそこまでアホありません」
読者諸君はこの違和感に気が付いただろうか?
男は一度家に入った後に去り、そして空き巣が入って、その後の10時頃にまた男が家に入って今度はゴルフバックを片手に去った。つまり男は電話をしなかった、しかも動揺もせずに。
「一度目都二度目の車種やナンバーなどは分かりますか?」
「一回目と二回目のナンバーは分かりませんでしたけど、二回目はスバルなのは分かったわ。もういい?時間がなくなるんだけど」
山根と署長は外見落ち着いてるようにしながら
「長い事ありがとうございます。」
すると扉は閉じられた。
「これはどういうことでしょう?何故犯人は2回も、、、、」
「考えれるのは一回目と二回目では目的が違うと見たかハプニングがあったか?一回目はさておき二回目の時警察に連絡しなかったのはおそらく後ろ暗い事があった。」
「つまり犯人は一度行ったがハプニングがあって一度帰った。その後にまた来て死体が入ったゴルフバックを持って車で重信川に向かった。」
「しかし犯人が肝心な車を忘れるってありますか?」
署長は口を噤んだ。
「それより玄関の照明を見てみましょう。それで事件はもっと動くことになると思いますよ。」
そして二人は引き換えした。
「署長さん、ご覧なさい。配線が切れてますよね、照明は点いていたのですが配線が切れて消えたんです。鑑識係が調べようと触った時配線が偶然繋がったんです。」
「確かにテープが配線に巻いてありますね。しかしどうして分かったのですか?」
「あの奥さんの『しばらく点いていた』に違和感がありまして、もしかすると思いましたんで」
「しかし鑑識からそんな事は何も言われていないのですが?」
山根は笑いながら
「そりゃ、、、、おそらく紐を引っ張った後に傘を弄ったので点いたのでしょう。ハハ、、、、犯人も中々の知恵を持ってますな、配電が繋がったり外れたりするのを知っているのですから」
笑い止めて
「署長さん、一旦ここから離れませんか?あまりいすぎたら噂が増すので。ほら近所同士の噂はすぐ広まってしまうので、、、、」
署長はハッした時、四方八方から視線と背筋にゾクゾクを感じられずにいられなかった。
「分かりました。」
山根の前に車が現れたので即座に乗ってその場を去った。
「山根さん犯人は死亡推定時刻にあの家にいた人だと確信してまして、そうなると重要参考人は二人いることになります。和義さんは流石に子供と一緒にいるのに殺人なんて不可能ですので犯人は龍都さんだと思います。」
「流石署長さん、しっかりしてますね。私も同意見ですが、重要な動機が分からないとすぐに弾き飛ばされてしまう可能性がありますのでそれを見つけないと、、、、それにまだ龍都が犯人とまだ決まっていませんので、まだ犯人か男と言いましょう」
「分かりました、、、、。しかし不思議ですね、、、、何故って犯人は何故2回も家に来たのか?」
「それはおそらく見つけた宝石が関係しているでしょう。私ならもっと別の場所に保管しておきます、1つならなおさらです。元々多くあったが誰かが盗んだと考えれば宝石が1つしかなかった理由が分かります。さてそうなるとおかしな所があります。分かりますか?」
唾を飲み込んで黙るがパッと口を開いて
「もし龍都さんが犯人とすると、一回で事を片付けたらいいのにわざわざ2回も別けて家に来た、、、、もしかすると男が二人存在すると見せつけるためにしたとか、、、、」
それを無視するかのように山根はペラペラと喋り始めた。
「犯人の心理に絶対はありませんが、署長さんが言った事には矛盾があります。龍都さんが経営している会社には私の知り合いがいまして、前に会社の事を聞いたのですがとても景気がよく、給料はアパートの電気代や水道代など払っても持て余るほどだと言っていましたよ、つまり」
日暮龍都は大手貿易商の社長で今5歳年下の妻『京子』と使用人と一緒にすんでいる。会社は最初小さい店だったが次第に売り上げや様々な地域や県市からも高く評価されて、日本中や世界からも厚い信頼を受けているのはまず間違いない。何故なら彼は輸出する皿や巻物に偽物が混じってはないか、麻薬などが混じってはいないかと心配になり、プロの鑑定人に実際に確認させており、その鑑定人は今では日暮龍都の正社員になっている。だからといって彼に依頼する者は必ずしもいて、正社員になりながらも一般人からの依頼を嫌な顔せずに引き受けており、日暮龍都から厚い信頼を受けておるという。
その大手社長が宝石のために殺人まで起こしたのかわ、まだ確実ではないものがある。それは、、、、
「それはさておきさっき家の中に誰かがいないような話をしましたが、実際いたかどうかは全く分かりません。言えるのは犯人は家の中に誰かがいたかった事にしたかったと思います。家の中に誰かいたかどうかは、それを知っているのはただ一人、、、、」
「空き巣だということになりますね。、、、、え、犯人は中に人がいることを示すためにしてるんですよね、、、、それだと空き巣犯の命が危ないじゃないんですか!?」
山根は眉毛一本も動かさなかったが鼻息は少し荒っぽくなり、署長はゼンマイ玩具のように荒息を吐いてを繰り返している。
「早くここら辺の警戒を強めて空き巣犯を捕まえたらいいでしょう。さもなくは有力な証言がなくなってしまいます。私も手伝いますので、、。」
「分かりました。」
二人は互いに帰る場所に帰って年密な計算をしていて警察を配置した。現場近くで見回りをしていた巡査が塀を登る男を捕まえて、案外早く空き巣犯の身柄は確保された。
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