第21話  今度こそ

先日は更新できなくて申し訳ありませんでした……。


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 その後、教授が入って来て講義が始まった。


 教室は一応、それによりいつも通りの空気を取り戻した形となった。


 ただ、俺の気分は重いままで、講義終了後に俺は亮と瀬川さんの二人にこの後一緒にご飯を食べないかと誘われたがそれを断って一人で家に帰った。


 そして何もしないままに、いや正しくはできないままに夜になった。


 俺はアルバイトを今日入れていなかったので特に予定などもなかった。そのため、一人でただただベッドに倒れ込み天井を見上げながら夕飯も食べずにボォっとしていた。


 そんな時、スマホが通知を告げた。


 送り先は……、ムーンさんだった。連絡先を交換して以来わざわざツイッターで連絡をしてくることはなかったので俺は怪訝に思い眉を顰めたが、特に気にするほどのことではないのでツイッターを開く。


 画面に表記されていたのはAqexのお誘いだった。


 一瞬断ることを考えたが何故かどことなく俺がヒナタと啓汰の浮気シーンを目撃し、ムーンさんにNTRれたことを打ち明けた日のことを彷彿とさせた。そのため、俺は気分転換の意も込めて『お願いします』と返信した。


 そうして通話を繋いだが、ゲームを始めてもお互いに一言も発しないままに一試合目を終えた。気まずいな……、俺のせいだけどと思っていると、そこでしびれを切らしたのかムーンさんが話しかけてきた。


「……ヨースケさん」

「はい。どうかしましたか?……ムーンさん?」

「……今度こそ終わらせましょう、ヨースケさん。……この戦いを」

「……それはどういう意味でですかね?」


 今からやるであろうAqexの続きか、それとも……。


「このヨースケさんを苦しませてる現実という名のゲームをですよ」

「……それは一応終わったんじゃ……」


 まるで死んだみたいな物言いになってしまったが、流石に意味を取り違えたりはしないはず……。


「確かに形としては終わったかもしれませんが、ヨースケさんの中には残っているはずです」

「……」


 俺の危惧が外れたという意味ではセーフだったが、別の意味でアウトだった。俺の沈黙を肯定と捉えたのか、ムーンさんは続きを話し出した。


「乗り越えていかなきゃいけないんですよ、ヨースケさん。岩崎さんと土田さんのことで何か悩んでいるのは知っています。それで何かを一人で背負い込んでしまってるのも」

「……」

「背負ってその場に留まるだけじゃなくて、一度向き合ったのならそれを糧にして前に再び進みだそうとは思わないんですか?」


 確かにそれはそうだ。だが……


「それでも……、俺は……」


 俺がしたことは俺、ヒナタ、啓汰の三人の関係を壊す原因を作り、結果的に俺の思惑ではないといえども死に追い込んだのだから……。

 

 俺の言おうとしたが言葉にならなかったものを彼女は察しとったのだろう。


「まだ悩んでるんですか?……あくまでもあなたも被害者なんですよ。それにあなたに救われた人間もいるんです」

「……?」

「洋介さん、あなたは私を救ってくれたんです。小学生のとき、誰とも話せずにクラスで浮いてしまっていた私に唯一話しかけてくれて、軽いいじめに遭っていた私を守ってくれたんです。……覚えてないんですか?」

「すまない……。全くもって覚えてない……」


 小学生の頃の思い出なんてほとんどない。よくあるされた側は覚えてるけどした側は覚えていないというやつだろう。


「今度は私の番です。……私があなたのそばにいますよ、洋介くん。辛いなら頼ってください。それをなくすことはできないにしても半分にすることくらいはできます」


「洋介くん、どうぞいつでも頼ってくださって構いませんよ。いやむしろ頼ってください」


 もう……、こんなの甘えたくなるだろ……。というか、ごめん。もう俺駄目だわ……。


 俺は耐えきれなかった。その言葉たちに流されるように、いや俺は流された。


「ありがとうございます……、瀬川さん……」


 そう言うと意味も分からず結界の崩れた俺は涙を流し始めてしまった……。




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次回でヒナタの未来と主人公の未来を書いたら、次々回からは別のルートに入っていくと思います……。

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