第27話 合流
直輝の大宣言の後、景たちは数ヶ月前にお披露目されたという大人気アトラクションの優先パスを無事に取り終え、集合予定のアトラクションの前でパンフレットとにらめっこしている女子陣と合流した。
遥香もその輪の中におり、仲間外れにされているかもしれないという懸念は杞憂に終わったようだ。輪の中で最初にこちらに気づいた結衣が近寄ってくる。
「おっつかれーい! ありがとー! ふむ、一時半か、めっちゃいい時間取れたね!」
労いの言葉もそこそこに結衣は直輝から受け取った優先パスの時間指定欄を確認すると、お気に召したようで片目を閉じてグッドサインを出す。
「さすがだろ! 後は任せたぞ、結衣!」
「がってんでい!」
何を任せたのだろうか。
妙なテンションでやり取りする二人を見て、他の女子たちも微笑みつつ「お疲れさま」と口々に労う。
遥香のみならず梨花とも目が合い、驚きのあまり会釈してしまった。思わず会釈してしまったことを後悔し、変に思われてないか周りの様子を伺うも、幸い一部始終を垣間見た者はいないようだった。
安堵に明け暮れる暇もなく、「あたしについてこーい!」と、結衣が先陣を切ってアトラクションの入り口に向かう。
二番手は「うおおー団長ー!」と直輝、三番手以降は団子で殿を務めるのはもちろん景だった。
同じく後方に控えていた涼也に話しかける。
「パレードの時、どうやって二人っきりにする?」
「まあなんとかなるんじゃないか」
片眉を上げて微かな笑みを口元に浮かべる涼也は、映画のワンシーンに登場していたとしても違和感は無いと思えるほどその仕草が似合っていた。その彼に「なんとかなる」と言われれば本当になんとかなってしまうような気がする。
そうでなくとも、まだ一日は始まったばかりだ。夜のパレードまではまだ時間が残されている。
とりあえず、懸念事項は先送りに、何も考えずこの場を楽しまなければ勿体無い、そう開き直って今を時めく高校生らしくはしゃぐことにした。
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