9月1日(金) ④
──9月1日 AM 9:05。
「……ん」
光で視界が開けていくような感覚で、目が覚める。ゆっくりと身体を起こすと、そこは──俺の部屋だった。
俺はベッドの上で眠っていたらしい。
──戻ってきた……のか。
『このゲームは二人一組で行う協力型ゲームです。』
『特定の行動を行うことで、指定されたポイントを集め、ゲームのクリア(=チュートリアルにおいては仮想空間からの脱出)を目指します。』
『参加者はポイントを集めるまで、仮想空間から脱出することはできません。』
──突然、始まった……【チュートリアル】。
「神連中の親玉」を自称する謎の女児によって、仮想空間へと連れられた俺と瞬は、そこで【ゲーム】の【チュートリアル】を受けることになった。
お互いの頭を撫でたり、相手を抱きしめたり、くすぐったりすると【ポイント】が加点されて、それを【1,000pt】集めたら、仮想空間から元の世界へ帰してやると条件をつけられて──。
そんなわけで、あそこを出るために、俺と瞬はあれこれやったんだが。
ゲームバランスがアレなのか、俺達はあっさりとその【チュートリアル】をクリアし、こうして元の世界に帰ってこれたってわけだ。
──瞬は……自分の家に帰された……んだよな?
部屋を見回してみるが、瞬の姿はない。帰る前に「リスポーン地点」がどうのとか言われたが、たぶん、その「リスポーン地点」とかいうのは、俺達があの世界に連れ込まれる前にいた場所……ってことなんだろう。
よく見ると、俺は制服に着替えていたはずなのに、寝間着姿に戻っていた。
つまり、俺は寝てる間にあそこに連れてかれたってわけだ。全く……はた迷惑な。
と、そこで「重要なこと」に思い当たる。
「てか、今何時だ……?!」
俺はばっと後ろを振り返り、枕元のデジタル時計を見る。9:06。はい、新学期遅刻確定。
「ってことは、向こうの世界で過ごした分だけ、リアルでも時間が経っちまったんだな……」
俺があそこに連れ出されたのが何時頃なのかは分からんが、早番で早朝に家を出た母さんは、俺は普通に学校に行ったと思ってるから不審には思ってないだろう。あとは、学校がどうなってるかだな……知るのが怖え。
まあ、授業がなくて早帰りの日だったのが救いか──いや、就職控えてるし、こってり絞られるのは間違いないな。
「あのクソ野郎……野郎じゃないけど」
面倒臭いことになりそうだと頭を掻きながら、どこかであいつが聞いてねえかと悪態を吐いた。その時だった。
枕元に置いてあったらしい、俺のスマホが鳴った。電話だ──相手は……。
「瞬か?」
『こ、康太?よかったー……無事に帰ってきたんだね』
電話口でほっとしたような声でそう言ったのは、瞬だ。俺もその声を聞き、無事を確認出来て、ひと安心する。
「今どこにいる?部屋か?」
『ううん……えっと、その』
瞬は何故かそこで口ごもった。まるで言いづらい……みたいな。まさか。
「まだあの世界にいるのか?それとも、誰かに捕まって──」
『あ、そうじゃないと思う……けど、ただ、なんていうか……なんで、こんなところに……って』
「こんなところ?」
瞬の言い方から察するに、そこは、自分の部屋とか学校みたいな、馴染みのある場所ではなさそうだ。
それはたぶん、あのクソ野郎(じゃないけど)の仕業なんだろうが──だとしたら、一体どこなんだって話だが。
俺はスマホを片手に、身支度を整えながら言った。
「俺も今からそこに行く。たぶん……迂闊に動けそうにないところなんだろ。そこ」
『う、うん。ごめんね……あんまり声に出すと、よくないかもしれなくて。とりあえず、場所はスマホに送るから……そんなに遠くはないと思うんだけど』
声に出しづらく、起きてそこにいたら瞬が戸惑うような場所。
それでいて、迂闊に動けなくても、そこがどこなのかは把握できる場所。
そして、遠くはない。
瞬の情報を頭の中で繰り返しながら、あてはまる場所を考える──が、見当もつかない。
その間に、言っていた通り、瞬からメッセージが送られてくる。地図と──何かのサイトのスクリーンショットだ。
俺は通話を繋ぎつつ、それを開いた──。
『満足度地区No.1☆コンビニにも負けない充実のルームサービス!女子会プランも♡』
『ホテル バナナミルク』
☆
──9月1日 AM 10:00。
「……っ」
薄暗いエレベーターの中で、一人、監視カメラを避けるように、キャップを目深に被り直す。重い緊張感に押し出されるように、マスクの下で咳払いをした。
──何とか……来たな……。
『ホテル バナナミルク』
墓参りに行く時なんかによく通りがかる、幅の広い道路端に建つホテルだ。
車窓から見る度、子どもながらに「こんな観光地もないところに、どうしてホテルが建ってるんだろう」とは思っていたが、成長につれ、その「用途」は薄々分かってくる。野中でひと際目立つ、ピンク色の派手でラブリーな外観は、まあ、分かりやすい。
とはいえ。
──どうして瞬がこんなところに……?
居場所が分かったところで、瞬が困惑していた理由も理解した。起きてこんなところにいたら、びっくりするに決まってる。
真面目な瞬のイメージには程遠く、そもそもまだ入れるような場所じゃない。それに、マンションからは車で飛ばしても、ここまで十分はかかるのだ。
それでも、瞬がいると聞いて、俺は父親の服を借り、マスクと帽子で極力顔を隠すようにして、車なんて当然ないので自転車で飛ばして来たわけだが──本来は、今の俺達が近づくような場所じゃないのだ。
そんなところに瞬を連れて来た奴は一人しかいない。
──あのクソ野郎の仕業に決まってる。
あいつは神連中の親玉だと言っていた。それが本当なら、こんな不可思議なことは容易くできるだろうし、何より、あいつらは悪趣味だ。
いかにも、奴が好んでやりそうなことだ。
今度出てきたらぶん殴ってやると拳を固めていると、エレベーターが目的の階に着く。降りる前にエレベーター内の死角から外を窺い、誰もいないのを確認してから、外に出る。変装してるとはいえ、人にはなるべく見つからない方がいい。
──877号室って言ってたよな……。
瞬からのメッセージによると、そこに瞬はいるらしい。
どうやったのかは知らないが、変装でも俺を怪しむフロントに「連れがその部屋に来てる」と言ったら、あっさり通してくれたから、聞いておいてよかった。
──いや、それもあいつの仕業か……?
……分からないことが多すぎる。とりあえず、今は瞬だ。
瞬を迎えに行って、それからあいつをぶん殴る。
俺は足早に廊下を進み、その奥に「877号室」を見つける。ここだ。
「……よし」
息を吸い、ノブを捻る。開けておいてくれたのか、ドアは簡単に開いた。
俺は素早く中に滑り込み、呼びかける。
「瞬──!」
そこで見たものは──。
「あ、康太……(もぐもぐ)」
「……」
ラベンダー色の壁に囲まれた部屋の中心、ピンク色の丸いベッドの上で、揚げ物と米がたっぷり載ったプレートを片手に、暢気にトンカツを頬張ってる瞬がいた。
「クソガキ、遅かったやないか!瞬ちゃんずーっと待ってたんやで」
あと、何故か床で四つん這いになってるクソ矢も。
それから──。
「ま、人にしては結構早かったんじゃなーい?ね」
──瀬良康太。
そう言って、俺ににっこり微笑む──謎の女児。
女児は四つん這いになったクソ矢を椅子代わりに、足を組んで座っていた。
俺は奴を睨みつけて言った。
「この状況はどういうことだ──説明しろ」
「どうって、見ての通りだけど」
「つまりお前は、俺達を仮想空間から帰した後、大量の揚げ物を餌に、瞬をこんなところに連れ込みやがったってことだな?クソ、瞬のお腹が空いていることに付け込みやがって……卑劣な……」
「どこが?」
よく分からんって顔で、首を傾げる女児へ、俺は分かるように言ってやった。
「寝起きでお腹が空いている瞬を、こんなことをしてまで、いかがわしい場所に連れ込むなんて最低だって言ってんだ。しかも、トンカツだぞ?こんな状況で、朝からそんなもんを食わせるなんて正気じゃねえ。油が過ぎるだろ!」
「いや、確かに立花瞬をここに連れ込んだのはあたしだけど……そのいかついプレートはあんたの恋人が自分で頼んだんだけど?」
「ごめん……康太。俺が悪かったから、もうやめて……」
酷いことをされたショックからか、瞬は箸で掴んでいたトンカツをプレートの上に戻し、顔を覆ってしまった。
俺はベッドの上に座る瞬に近寄り、その背中をさする。
「他に酷いことはされてないか?」
「いや、最初から何もされてはないよ……ただ、ちょっとお腹が空いちゃって、そしたら、何か食べる?って女の子が言ってくれて……」
「やっぱり、あいつのせいか。こんな揚げ物が朝から食いたくなるなんて超常現象でしかないしな……ゼロカロリーだ。気にするな」
「そうだね……」
瞬は俯きがちにそう言って、俺から顔を逸らした。
すると、その様子を見ていた女児が笑いながら言った。
「ま、あんたら思ったより、図太そうじゃん。これなら楽しくなりそうだねー【本番】も」
「【本番】……?」
俺が訊き返すと、女児はクソ矢の左腕を足蹴にし「説明して」と顎でしゃくった。クソ矢はみっともなく、女児に椅子にされながらも、顔だけを俺の方に向いて、説明を始めた。
「お前ら……さっき、『せかいちゃん』の仮想空間で【チュートリアル】を受けてきたんやろ」
「『せかいちゃん』?」
「この方を儂らはそう呼んどるんや」とクソ矢は、自分の上に座る女児を見上げた。その目には心なしか畏怖の念が込められているように感じる。
「……お前らにとって偉い奴ってのは本当なんだな」
「偉いなんてレベルちゃうわ……まあ、そんなことは今はええ。とにかくな……【チュートリアル】を受けたっちゅうことは、これからお前らには【本番】が待ってんねん」
「色んな意味でねー」
そこで、意味ありげに、にやにやと笑いながら『せかいちゃん』が口を挟んでくる。それを聞いた瞬が、おずおずと口を開いた。
「【本番】って、もしかして──あの【ゲーム】を現実でもやるってこと、ですか?」
「そうそう。話が早くていいねー」
せかいちゃんは続けた。
「ルールは【チュートリアル】の時と一緒。二人でイチャイチャして、ポイントを集めて、指定のポイントまで貯まったらゲームクリア。簡単でしょ?」
──確かにそうだが。
「……仮想空間では、ゲームクリアの報酬が『仮想空間からの脱出』だっただろ。現実だと、何が起こるんだ。……何のために、俺達にこんなことをさせんだよ」
まさか、ただ目的もなくポイントを集めろってわけじゃないだろう。
そこには必ず、こいつらにとってのメリットがあるはずだ。これだけ手の込んだことをしてるんだから。
一体どんな──と身構えていると、せかいちゃんはさらりと、言った。
「世界平和」
「……はあ?」
「だからー」と出来の悪い子どもに教えてやるように、せかいちゃんは言った。
「世界が平和になるの。あんたらがイチャイチャすると。だから、積極的にイチャイチャしてもらうために【ゲーム】を作ったってこと」
”俺と瞬がイチャイチャする=世界平和”
「えっと……?」
あまりにも超常的すぎる図式は、優等生の瞬でさえも理解に苦しむらしい。それなら俺はもっと分からなかった。
「ま、別に分かんなくていーよ。分かっても、分かんなくても、あんたらはやるしかないから」
──それって。
似たようなことを俺達は半年近くやらされてきた。その経験から「やるしかない」理由はすぐに思い当たった。
「……命を、賭けさせるってことか」
「大当たり」
せかいちゃんは歳相応に見える、無邪気な笑顔で言った。その下で、クソ矢が険しい顔をしている……なるほどな。
それに気付いたのは瞬も同じらしい。瞬はせかいちゃんに言った。
「……【ゲーム】に参加しないと、澄矢さんに俺達を殺させるってことですか?」
しかし、せかいちゃんはそれには首を振った。
「んーん。違う違う。命は賭けてもらうけど、もっと楽しい方法で賭けてもらおうと思って」
「楽しい方法?」
眉を寄せる俺達とは対照的に、せかいちゃんは足をぶらぶらさせながら、うきうきと言った。
「殺し”愛”だよ」
「殺し……あい?」
察しのいい瞬の目が大きく見開かれる。せかいちゃんはそんな瞬の理解を、大きく頷いて肯定した。
「そう!その通り──【ゲーム】から逃れるか、もしくはクリアできなかったら、そん時は……どっちかが、どっちかを、自分の手で殺してね」
──ふざけんな……っ!
弾かれるように、俺はせかいちゃんに掴みかかった──はずだった。のに。
「──康太……っ!」
「──……っ!?」
焦るようなクソ矢の声で気が付くと──俺はベッドの上で瞬に馬乗りになって、その細い首に手をかけていた。
「っ、ちが……!?な、何で……っ」
慌てて手を引っ込めようとするが、身体が──言うことを聞かない。瞬の首に絡みついた指が離れない。
「っ、ぅ……、こ、うた……っ、ぁ……っ」
手は、俺の意思を無視して、指に力を込めていた。瞬は俺の手から逃れようとするが、俺が馬乗りになってるせいで、それもできず、苦し気に顔を歪めて喘いだ。何で、何で──何で、何で……!
「あぁ……っ、う……っ!?」
「瞬……っ」
「こ……っ、た……ぁっ」
──あいつが、俺の身体を操って……!
振り向いて「やめろ」と言いたいが、それもできない。あいつは──せかいちゃんは、俺達の様子を見て笑いながら言った。
「習うより慣れろってこと。分かった?ちゃんと【ゲーム】に参加しないと、あんたらは、こうなるからねー」
「──っ、いいから、俺を解放しろ……っ!」
「やる?【ゲーム】」
「……っ」
──答えは一つしかなかった。
俺が頷くと、瞬の首に絡みついていた指の力がふっと抜ける。俺は、一本ずつ剥がすように、指を瞬の首から離した。──瞬の白い首には、ほんのりと赤い……俺の指の跡がついてしまった。
瞬の上から退いて、ベッドに座り直す。瞬は荒い息を整えながら、身体を起こし、俺の隣に座った。頬を伝う涙に気付き、拭おうとしたが、指に残る生々しい──瞬の首を絞めた感触が、それを躊躇わせた。俺は伸ばしかけた手を引っ込めて、代わりに、その感触を消すようにベッドのシーツを掴んだ。
「……大丈夫だよ」
それを見ていたのか、掠れた声でそう言った瞬は、俺の手を包むように握った。言いかけた「ごめん」は喉に詰まって、結局、俺は何も言えなかった。
瞬は俺の手を握ったまま、せかいちゃんを見据えて言った。
「せかいちゃんさん」
「さかなの人かっての……何?」
「お話は分かりました。【ゲーム】……やります」
「やっとその気になった?」とせかいちゃんは鼻で笑った。それから言った。
「じゃ、改めて──ルール説明、いっとこっか」
______________
【ルール】
・このゲームは二人一組で行う協力型ゲームです。
・特定の行動を行うことで、指定されたポイントを集め、ゲームのクリアを目指します。
・特定の行動とは、ペアである相手に対してする行動が対象となります。
(例:手を繋ぐ、頭を撫でる、抱きしめる 等)
・同じ行動は二回目以降、獲得するポイントが半減し続けます。
(例:手を繋ぐの場合→一回目 100pt 二回目 50pt 三回目 25pt 四回目 12pt 五回目 6pt 六回目 3pt 七回目 1pt 八回目 0pt…)
・このゲームでは、ポイントは参加者ごとに集計されます。ポイントは行動を起こした参加者に付与されます。
※ただし、クリアに必要なポイントを満たしているかどうかは、それぞれが集めたポイントを合算して判定します。
【チュートリアルからの変更点】
①二人が獲得したptが合わせて【18,083,150pt】に達するとゲームクリアです。
②なお、本番では【期限】が設定されています。
期限までにゲームをクリアできなかった場合、ペナルティとして、【その時点で獲得ポイント数が高い方が、ポイントの低い方を殺してください】
③また、本番では【一日のポイント獲得ノルマ】が設定されています。
一日に【1,000pt以上】獲得できなかった場合、ゲームを放棄したとみなし、上記②と同じペナルティが与えられます。
______________
「「待て待て待て待て待て──待って?」」
【変更点】としてさらりと付け加えられたルールに、俺と瞬は声を揃えて「待て」をかける。
すると、せかいちゃんは首を振ってこう続けた。
「待つとかないっしょ。あんたらはこれに従うしかないんだから」
「そうだとしても、だ!なんだ【18,083,150pt】って!インフレしすぎだろ」
「えーいいじゃん【
「馬鹿か……」
ふざけやがって。そう思っていると、宙に書かれた【ルール】を見つめていた瞬が、せかいちゃんに訊く。
「この、期限って……いつからいつまでなんですか?」
「今日から」
せかいちゃんがさらりと答える。瞬は「えっと……」とせかいちゃんを窺いながら、さらに訊いた。
「……いつまで?」
「12月31日まで」
「キリがいいっしょ?」と何故かドヤ顔で、せかいちゃんが胸を張る。
9月1日から、12月31日まで。
それまでに、【18,083,150pt】。
そう言われても、いまいちぴんと来ない──が、瞬は青ざめた顔で俺に言った。
「今日から12月31日ってことは──あと122日しかないってことだよ」
「122日だと……どんくらい一日にポイントを稼がなきゃいけないんだ?」
「ざっくりだけど──150,000ptくらい」
「じゅ、150,000pt!?」
俺は【チュートリアル】を思い出した。確か、【手を繋ぐ】が【100pt】だったよな……?
「一日1500回手繋ぎしないといけないのか……?」
「くすぐりでも一日300回分だよ……笑い死んじゃうよ……」
桁が違いすぎる──いや、ということは、だ。
「本番だと、もうちょっとレートが高くなったり──」
「は、ないよー。レートはチュートリアルと一緒だから」
「はあ!?」
無理だろ、これ。無理ゲーじゃねえか。
──無理ゲーということは。
「ゲームは、最終的に俺達を殺し合わせるための口実ってことか?」
そんな最悪の想像が浮かぶ。しかし、せかいちゃんはそんな俺の想像を否定した。
「それは違うよー。さっきも言ったけど、あんたらには基本、イチャついててもらった方がいいしね。ペナルティは、あくまで保険。それに、これは【ゲーム】だから。ゲームには、攻略法がちゃんとある」
「攻略法……?何だそれ」
うっすらと嫌な予感はしつつも──せかいちゃんに尋ねる。すると、せかいちゃんは「待ってました」とばかりに、にんまり笑って、俺達に「攻略法」を授けた。
「セックスしたら、【18,083,150pt】あげる」
せかいちゃんはクソ矢から降りると、俺達の前に立ち、改めて言った。
「──あんたらに与える猶予は、今日から12月31日まで。その間にポイントを集められなかったら──罰として、その時点での獲得ポイントが高い方が、低い方を殺すのよ。もちろん、【ゲーム】を放棄しても、ね」
──「それが嫌なら、ヤるしかないでしょ?」と。
『世界が平和になるの。あんたらがイチャイチャすると』
『だから、積極的にイチャイチャしてもらうために【ゲーム】を作ったってこと』
──ああ、そうか。そういうことか……。
途方もない目標値。
失敗や放棄を許さない、重いペナルティ。
それに対する攻略法。
『セックスしたら、【18,083,150pt】』
これが、これこそが……こいつの目的だったのだと、俺達は悟った。
……一体、どうなるんだ?これから。
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