【ろぐぼ】マカルート
【ログインボーナス】
[(和)login+bonus]オンラインゲーム等において、ログイン時に、ユーザーに対してポイントやアイテムを付与すること。
転じて、本編に収まらなかったエピソードを、週に一度お届けすること。
[略]ろぐぼ
[例文]今週は、「マカルート~もしも康太がマカ入り肉じゃがを食べていたら~」のエピソードをログインボーナスとしてお届けします。
※このエピソードは本編とは異なる展開になった場合を描いたIFエピソードです。
※ここで起きた出来事は本編には全く影響を与えない、完全に独立したものであることをあらかじめ承知の上、「何が起きても許す」という寛大な御心を持っていただき、ご自身の判断でお楽しみください。
______________
【マカルート~もしも康太がマカ入り肉じゃがを食べていたら~】
「うっ……!?」
康太の様子がおかしくなったのは、夕飯を食べた後のことだった。
片付けを終えて、お風呂に入って……居間のソファで、二人でテレビを見ながらまったりしていたら、突然、康太が苦しみだしたのだ。
「大丈夫、康太……?」
脂汗をだらだらとかいて、ソファでのたうつ康太の背中をさする。康太は息を荒げながらも「大丈夫だ……」と、声を絞り出した。でも、どう見ても、大丈夫そうじゃない。
──救急車……!
俺はスマホを取り出して、「119」にコールしようとする。だけど、康太が「いい、大丈夫だから」とそれを制した。
「だ、だけど……」
「そんな、大げさなもんじゃねえよ……ちょっと、腹っていうか……その辺が、痛いっつうか……」
「トイレにでも行きゃ治る」と、康太がよろよろと立ち上がる。お腹の辺りを抑えながら、前屈みで居間を出て行く康太の背中を見送りながら──だけど、俺は心配でたまらなかった。
──食べすぎちゃったのかな……。
鍋いっぱいにたくさん作ったはずの肉じゃがを、康太は「美味い、美味い」と言って、ぺろりと食べてくれて、俺はすごく嬉しかったんだけど……もしかして、それが原因かもしれない。そう思うと、俺は申し訳ない気持ちになった。
──せめて、康太がゆっくり横になれるように、お布団の準備をしておこうかな。
ソファは少し狭いし、横になるならベッドで寝た方がいいだろう。俺は急いで、康太の部屋に戻り、ベッドを整えて、万が一、気持ち悪くなっても大丈夫なように、袋とか、たらいとか、諸々を用意した。
──これで、いつ康太が戻ってきても大丈夫だけど……。
康太はどうなったかな。あれから少し経つし、心配だから、声を掛けに行こうか……そう思って、部屋を出ようとすると──。
──ガチャ。
「あれ、康太。もうだいじょ──」
「瞬……っ」
言い切る前に、俺は康太の腕の中にいた。少しびっくりしたけど、とりあえず、康太の背中に手を回して、優しくさする。
「康太、どうしたの?康太……」
「しゅ、瞬……っ、はぁ……」
「康太……?」
耳たぶにかかる康太の息が熱くて、くすぐったい。触れ合っている体温も、すごく高いような気がする。少し背伸びをして、額に額をくっつけてみたら、やっぱりすごく熱かった。もしかして、急に熱が出た……とか?
「康太、具合が悪いんじゃない?ほら、ベッド、整えたから、横になって……」
「う……」
俺を抱きしめてる……というよりは、俺にしがみついている康太は動くのも辛そうだった。それなら、と俺は康太を抱えるようにベッドまで連れて行って、なんとか寝かせた……んだけど。
「……っ」
「え、わ……っ!?」
いきなり、康太に腕を引っ張られたかと思ったら、あっという間もなく、俺は康太に、ベッドの上で押し倒されるような格好になっていた。
「こ、康太……?」
俺を組み敷いた康太を見上げたら、ぞくりとした。だって、呼吸を荒げて俺を見つめる康太の顔が、獣みたいで、うっかりしたら首筋に噛みつかれて、食べられてしまいそうだったから。
「あ、あの……」
羊のような気持ちで、口を開いたら、声が震えてしまった。すると、一瞬、康太は我に返ったのか、顔を歪めて俺に「ごめん……」と謝った。その顔がさっきよりもずっと苦しそうに見えて、俺は康太の首に腕を回して、康太を抱きしめた。
「大丈夫だよ……ほら、おいで」
「……っ」
俺が促すと、康太は俺の上に倒れ込んできた。相変わらず、息をするのも苦しそうだったけど、背中をさすりながら、ぎゅっとしていると、少しだけ落ち着いてきた……ような気がする。
だけどその代わり、少し……どころか、すごく気になってきたことがあって──。
──康太……なんか……動いてる……?
俺の首筋に顔を埋めながら、康太はもぞもぞと身体を動かしていた。正確には、腰のあたりをゆるゆると動かしている、というか、振っているような……それに。
「こ、康太……!」
「……ん、何だ……瞬」
「その、あ、当たってるというか……」
俺の太腿に、何、とは言えないけど……康太のそれが「当たっていた」。それも、普通の状態なんかじゃない……それが。
──これって、そういうこと……?
そうと気付いたら、恥ずかしいどころか……どうしていいか分からなくてパニックになった。
そもそも、いきなりどうしてこんなことに……?すると、康太がその答えを俺に教えてくれた。
「……っ、瞬……さっきの、肉じゃが……普通の材料じゃないやつ、何か、入れたろ……」
「え、えっと……普通じゃないって?確かに珍しいものは、書いてあったけど……」
「やっぱりか……クソ……」
康太は舌打ちした。
それから、康太は切れ切れになりながらも、俺に教えてくれた。
俺が肉じゃがに入れてしまったのは、「マカ」という「そういう薬」だったこと。
トイレに行って、おかしいと気付いた康太は、部屋に戻る途中、キッチンで俺が貰ってきたメモを見つけたこと。それで自分が何を口に入れたのか、気付いたこと。
レシピには、「マカは高級食材なので、仕上げに、好きな人の分にだけ盛ること」と書いてあったことから、瞬には影響がないのだろうということ。
……ということは、これは完全に俺のせいだ。俺のせいで、康太がこんなに苦しんで……。
「ごめん、康太……俺が鵜呑みになんかしないで、ちゃんと調べてれば……」
「はぁ……っ、いい……気に、すんな……瞬は、俺に美味いもん……食わせてくれようとして……やった、だけだろ……俺は、その気持ちが……すげえ、嬉しかったから……っ」
「康太……っ」
康太自身にも、もうどうにもならないのだろう。康太はさっきよりも、腰の動きを速めて、俺に「それ」を擦りつけてくる。布越しにも伝わるくらい、それは硬くて、熱を持っていた。
──俺が、責任を取って……。
「……康太」
「しゅ、瞬……?」
俺は康太を抱きしめていた腕を解いて、康太のハーフパンツへと手を伸ばした。その行為に戸惑っている康太に、俺は言った。
「……俺が康太の、何とかするから」
「おい、瞬……そんなの……」
口ではそう言っていたけど、今の康太に、俺のそれを止める程、もう理性は残ってないみたいだった。
期待に揺れる瞳が、俺の手を見つめていて、ただされるがままになっている。
──この下に……康太の……。
ハーフパンツを脱がせて、目の前にその張り詰めた「形」が浮かび上がってきた時、俺は緊張で、つい、ごくりと喉を鳴らした。うんと小さい時はともかく……「康太」とのご対面はほとんど初めてに近い。それをこれから……と思うと、手が震えてしまいそうになる、けど。
「……っ」
俺は意を決して、康太のパンツのゴムに指をかけて、ゆっくりとそれを下ろした。
中からは──。
「ひゃ……っ、こ、康太……っ」
「……瞬、ごめん」
俺が思わず声を上げると、康太は申し訳なさそうに、顔を逸らした。
だって、そこには。
──それはそれは、大きくそそり立った「キノコ」が生えていたのだから。
【タケリタケ】
菌界・子嚢菌門・チャワン丈亜門・フンタマカビ網・ボタンタケ目・ボタンタケ科・分類され、ヒポミケスキンとも呼ばれるヒポケミス属のうち、テングタケ類を宿主としたものの俗称。
その特徴的な奇形から「
ネットの図鑑で調べたらそう書いてあった。
つまり、比喩でもなんでもなく、康太の「康太」は「キノコ」になってしまっていたのだ。
こんな超常現象を起こす存在に、心当たりなんて一人しかいない。
俺は呆気に取られる康太を部屋に置いて、すぐさま、その
「せやで。儂がやったわ」
やっぱり犯人は澄矢さんだった。
曰く「だってなあ、このルートはあかんよ。ここやと、それはできひんから。バンされてまうし。正直、これやって、相当ギリギリやで?儂、ギリギリまでよう我慢したよ?せやけど、もうああでもせんと……な?」と。
「そんな……じゃあ康太はどうなるの?なんとかしてよ」
すると、澄矢さんは頭を掻いてから言った。
「うーん、ごめんな。瞬ちゃん、悪いけど……『やり直し』や」
「え?」
澄矢さんがぱちん、と指を鳴らす。
すると、俺の意識はだんだん薄れていって──そのまま、闇に飲まれていった。
そして、最後に、暗闇にその文字が浮かび上がってきた……。
---BAD END---
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