【ろぐぼ】「妹」の流儀
【ログインボーナス】
[(和)login+bonus]オンラインゲーム等において、ログイン時に、ユーザーに対してポイントやアイテムを付与すること。
転じて、本編に収まらなかったエピソードを、週に一度お届けすること。
[略]ろぐぼ
[例文]今週は、【「妹」の流儀】のエピソードをログインボーナスとしてお届けします。
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【「妹」の流儀】
『うふふ、びっくりしたかしら?母さん、久しぶりに瞬と准の声が聞きたくなっちゃって~』
夕方のことだった。夕飯の支度をしていると、突然、スマホが鳴って、母さんからビデオコールが来たのだ。それだけでもびっくりしたけど……もっとびっくりしたのは。
──母さんにすら、『試練』の影響があるなんて……。
『試練』のために、俺の周囲の人達は皆、俺には「准」という双子の妹がいると、認識させられている……とは聞いてるけど。精々、近くにいる人くらいだと思ってたから、まさか、遠くに住んでいる母さんにまで影響があるなんてびっくりだ。
『託弓の【認識】弄りは都合がええねん。対象と関わる時に限ってだけ、弄れたりとかするから……瞬ちゃんのオカンも、電話切ったら准のことは忘れとるで』
……というのは、後から澄矢さんに聞いた話だけど。
とにかく、その時の俺はすごくびっくりして……思わず、母さんに訊いた。
「母さんから見て……その、准ってどんな子だと思う?」
『あらあ、何かしら急に?そうねえ……准は、昔からやんちゃで、あんまり先のことは考えないで突っ走っちゃう子だったわね。お友達とおもちゃの取り合いだってしょっちゅうだったし……でも、あれで芯は通ってて、頑固なのよ。これって決めたら、譲らないし。融通が利かないのはちょっと心配だけど……ね』
「そうなんだ……」
『でも母さん、瞬と准が生まれてきた時、本当に嬉しかったのよ。男の子も女の子も欲しかったから、一度に両方もなんて、母さん達は幸せ者ね』
「ふふ……そっか」
楽しそうに俺達の話をする母さんに相槌を打ちながら、俺はふと……考える。
──……「准」って何者なんだろう。
何もかもが作りものの「情報」でできている「准」の本当はどこにあるんだろう。
もしも、そんなものがあったとしたら……それを見失ってしまったりはしないのだろうか。
そんなことを考えたら、胸が少し……苦しくなった。
『瞬?どうしたの?』
「あ……ううん、何でもない。それより、准、呼んでこよっか」
と言っても、今は姿を消してしまったから、呼びようがないんだけど……。
「呼んだ?」
「あ、准……」
気が付くと、准はすぐそばに立っていた。スマホに向かって、「お母さん、やっほー」なんて、無邪気に手を振っている。准の姿が映ると、母さんは本当に嬉しそうに声を弾ませて、二人であれこれ楽しそうに話していた。
──ひょっとしたら。
『人が儂らに願ったことは、何だろうが叶えるのが仕事やねん』
准も、そうなのかな。
何もかもが作り物の「准」の本当が、少しだけ見えた気がした。
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