【ろぐぼ】5月12日編①


【ログインボーナス】


[(和)login+bonus]オンラインゲーム等において、ログイン時に、ユーザーに対してポイントやアイテムを付与すること。


転じて、本編に収まらなかったエピソードを、週に一度お届けすること。

[略]ろぐぼ


[例文]今週は、5月12日に起きていた出来事の一部をログインボーナスとしてお届けします。



______________



【ご都合主義】


海の中の世界をテーマにしたエリアに来た時だった。海藻を模した装飾をあしらった、いわゆるコーヒーカップみたいなアトラクションに乗ることになったんだけど……。


『なるべく寄り添って乗ってくださーい」


「何だよ……やっぱりカップル向けなのか?こういうのって」


列に並びながら、聞こえてくるキャストさんのアナウンスに、康太が首を傾げる。すると、西山が言った。


「普通のコーヒーカップと違って、これは自分で回すんじゃなくて、遠心力を利用して加速を体感するやつなんだ。だから、片側に寄った方がカップの重心が傾いて、より速く回れるんだと」


「へえ……」


思わず感心してしまう。「すごいね!」と言ったら、西山が照れ臭そうに「家族で来た時に、親父が言ってたのの受け売りだ」と返した。


「ま、そういうわけだから、ここは思う存分くっつけるぞ、立花」


「な、何のこと?」


「分かってるくせに」


ニヤニヤしてる西山から顔を逸らすと、今度は森谷が言った。


「あ、もしアレだったら、立花は俺と一緒に乗ってくっついてもいいぜ?」


「そんなアレはねえよ」


すかさず康太が口を挟む。そのうちに、俺達の番が来て……西山は森谷と乗るって言ったから、俺は康太と乗ることになった。


手近なカップを選んで乗り込むと、キャストさんからやっぱり「なるべく寄り添って乗ってください」とアナウンスがあって……。


──こうなったら。


「康太……その」


くっついてもいい?って訊く前に、康太が言った。


「瞬、もっとこっち寄れよ……せっかくだし」


「……」


そう言ってくれるなら、と俺は遠慮なく、康太に身体を寄せた。

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