第11話 ちっぱいが顔に……?
午後、体育の授業で、俺たち二年三組は、来月行われる球技大会の練習をしていた。
猛暑は超えたとはいえ、まだまだ暑い日が続く九月上旬。
体育館はサウナ状態。
膝に手を吐き、汗がダラダラと滴り落ちる。
今は、混合バレーボールの練習中。
二チームに分かれて、試合形式の練習を行っていた。
ピィー!
笛が鳴り響き、俺が所属しているチームからのサーブで試合が再開する。
緩やかな放物線を描いたボールは、相手コートの真ん中へと向かって行く。
「はい!」
掛け声を上げて、見事なレシーブをする。
「和泉!」
そして、バレー部のセッターが、空中でボールをポンっとトス。
右サイドへと向かって行くボール。
そのボールに先には、体操着越しからでも分かる、ボールを凌駕するほどの豊満な胸元があった!!
俺の視線は、バインバインと揺れるおっぱいに釘付けになってしまう。
トスされたボールに合わせるようにして、寺山さんは両足で踏み込んで、大きくジャンプする。
トスされたボールの最高到達点を超越するそのジャンプ力もさることながら、宙に舞っている際、重力に反発するようにブルン、ブルンと揺れるおっぱい!
刹那、大きく手を振りかぶり、バシンと叩かれたボールは、俺の真横を猛スピードですり抜けていく。
「きゃっ!?」
俺の後ろにいた女子生徒が、身体を張って寺山さんのスパイクを受け止める。
ボールは、天高く舞い上がった。
「新治、ルーズボール追って!」
「分かってるわい!」
上白根に指示を受け、俺は懸命に足を動かしてボールを追っていく。
そして、ボールが地面に着くすんでのところで、俺は手を伸ばしてなんとかボールを上に上げる。
しかし、コートにボールが戻ることはなく、ほぼ真上に飛んでしまう。
「しまった!?」
「どっけぇぇぇぇー!!」
すると、ボールを追って、今度は上白根がこちらへ飛び込んでくる。
上白根は、落下点に入ると、そのままレシーブの姿勢でボールを思い切り相手コートへ向けて返した。
しかし、バランスを崩していため、そのまま俺の方へと突っ込んできて――
「危ねぇっ!?」
俺は咄嗟に、上白根を身体で受け止めた。
そのまま、二人は足がもつれ合ってしまい、倒れ込んでしまう。
真横に倒れていく視界。
俺は、後頭部が床に直撃するのを覚悟して目を閉じた。。
直後、むぎゅっと、何か温かいものに包まれる。
そのまま、身体の向きがギュイっと捻られた。
ガンッ!
俺は、横向きで体育館の床へと激突した。
そして、俺の顔面は思い切り温かくて柔らかいものに押し付けられて、鼻と口を封じられてしまう。
「んごっ!?」
呼吸が出来ず、俺はじたばたと慌てることしか出来ない。
「んんっ……」
すると、耳元で甘い吐息が漏れ出す。
「⁉」
俺は咄嗟に顔を上げると、そこには頬を染めて身悶える上白根のの姿があった。
そして目の前には、上白根の体操着の布地が広がっていて、見事なまっさらな平原が広がっている。
どうやら俺は、上白根の胸元に抱き留められ、後頭部からぶっ倒れるのを避けられたらしい。
その後、俺がじたばたと顔を動かしてしまったせいで、上白根の胸元でスリスリする形になってしまったということのようだ。
「か、上白根!? 大丈夫か?」
俺が咄嗟に尋ねると、上白根は涙目でこちらを見据えてくると――
「新治のばかぁぁぁー!」
ベチンっと、鈍い音が、体育館に鳴り響く。
視界がぐるぐると周り、俺はその場で脱力してしまう。
「新治、新治!? しっかりして!」
「おい、朝陽、大丈夫か?」
「誰か、保健室連れて行ってくれ!」
あれ……なんだろう、凄いみんなが俺の周りに集まってきている気がする。
視界がぼやけてあまりよく分からないけど、こんなに注目されたのは、生まれて初めてかもしれない。
俺、このまま死んじゃうのかな。
頭痛いし。
あーあっ。
せめて、貧乳の谷間じゃなくて、巨乳の谷間に顔を埋めて窒息したい人生だった。
そんな邪なことを考えながら、俺は多くのクラスメイト達に見守らたまま、すっと瞳を閉じた。
俺の意識は、深淵へと吸い込まれてき……。
深い眠りへとつくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。