第17話:仏像仮面ブッダーの活躍と雪白の情報

芸能事務所の剣は一応、仏像仮面ブッダーにも相談した。


「そうでござったか・・・」

「まあ、言わずもがな、でござるな」

「あまりしつこいようでござったら、全員まとめて、記憶を抹消するで

ござるよ・・・」


「え?まじでそんなことできるのか?」


「そんな簡単なことは屁でもないことでござるよ」


そんなわけで、芸能事務所の人が訪ねて来るたびに仏像仮面は姫のことを、

記憶から消していった。

なにか装置でも使うのかと思っていたら、仏像仮面が、そいつらに向かって

念仏を唱えると、みんな姫のことを忘れて、何ごともなかったように帰って行った。


「これで大丈夫でござる・・・もう訪ねてくることもないでござろう」


「頼むから、俺の記憶は消さないでくれよ・・・」


「なんなら、試してみるでござるか?」


「やめろ〜、それだけはやめろ!!」

「そんなことしたら姫が悲しむぞ」


最初はネットでも騒がれたが、日が経つごとに姫のことも自然に収拾がつき始めた。


コスプレイベントの飛び入りが、こんなことになるなんて思ってもみなかった。


今回ばかりは仏像仮面ブッダーがいてくれてよかったと心から思った。

俺ひとりじゃきっと対応しきれたなかっただろうからな。

とりあえずよかったんじゃないだろうかと胸をなでおろした。


その件はそれで終わった。


ある日のこと・・・昼休み、大学の食堂で俺が寝てるとヨコチがやってきた。


「ツッキー・・・」


「だから、ツッキーと呼んでいいのは姫だけだって言っただろう?」


「いいじゃないかよ、俺たちもう充分友達だろ?」

「コスプレフレンド・・・コスフレ・・・・」


「そう言ういい方したらエロい関係みたいだろ〜が」


「あのさ・・・おまえがご執心だった雪白のことだけど・・・」


「それなら、もういいわ・・・彼女からもう興味が失せた」


「そうか・・・ならいいんだけど」

「まだ雪白を狙ってるのかと思ってたからさ・・・」


「彼女とは二言三言話はしたけど、それだけで雪白の性根が見えたからな」


「そうなんだ・・・」

「雪白はやめておいたほうがいいぞって言いたかったんだけど・・・」

「それならいいかな・・・」


「いいから・・・話せよ」


「実はな、雪白の家は、栄生美幸と姻戚関係にあるらしい」

「だから、ちょうセレブってわけだ・・・」


「あ〜それ聞いただけで最悪だな」


「向こうは頂上にいる人たち、俺たち庶民とは格が違うんだよ」


「だからいくら雪白を好きになっても、高嶺の花ってわけだ」

「逆玉って方法もあるけど、きっと苦労するのは目に見えてる」

「よっぽど割り切るか神経が図太いやつじゃやいと雪白と付き合うのは

無理だろうな・・・」


「それに雪白って女子の間じゃ、あまり評判よくないみたいだし・・・」

「コスプレ会じゃ、人気を博してるけどかなり自己中らしい」


「ふ〜ん、人って中に入ってみないと分かんないもんだよ」


「ってことで、これからは姫ちゃんだよ」

「ネットですごいことになってただろ?」


「ああ、そのことで、一悶着あったよ」


俺は芸能事務所のことをヨコチに話してやった。


「だろうな・・・姫ちゃんみたいなイケてる子、芸能事務所がほうっておく

はずないもんな」


「でも、もったいないな・・・姫ちゃんがタレントになるのが

嫌だって言うんなら、しょうがないっちゃ、しょうがないけど・・・」


「おまえ、まだ懲りずに姫にちょっかい出そうって魂胆か?」


「いやいや、いくら俺でもそう何度も病院送りは嫌だからな」


「姫ちゃんのアナ・デ・トライザクトのいちファンとして応援していくよ」


ヨコチの瞳は乙女みたいにキラキラ輝いていた。


ヨコチは知らないから、そんな夢みたいなこと言ってられるんだ。

姫は満月の夜、超エロくなるんだぞ・・・。


つづく。

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