第11話:ヨコチに雪白 姫のことを聞いてみる

さて、苦し紛れに、まことしやかなことを姫に言ったが、俺は雪白 姫ゆきしろ ひめのことも気にかかるわけで・・・

雪白と一度は合って話でもして飯でも食って交流を深めたいと思ってる・・・。


でも、それをやっちゃったら、姫が悲しむだろうな・・・。

好きになった男が他の女にうつつを抜かしてるなんて知ったらどう思うだろう?

そんなことがもし、姫に見つかりでもしたら俺は確実に姫に殺されるな・・・。


姫って独占欲強そうだもんな・・・。


後ろめたい気持ちを抱えたまま、どうしたもんかと頭を抱える今日この頃・・・。


そうそう前にも言ったが、また、姫がベランダや台所で誰かと話してる声を

俺は聞いた。

家には俺と姫しかしない・・・それは姫の独り言なんかじゃなくて誰かと

話してるのだ・・・。

ホラーだよね。(⌒-⌒; )


俺は姫に見つからないように姫がいるあたりや周りをこっそり見たが姫以外

誰もいなかった。


やっぱりホラーだ。


そうこうしてるうちにヨコチが退院してきた。

たしかヨコチはコミケとかコスプレサミットとかに顔を出してるクチだったはず。


ヨコチも俺と同じでコスプレ好きときている。

ヨコチは俺なんかより上を行っているからコスプレーヤーには人一倍詳しい。


もしかしたら、雪白 姫のことを、けっこう知ってるかもしれない。


そこで俺はヨコチを捕まえて聞いてみた。

でも、その前に、ヨコチは俺に食ってかかってきた。


「おまえ〜、姫ちゃんの彼氏になったって聞いたけど、それほんとか?」

「おまえら兄妹だろ?・・・いいのか兄妹で付き合って・・・」


「ああ〜・・・それな・・・ちょっとややこしいことになってるんだよな」


俺はヨコチに美幸と姫とのあらましを言って聞かせた。


「なんだ、それ・・・仮の彼氏って・・・」


「じゃ〜姫ちゃんとはなんでもないんだな・・・」


「それが、なんでもなくないんだな、これが・・・」


「どういうことだよ」


「俺は、一時は姫の偽の彼氏だったんだけど、美幸とのことが一段落ついて、

俺の仮の彼氏も解消したはずだったんだ・・・。

それが今度は正式に姫から彼氏になってくれった告られた」


「なんだよ、それ・・・やっぱりおまえら、そういうことになってるんじゃ

ないかよ」


「悪いな・・・」


「だけど、俺は姫ちゃんのこと諦めてないからな」


「なんでもいいけど・・・おまえ、病院送りになってまだ懲りてないのか?」


「俺は姫ちゃんを初めて見た時から、彼女に魅入られてるんだ・・・

あの制服姿だって俺にはコスプレに見えるし、あんなに非現実的でめちゃ

可愛い女の子は見たことない」


「そうとうやられてるな・・・」


「あのな、悪いことは言わないから姫のことはあきらめろ」

「断言しといてやる・・・姫を好きになったら絶対後悔することになるぞ・・・」


「なんでだよ」


「おまえは本当の姫を知らないんだよ」


「じゃー付き合ってくれと言うのは置いといて、せめてお友達になれないかな?」


「まあ、友達くらいならおっけ〜なんじゃないか?」

「俺から、姫にそう言っといてやるよ」


「ありがとうツッキー・・・」

「おまえにツッキーって呼ばれる覚えはない・・・俺のことをそう呼べるのは

姫だけだ 」


「それはそうと、おまえ雪白 姫のこと知ってるか?」


「おう、よく知ってる、俺、彼女も好きなんだよな・・・コスプレーヤーとして

だけどな」


「気が多いやつだな・・・」


雪白はコスプレ会では、かなり有名、売れっ子のコスプレーヤーらしい。

ヨコチとも何度も会ってるって言うじゃないか・・・。


俺はヨコチに雪白に会えないか、聞いてみた。


「それなら今度、埼玉スーパーアリーナのコスプレ大会に雪白もコスプレで出るから

行ってみたら・・・俺も行くつもりだから・・・」


そうか・・・って言ってみたが、なにもイベントになんか行かなくても姫の

クラスの行けば、普通に雪白に会えるわけで、あえてヨコチに紹介してもらうまでの

ことはないんだけど・・・

問題は姫・・・・雪白に声をかけてるところを姫に見られたら絶対マズいし・・・。


だから教室では声はかけられないわけで、結局イベントに行くことに

なるのか・・・。

それに俺は制服の雪白じゃなくて、ブルーヘブン・ファンタジーのキャラ

「セルジュ・フォン・ヴァルデック」のコスプレをしてる彼女が見たいんだ。

俺は彼女自身じゃなくて、セルジュ・フォン・ヴァルデックに惚れてるのかも

しれない。


そういう意味では制服の雪白には興味はないって言えるのかも・・・。


「あのさ、おまえ姫ちゃんと恋人同士なんだろ?」

「雪白と二股たかけたら、それはルール違反だぞ・・・」


「分かってるよ・・・だから俺も困ってるんだよ」


「つうかさ・・・俺、コスプレイベント自体、見にいけそうにないわ」


「なんでだよ・・・」


「考えてみた休みの日は、姫が金魚のウンコみたいに俺にくっついて

離れないんだわ・・・」


「なんだよそれ・・・ノロケか」


つづく。

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