第10話:繰り返される満月の夜
俺は姫に返事をするまえに、また満月の夜が来た。
相変わらず姫は俺の部屋にやって来る。
ドアに鍵なんかかけたって、蹴破られたら修理しなきゃいけなくなるから
鍵をかけるのはやめた。
姫は俺の部屋のドアから顔だけ覗かせて言った。
「ツッキー・・・エッチしよ?」
「そんなところからエロい声出してもダメだ」
「彼氏になってくれるって・・・決心ついた?」
そう言いながら姫は部屋に入ってきた。
またパンツしか履いてない・・・。
もう慣れたけど・・・。
「ついてないよ・・・考える時間なさすぎ・・・」
「なに、迷うことあるの?」
「そんなに私、魅力ないかな?」
「そんなことはないよ、むしろ魅力だらけだよ」
「だからってエッチはやらねえ・・・何度来たって、やらねえもんはやらねえ」
「前にも言ったけど、未成年はダメだって・・・」
「だから〜誰にも言わなきゃ分かんないってば・・・」
「毎回、同じこと言い合ってるぜ、俺たち」
「ツッキーがエロくならないからいけないんでしょ」
「エロくなってるよ・・・だけどやっていいことと悪いことくらい
分かってるつもりだよ」
(俺だって、このままやっちゃいたいって思うよ)
(でも、一度タガが外れたら、もう戻れなくなりそうだからさ・・・)
一度、姫の誘惑に乗ってエッチしたら、その先はどうなる?
俺は満月の夜だけじゃ、物足りなくなる自信はあるし。
我慢できなくなる自信もある。
言い換えれば、満月の夜しかエッチできないわけだろ。
エッチできない日は、悶々とした日々を送るのか?
そんなの耐えられそうにないわ・・・。
「あのさ・・・決めたから・・・」
「姫の彼に、正式になってやるから、今夜は黙って自分の部屋に帰れ」
「本当に?」
「本当、本当・・・嘘じゃなくて、あとで知らなかったなんて言わないから」
「な、だから今夜は帰れ」
「正直、おまえを見てると我慢できなくなりそうなんだ」
「我慢しなくていいよ・・・ね、抱いていいんだよ?」
「そんな目で俺を見るなよ」
「それよりさ、親父になんて言えばいいんだ・・・俺たち好き合ってますって?」
「だからもうエッチもしましたって言うのか?」
「だから、黙ってれば分かんないってば」
「俺はさ、後ろめたいことをして、それを黙っておくなんてできない
タチなの・・・」
「そういうのを心に溜めておくと、汚いものが蓄積していくんだよ」
「あのさ・・・ちょっと調べて見たんだけど・・・」
「日本の法律ではな・・・女性は16才から結婚できるみたいだし、
そういうことが前提ならエッチだってしてもいいみたいだけど、
でもそれは親の承諾があってのことだから、今の俺たちには当てはまらないんだ」
「だから今、俺がおまえとエッチしたら法律に触れてしまうわけ。
おまえが今、18才なら大丈夫なんだけど、だからおまえが18才になるまで、
おまえとは俺はエッチできないんだよ。
おまえが大丈夫な歳になったら、そしたら、おまえの同意さえあれば
おっけ〜ってことになる」
「だからおまえは自分の18才の誕生日の日まで、待ってなきゃいけない」
「あと、数ヶ月だろ?」
「俺は以前に、これはモラルの問題だって言ったよな?」
「おまえがちゃんとした大人の仲間入りしたら、その時は・・・」
「エッチしてくれるの?」
「ああ・・・約束する・・・」
「俺は言ったことは、絶対守るから・・・」
「約束だよ・・・」
「ああ、約束」
姫はとりあえず、それで納得、したのかどうかわからないがムラムラすると
言いながら、自分の部屋に帰って行った。
よく考えたら可哀想だよな・・・あんなにムラムラしてるのに
俺に拒否られて・・・。
こんなこと続けてたら、姫はいつかマジキレしそうだな。
「姫の言ったとおり誰にも言わなきゃ、分かんないことなんだけど・・・」
「俺が間違ってるのかな・・・」
つづく。
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