第9話:姫の告白

まじかよ・・・姫が俺のこと好きって?


「って言うか、ほんとに後で、あれは冗談ですとか、嘘でしたなんて

言うんじゃないだろうな?」

「俺をからかってないって言えるか?」


「冗談のほうがよかった?」

「ウソだよって言って欲しい?」


「いや、そこまでは言わないけど・・・まかり間違っても、そんなことは

絶対ないって思ってたから・・・ 」


「ツッキーは私が彼女って、迷惑?」

「いやいやいや・・・迷惑ってんじゃないけどさ・・・」


「迷惑ならはっきりそう言って・・・」


「じゃあ・・・迷惑って言ったら、どうすんだ?」


「・・・・」


「泣いていい?」


「おいおい、冗談だろ・・・」

「おまえが泣くって・・・そんなの一番ありえないだろ?」

「どうしたんだよ・・・」


姫の目から、涙がこぼれ落ちた・・・。


「うそー・・・」

「分かった・・・分かったから・・・迷惑とかってクチが裂けても言わないよ」

「だから泣くなよ、それくらいのことで・・・」


「だって迷惑なんでしょ、私のこと・・・」


「そうは言ってないだろ?」

「なんだよ、いつもの強気な姫はどこへ行ったんだ」


「私だって恋をしたら変わるんだよ」

「乙女チックにだってなるよ」


「いつから俺のこと、好きって思ってたんだ?」


「私の仮の彼氏になってって頼んだ時から・・・

いっしょに生活してくうちに、ツッキーのことが好きになってた」


「ツッキーって一見、ぶっきらぼうだけど」

「私が暴力ふるっても怒らないし・・・優しいし・・・」


「それは男が女に暴力ふるうなんて最低だと思ってるからだよ」

「女に暴力ふるうような男は、自分に自信がないやつがすることだからな」

「俺は、そんな低レベルな男にはなりたくないだけ・・・」


「でも、それって私に気遣ってくれてるからでしょ」


「まあ、そうだけど・・・可愛い妹だし、仮の彼女だからな」


「もう、仮ってのは解消していいよ」


「恋だぞ・・・恋・・・・ただ好きってんじゃないんだぞ」

「分かってるのか?」


「分かってる・・・」

「私のこの格好が嫌なら、普通の洋服に変えてもいいから・・・」


「そこまでは思ってないし・・・」

「それは姫の個性だから、俺はいいと思うぜ」

「俺はどっちかって言うとコスプレとかロリータファッショッンとかって

嫌いじゃないからな・・・そのままでいいけど・・・」


「いや参ったな・・・」

「そっか〜・・・本気になっちゃったか・・・」


つうか俺は今、雪白 姫に気持ちが傾いてんだけどな。

できれば、話がしてみたいし・・・できれば仲良くなりたいって思ってる

最中なんだ・・・

タイミング悪すぎだよ・・・。


まあ、俺だって姫のことが嫌いな訳じゃない。


正直、姫といっしょに歩いてるとすれ違う男どもの視線が、ひしひし

突き刺さるからな。

その時だけはめちゃ優越感に浸れるんだ。

俺はこんなに、いい女を連れてるんだっていい気分でいられる・・・。

それだけ男をひきつける魅力が姫にはあるってことだから・・・

自慢したっていいと思うんだけど・・・


でもな〜・・・なにかが引っかかるんだよな・・・なにかが。


姫の思いを素直に受け止めてやれたら、それが一番いいと思うけど・・・

もし今、姫の思いを断ったら、俺は最低男になりそう。


断ろうなんて・・・俺はめちゃ、もったいないことしてるのかな。

贅沢な悩みなのかな。


姫には、どうしても疑問に思うことがあるんだよな。

姫は人間なのか?・・・腕や足が取れたり・・・満月の夜には人が

変わったみたいにエロくなるし・・・。


俺は姫に、マジ彼氏になることを、すぐに承諾はしなかった。


「考えとく・・・」


って言ったけど、姫は納得してなかった。


「即決はできないよ」

「少しは考える、時間与えろよ・・・」


「じゃ〜次の満月の夜まで待ってあげる」


「そうしてくれ・・・・で、次の満月っていつだ?」


「明日だよ」


つづく。

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