第5話:無敵のゴスロリ女

姫を追い出すって方法もある・・・だけど引き取り手のない子を追い出すなんて

そんな可哀想なこと俺にはできない。


まあ、それに悪いことばかりじゃない・・・姫は男所帯のむさ苦しい中に咲く

一輪の花。

姫がいるだけで、家の中が華やかになるのは違いないことだ。

しかも、いつも甘いいい匂いを漂わせている・・・これはひとつの癒しだと

俺は思った。

女っ気があるってだけで、男は、バカだから頑張れたりする。


俺は満月の夜だけ、がんばって姫から逃げればいい。

姫は極端すぎるんだよ、なにもかも。


で、姫に入院させられていた、ヨコチが退院してきた。

で、懲りもせず、また姫に告った。

気の毒に・・・ヨコチはまたヒメの往復ビンタを食らって病院に戻って行った。

せっかく退院してきたのに・・・。


俺が姫に告ったことを境に、あいつでも姫に告ったのかと、他の男どもの

気持ちが吹っ切れたのかつぎつぎ姫に告って、全員往復ビンタを食らって、

みんな病院送りになった。


あんなに、俺に告ってくれって頼んでおきながら、他の男から告られたら

逆ギレするっておかしくないか?

思考回路が狂ってるんだ。

これも異星人に改造されたからなのかなって俺は思った。


とにかく姫は人間であっって人間じゃない。

ニュースピーシーズなんだ。


誰彼なしに、すぐに人を叩くし、足蹴りにするし・・・。


ある日のこと、姫の仮の彼氏の俺はデートって名目で姫を連れて買い物に出かけた。

商店街のコンビニの入り口で、ヤバげな連中とすれ違う時、避けられなくて体が

当たった。


ヤバげな連中は5人つるんでいた。

なんか先頭のやつが無理に当たってきた気がした。


でもトラブりたくなくて俺はすぐに謝ったが、姫がガンを飛ばした。


「おい、ネエちゃん、今、俺にガンくれたよな」

「喧嘩売ってんのか?」


「あ、すいません。なにも知らない子なんで、許してやってくれませんか?」


「ツッキー、なにヘコヘコしてんの?」

「どう見ても、ぶつかってきたのは、こいつらじゃん」

「謝るのは、こいつらだよ」


「ネエちゃん、因縁つけようってのか?・・・いい度胸してるな・・・」

「女だからってタダで済むと思うな・・・」


「すいません・・・姫も謝れよ」


「ツッキーのヘタレ・・・わたしの彼氏だろ」

「なら謝ってないで、わたしを守れよ」


「やめろって、数からしてどうみたって俺たちの方が不利だって・・・」


「こんな連中がいるから世の中の風紀が乱れるんだよ」


「言ってくれたな、ネエちゃん」


そう言うと先頭にいた男が、姫を殴ろうとした。

そんなことくらいで姫がひるむわけがない。


当然、ヤバげな連中は姫に返り討ちにあうわけで、ゴスロリ娘を舐めてかかった、

ツケが回ってくる。


街でヤバげいな連中に絡まれても、俺は謝るけど、姫は立ち向かっていく。

ゴスロリの衣装を着たおネエちゃんが、ヤバげな男相手に大立ち回り。


姫は人間より男より力が強いから、大の男でも姫の一発のパンチで何メートルも

すっ飛んで行ってしまう。

姫の蹴りなんか食らった日には、絶対骨がぐちゃぐちゃに砕けてるに決まってる。


それでよく死人が出ないなって思う。

ま、でも、たしかに姫を連れてると無敵だから怖いものはない。


当然、病院送りになるのはヤバげな連中の方。

その度に警察がやってきて、保護責任者の俺がおとがめを受ける。

姫は未成年だから、当然怒られるのは俺。


当の本人は可愛いことをアピールして、警察のおまわりさんを腑抜けにしてしまう。

なんて姑息な女・・・恐ろしい女。


でも、なんて言うの・・・憎めないところもある・・・それはブレない真っ直ぐさ、

純粋さって、のが姫にはある気がする。

どっちにしても可愛い女子が、俺の身の回りにいるってのは悪くない。


最近、そう言うことが、姫を見てると感じるようになってきた。


俺って、もしかして姫を好きになってきてる?

まさかな〜・・・。


つづく。

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