第6話:栄生 美幸の誕生パーティー

ある日、俺の家に一通の封書が届いた。

差し出し人は、ヒメと告られた数で張り合ってる美幸からだった。


迦具夜姫様

某月某日、私のお誕生日のパーティーを盛大に開催することになりました。

つきまして迦具夜姫にいたりましては彼氏同伴にてお越しください・・・

栄生 美幸さこうみゆき


姫にだった。

俺と同伴って・・・美幸のやつ、わざわざ俺たちを誕生パーティーに招待する

なんて、何か魂胆があるんじゃないか?


「姫、行かないだろ」


「面白そうじゃん・・・行ってやろうよ」


「絶対、一悶着あるって・・・やめとけ・・・俺、嫌な予感がする」


「何があっても、退屈しなさそうじゃん」

「行くよ、ツッキー」


ってことで某月某日、学校が休みの日、朝二階から降りてきた姫は赤いパンツ

を履いていた。

なんでも、勝負の時は赤パンツらしい。

なんの勝負をするつもりか知らないけど、そんなのただの思い込み、迷信だろ。


なんか、姫には赤パンツは似合わねえ。


ってことで某月某日、俺と姫は美幸の招待を受けて栄生家へやってきた。

美幸の家に来るのは、はじめてだった。


「デカい門だな」


「どうやったら開くんだこの門」


すると俺たちが来たのを見はからった様に門が開いた。


「お〜勝手に開いた」


「門が勝手に開くわけないだろ・・・」

「俺たち、監視されてるんだよ」


「ほら、防犯カメラ設置してるだろ」


見ると門の柱の両側上部にカメラが設置してあった。


「まあ、これだけの屋敷だからな、セキュリティーは万全なんだろ・・・」

「金持ちは違うな・・・」


「金持ちだからって、なに?・・・うるさいよツッキー」


さて門を入ったのはいいが・・・なんか敷地面積、めちゃ広いし・・・。

しかも、遠くにお城みたいな立派な屋敷が見えた。

歩いてもかなり距離がありそうだった。


めんどくせえと思っていたら向こうから何かが近ずいて来るのが見えた。

執事らしきおじさんがカートを運転してやってきた。


「いらっしゃいませ・・・どうぞお乗りください」


俺たちは執事らしき、おじさんに誘われてカートに乗って屋敷に向かった。


美幸の家って、なんの商売してるんだろう?

まあ、いかにも金持ってんど〜って自慢げな匂いがプンプン。


屋敷内に案内された俺は、広間に置かれた彫刻や壁にかかった絵を見て

下世話な銭勘定をした。


「この絵とか彫刻って、さぞかし高いんだろうな・・・」


「ツッキー、キョロキョロしない」


「だってよ・・・」


「こんなの金出せば誰でも、いくらでも買えるでしょ・・・」

「偉くも、羨ましくもないわ・・・」


「相変わらず、強気な発言よね」


声のしたほうを見ると、二階の階段の踊り場に美幸がいた。

金持ちのご令嬢らしく、豪華なドレスなんか着ていた。


「よく、来てくれたわね・・・」


「こんちは・・・美幸、おまえんち、めっちゃ金持ちなんだな・・・」


「まあね・・・」

「さ、パーティー会場は二階よ・・・上がってらして」


「ツッキー、キョロキョロしないって言ってるでしょ」


姫は何があっても動じないけど、その逆に俺は、この時点で美幸と豪華な

屋敷の雰囲気に負けてる・・・じたばたしてる。


まるで俺はゴスロリお嬢さんの彼氏って言うより腰巾着みたいだ。


今回のことは姫の赤パンツ効果じゃなくて、ただクチの悪さでも、

パワーでも姫の方が美幸より勝ってるわけで、姫の実力に他ならない。


だから赤パンツ履く意味がどこにあったんだと俺は思った。


つづく。

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