第2話:最初の満月の夜

もっと最悪で不思議なことが姫に起こったのは、それは満月の夜に限っての

ことだった。

姫は、なぜか満月の夜だけエロくなる・・・。


それは姫が俺んちに来て、最初の満月の夜、姫が俺の部屋に夜這いにやってきた。

俺がまだ起きてゲームをやってたら、部屋のドアが開いて、姫が入ってきた。


「おお・・・姫、なに?」


「ツッキー・・・エッチしよ」


「・・・・・」

「・・・・おまえ、何言ってるの?・・・」


「私ね、満月の夜になるとムラムラするの・・・アソコがウズいて、もう

濡れっぱなし」


「またパンツ一丁じゃないかよ・・・せめてブラするかパジャマくらい着とけよ」


「すぐ脱いじゃうんだからいいじゃん」


「なんで満月の夜に、そんなにエロくなるんだよ」


「分かんない・・・」

「いいじゃん・・・この家には男はツッキーしかいないんだし・・・」

「手っ取り早くエッチできるのはツッキーだけだからね」


「いきなり俺の部屋にやってきて、エッチしようって・・・おかしいだろ?」

「俺たち恋人どうしでも、夫婦でもないんだぞ・・・」

「愛情のないエッチして、それでいいのか?」


「ツッキーは考えが古いんだよ・・・」


「もし俺が拒否ったら、どこか知らない男のところに、夜這いに行くのか?」


「バーカ・・・私はそこまで淫乱女じゃないよ、貞操観念だってあるんだからね」


「俺に迫ってきておいて、矛盾してるよ」


「そんなこと、どうでもいいから早くエッチしようよ・・・」


「ダメだって、兄妹でエッチって、近親相姦だろ」

「兄妹って・・・そういうことにしてるだけでしょ・・・私達、他人だし」


「未成年のおまえとエッチしたら淫行だよ・・・そんなことできると思うか」

「もう自分の部屋に帰れ! !」


「どうしてもダメ?」


「ダ〜メ」

「早く寝ろ」


「つまんない・・・」


「ムラムラして眠れない・・・」


「じゃ〜自分一人でオナやれば?・・・少しはムラムラが解消するだろ」


「どうしてもダメ?」


そう言って姫は自分のおっぱいを持ってプルプルした。


「おっぱいプルプルしてもダメなもんはダメ・・・」


「ふん・・・ほんとつまんない男」


そう言って姫は自分の部屋に帰って行った。


満月が来るたび、俺の部屋に来るのか・・・思いやられるよ。

そりゃ俺だって男だから、エッチしたくないワケないだろ。

姫がエッチしようって俺の部屋に来た時点で、俺の下半身は人格失ってるし・・・。

つうか、パンツ一丁で人の部屋に来られて、興奮しない男がいるか?


正直言ってやりたいよ・・・。


でも、相手が姫じゃな・・・。

妹じゃなくても、妹みたいな女を、しかも未成年と来たら後ろめたくない

わけないじゃん。


普段は俺のことなど鼻にもかけないくせに・・・。

どっちかって言うと、誘惑される代わりに暴力を振るわれるからな・・・。


それで俺は何度も病院送りになりかけた。

姫は人格がジキルとハイドなんだ。


暴力で思い出したが、姫が転校してきた日、姫に一目惚れした俺のダチ

ヨコチが姫に「君のことが好きだから、付き合ってくれませんか」って告った。


ヨコチは姫に往復ビンタを食らわされて、アゴの骨が砕けて入院した。

ヨコチは根っからのドMだったから、退院したあとも姫に言い寄っていた。


あともうひとつ、奇妙なことが・・・

姫が俺んちに来て、一度ディズニーランドへ連れて行ってやった時のことだった。

大勢のカップルや家族ずれがいたから、迷子になるといけないと思って

俺は姫と手を繋いで歩いていた。


すると繋いだ手が妙に軽くなったなと思って見たら手を繋いでるはずの姫がいない。

代わりに姫の腕が・・・俺の手にぶら下がっていた。


「おおおおお・・・わわわ・・・なんだこれ・・・」


姫の体から左腕がはずれていたのだ。


少し遅れて俺の後ろから姫がニタニタ笑いながら、追いついてきた。


「うそお・・・ホラーじゃん」


よく分からないが、腕に負荷がかかると取れるようになっているらしい。

他に足が取れたり・・・そういうことは普通にあるらしい。

そのくせ、俺に暴力ふるう時には腕が取れないってどういうことだよ。


俺は姫は人間じゃないって思った。

でも、ロボットでもないし・・・サイボーグなんかでもないしアンドロイド

でもない。

肌なんか、プニプニして、作り物って感じがしない。

怪我をしたらちゃんと赤い血も出るし・・・ただ傷の治りが半端なく速い。

あっと言う間に傷口がふさがっていくんだ。


でも、やっぱり姫は普通の人間じゃない気がする。

正直、姫が何者なのか俺も分からない・・・親父だけが知ってるのかもしれない。


姫が常識を逸脱してることについて、俺は親父に聞いてみた。

最初は親父も、しぶっていたが、俺がしつこく聞くもんだから姫のことをボチボチ話し始めた。


姫の生まれた家は農家さんを営んでいて、その家にUFOが墜落して来たらしい。

で、その墜落事故で姫の祖父母と両親が亡くなったんだそうだ。

姫も重傷を負ったが、落ちたUFOを救助に来た異星人が姫の命を救ったらしい。


だからヒメは異星人のすぐれた医療技術によって改造され一命をとりとめた。。

体の一部は移植されたので半分は異星人のDNAを持ってる。


宇宙なんかの研究をしていた親父は、その墜落現場で異星人に姫を託された。

研究所の人たちの中に、ちょうど姫を引き取ってくれる人がいて、姫はその一家に

引き取られて行ったが姫が高校生になってから義理の両親夫婦ともども交通事故で他界してしまった。

そこで、親父が天涯孤独になった姫をやむなく引き取ってきたって・・・そういう

ことらしい。


それが姫の正体。

その話がどこまで信憑性にある話かは分からない。

UFOとか異星人が出てきた時点で、胡散臭い。

親父のでっち上げだったとしても一応、筋は通ってるワケで、姫を見てると

あながち、ウソとも言い切れない・・・今は信じるしかなさそうだ。


姫が我が家に来てから、暴力は振るわれるわ・・・エッチしようって迫られるわ、

散々だけど、とりあえず俺はまだ生きている。


で、昼休みのこと、俺は大学の食堂で飯を食った後、テーブルにつっぷして

寝ていた。

するとテーブルを足で蹴るやつがいる。


「誰だよ」


そいつの方を見ると、え?・・・姫じゃないか・・・。


「なんだよ、またこっちに来てるのか?」

「人が気持ち良く寝てんのに、何やってんだよ、おまえ」


「あのさ・・・話があるんだけど・・・」


つづく。

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