第六話 超絶美幼女プリズナーRIAMUちゃん Bパート
「神よ、守りたまえ!」
クリフトが強く祈りをささげると、少女とクリフトを守るように、光輝く球状の壁が突如出現した。
「魔法か!?」
ざわめく一団。二人の背後にいた一人の男が、壁に向かって蹴りを放つが、足を痛めるだけに終わった……かに見えた。
「おや?」
傾斜の上にビー玉を置くとどうなるか。下に向かって転がりだすだろう。つまり、そういうことである。球状の壁は、蹴りが初動の力となり、坂道を下に向かって転がり出したのだ。
「ああ、危ないですよ」
「うおおおお!?」
こけないように少女を背負い走りながら、にこやかに告げるクリフトと、段々と加速する光の球に轢き潰されないよう必死に逃げる前方にいた一団。
どんどん加速し、ついには一団を轢いてしまったが、止まらない。その先には、目的地である誰にでもお金を貸してくれる場所がある。
「これは、困りましたね。仕方ありません、謝りましょう。……ごめんなさーい!」
クリフトを内包した光の球は、夜明けと共に建物を吹き飛ばした。
「ここも違う!」
扉を蹴り開け、中を確認したリンは、舌打ちして廊下に戻った。辺りには、緊急事態を告げる笛の音が鳴り続けている。
「いたぞ!」
「囲め囲め!」
リンを発見し、続々と集まる獄吏達。それを察知したリンは、両足に強く力を込めた。
「どっせい!」
リンには、RIAMUちゃんのようにこのボディの性能を完璧に引き出し、正確に扱うことはできない。しかし、全力を出す事ぐらいはできる。リンは今、全力で跳躍し、天井に突っ込み、そこから再び全力で床に蹴り戻り、獄吏達の頭上を越えた。そして、全力のこぶしで壁を一部破壊し、がれきによって足止めを行う。
そのようにして進みながら、扉を見つければ蹴破り、中を確認してまた先に進む。
「あった!」
何度もそれを繰り返した時、ついにお目当ての部屋が見つかった。牢屋に入れられた人たちが、持っていたものが収められている部屋だ。リンは鬼気迫る表情で部屋を荒らし始めた。
「困りましたね」
背中に眠ってしまった少女を背負いながら、全く困っていなさそうな微笑みで目の前に広がる光景を眺めるクリフト。そこでは、一部の警察が舞い散ってしまった証拠と思わしき紙を拾い集め、また別の警察が破壊された建物の中にいた人たちを捕らえどこかに連れていっていた。
「本部ごと破壊されて証拠を押さえられるとは、恨みを買いすぎたなヤリスギファミリー」
「畜生!」
今まさに、一際偉そうで豪華な服を着た強面の男が、警察に取り押さえられた。そんな光景を見て、流石のクリフトもここでお金を借りれなさそうなことはわかった。
「頼んでみる、それしかないでしょう。すみません、大神官という方はどこにいらっしゃるのでしょうか?」
呼び止められた警察は、お前がそれを聞くのか、という表情をしていた。
笛の音が止んでいた。もう吹く人がいないのだ。その部屋には、散らかされた物と、もう動けず呻くことしかできない者が、山を作っていた。その山の中で、リンは呟いた。
「ランドセルは城、か」
リンは、ランドセルを取り戻せていなかった。この部屋に、いやこの牢獄にはなかったのだ。今は山の構成物の一つとなっている獄吏の一人から、王命でランドセルが城に持っていかれたことを聞き出していた。王命による指名手配、城に運ばれたランドセル。リンの中で二つの点が結ばれ、線になった。
「革命だこのやろう」
リンの瞳には、見えないはずの城と、肥え太った想像上の暴君が写っていた。
ピンク色の風が、朝の王都の建物の上をジャンプを繰り返して跳ね進む。牢獄と城は離れていたが、城は王都で最も高く、どこからでも見えるので迷いようがない。起きて活動を始めた住民たちが、リンが建物の屋根を強く蹴るたびに発生する轟音に空を見上げるが、見つけられる前にもう先に進んでいるので、大きな騒ぎにはなっていない。
そうして、然したる障害もなく、リンは王城の門の目の前、堀に掛けられた橋の上に降り立った。
「な、なにものだ!」
「革命じゃあ!」
突然上空から降ってきた幼女に誰何した門番は、哀れ、持ち上げられて堀の水に投げ込まれ、大きな水しぶきを上げた。
そして間もなく長い歴史を持つ門が、外側から吹き飛ばされた。
リンには、当然王様のいる場所などわからない。そのため城に押し入ってから、なんとなく偉い人は上にいるだろうと適当に上を目指して駆け抜けていった。しかし、城とは元々戦いのために作られた物、廊下はまっすぐに見えて絶妙にカーブし方向感覚を狂わせ、階段を上ったと思えば先には下る階段しかないなど、道を知らない敵を惑わせ地の利を得られるようにできているのだ。
「いたぞ!」
「でりゃ!」
全身鎧を纏った騎士を掴み、床に叩きつけて気絶させ無力化したリンは、入ってきた扉から出た。王のいるところでも、ランドセルのある場所でもなかったのだ。もう何度目か、舌打ちもでない。
「あーくそ、そろそろ当たれよ!」
「きゃー!?」
「ごめんよ!」
悲鳴を上げたメイドを無視して突き進む。狂わされた直感を信じて上に向かおうとし、たまにそれらしい扉を開ける。何度もそんなことを繰り返したリンは、ついに出会った。
「礼儀を知らぬ入り方だな、何者だ?」
「……いや、あんたこそ誰だよ」
扉を開けた先には、威厳のある顔つきをしたナイスミドルが椅子に座っていた。
「はは、余を知らぬか。余は国王である」
瞬間、リンの脳が怒りで沸騰しかけたが、あることに気づいて冷静になり、笑った。
「それにしては、そのアンクレットはあんまりセンスないんじゃないか?」
「ははは、気が合うな娘よ」
楽しそうに笑う自称国王の片足は、手錠のようなもので椅子とつながれ、もう片方はとても重そうな鉄球と鎖でつながっていた。更に落ち着いて部屋をよく観察すれば、国王の私室にしては狭く調度品や家具も少なすぎ、執政場所にしては何も仕事道具はない。そして、窓もなかった。リンが入れられた場所よりはずいぶんましだが、ここは一種の牢屋だ。
「あんた……いや、あなた様は本当に国王陛下でいらっしゃる?」
「最初からそう言っておるではないか。それで、娘は何者だ?」
言葉遣いを改めたリンに、国王は鷹揚に頷き、問うた。
どうやらこの部屋は人払いがされているようで、二人が事情を説明しあう間に誰も来ることはなかった。
国王曰く、彼は昨晩ベッドに入った後、気づけばここに閉じ込められていたという。そして、自分と同じ顔をした何者かに勇者の鎧のありかを尋ねられたが、当然教えなかった、と。
「なるほど、余の名で指名手配か。好き勝手やってくれおるな」
王の表情は笑顔だったが、その深い青色の瞳は強い感情に燃えていた。
「それにしても、異世界人に勇者の装備を狙う謎の組織か、面白くなってきたではないか」
リンは、国王に全て話していた。流石は一国の主というところか、この人なら信用できると、少しの間にリンは確信できた。実際王は、リンの荒唐無稽な話を信じてくれた。
「陛下、外れました」
「ご苦労」
話し合いを終えたリンは、王につけられていた枷を力技で外した。
「余はやるべきことがある故付き合えんが、道順は覚えたな?」
「はい」
いくら国王とはいえ、閉じ込められている間に持ち込まれたランドセルがどこにあるかは分からなかった。しかし、偽王がいるであろう場所には目星が付いているため、その場所をリンに教えた。リンも、その偽王にランドセルのありかを吐かせれば良いだろうと、まず偽王の成敗に向かうことにしたのだ。
「……ところで陛下」
この部屋から去る直前、リンはついに、ずっと疑問に思っていたことを尋ねることにした。国王は、無言で先を促した。
「何故全身タイツ姿で?」
「趣味だ」
「……なるほど」
リンは全身タイツ姿のナイスミドルを背に、偽王の元へと向かった。
城を進む道中、少し前まで散々暴れまわっていたリンは、ついに歩みを止められた。
「陛下の元には行かせん!これより先は一歩も通さん!」
「それは偽物なんだよ!」
「笑止!」
廊下の途中にある広間のような場所で、十二人の全身鎧姿の騎士に、行く手を阻まれたのだ。牢獄の時のように上から抜けようにも、先の廊下の天井は低く、また大楯を持った騎士がそこを塞いでいるため、不可能だった。もちろん、力づくで押し通ることは出来るかもしれないが、力の調整が出来ないリンでは、大怪我をさせてしまうかもしれなかった。今は敵対している騎士たちが、ただ職務に忠実なだけであり悪くなど一切ないことがわかっているリンに、そんなことは出来ない。今までも、軽いけがか昏倒をさせるにとどめてきたのだ。
打開策を考えるリンに、四方八方から剣や槍が襲う。超人的な動体視力と敏捷性で躱すリンだが、攻勢に移れない。リンが穏便に無力化をしようとすると、掴んで床に叩きつけるか、武器を破壊するかしかない。しかしこう大勢で一度に、鍛えられた連携を以て攻められると、そんな暇はない。その上、躱し方が大振りで雑になってしまうため、いつ良い一撃をもらうかわかったものではなかった。
「くそ、やり辛い!」
「ちょこまか動く小娘モドキめ!正体を現せ!」
そしてその時がきた。槍の突きをよけるため大きく飛びのいた先で、大剣が振り下ろされていたのだ。リンは、ボディの頑丈さを信じて、体に力を込め衝撃に備えるしかなかった。
だが、その瞬間は訪れなかった。
『自動運転モード、オン!』
突如リンの意思を離れて動き出した身体が、大剣の刃を真剣白刃どりし、へし折ったのだ。
『リアム!どうして!?』
「そのためのRIAMUちゃんですから!」
折った刃を投げ捨て、我らが幼女は胸を叩いた。
「ありがとうお兄ちゃん……!」
泣きながら笑い、手を振りながら去っていく少女に、クリフトは手を振り返した。勇者教会本部の前で、少女と上級神官を見送ったクリフトは、満足気に頷いた。
「あのような子供たちが悲しまずに済む国に、したいものです」
「素晴らしいお考えですね、教会長さん」
教会長と呼ばれた、クリフトの隣に立っている男の、心のこもった言葉に、クリフトは深く同意した。
「ところでクリフトさん」
「はい」
「あなたは、どうやら勇者教会の神官ではないようです」
「なるほど」
記憶喪失の神官から、記憶喪失の謎の男に戻ったクリフトは、微笑んだ。
「美幼女百裂拳!ある程度遠隔でもエネルギー補給は大丈夫なんですよ」
残像すら残さないほどの速さで放たれた百の拳が、鎧騎士の全身を打った。
「蚊ほども効いて……動けない!?」
RIAMUちゃんの正確無比なパンチは、中の人に一切の痛痒を与えることなく、鎧の関節部のみを的確に変形させ、身動きを取れなくしたのだ。
『そういえばそんなこと言ってたな。そうか、そうか……』
「ハイヤーッ!スリープモードになっていただけなので今までのことも全て把握しています。ありがとうございました」
会話を交わしながら、瞬く間に全ての騎士を戦闘不能のオブジェに変えたRIAMUちゃんは、廊下を塞いでいた大楯の騎士もなんなくぽいっとどかし、先へと進んだ。
『礼を言われるほどのことはしてねえよ』
「いえ、RIAMUちゃんはお礼を言いたいのでお礼をいいます」
ピンク髪の幼女が風の様に駆ける。軽やかに、障害などないかの如く。
「我ら宮廷魔導――」
「ちょちょいのちょい!それと、RIAMUちゃんはランドセルの位置がなんとなくわかるのですが、恐らく偽王と同じ場所にあります」
長いローブを引きずって現れた十二人の魔術師を、一呼吸の内にその着衣の裾と袖とフードを結びあげ、揺れることしかできない団子に変えてまた走るRIAMUちゃん。
上に、上に、上に。そうして、ついに彼らは、辿り着いた。
「おじゃましまーす!」
一際豪華な扉を勢いよく開き、ピンク髪の幼女は城の頂上近いその部屋に飛び込んだ。そこでは、閉じ込められていた全身タイツの王と見た目は全く変わらない、しかし服装だけ王らしくなった男が、ランドセルに手を入れようと四苦八苦していた。
「もう来たか!」
「そのランドセルはRIAMUちゃん専用ですから、使えませんよ!返してもらいます!」
驚きながらも、RIAMUちゃんが来ることを予想はしていた様子の偽王は、赤いランドセルに突っ込んでくる幼女から直ぐに距離を取った。そのため、彼女は難なくそれを取り戻すことが出来た。
『なんか、癪だけどしっくりくるな』
「なじみますね」
ランドセルを背負い、いつもの状態になったRIAMUちゃんは、その重みを確かめるように一度小さくジャンプした。
「そうか、貴様専用か。なら最初からこうすればよかった!」
偽王はそう叫ぶと、懐から取り出したピンク色の糸のようなもの、どこで手に入れたのかRIAMUちゃんの髪の毛を、なんと飲み込んだ。
「へ、変質者!」
気持ち悪いものを見る表情で、幼女に人差し指を突き付けられながら、偽王は笑った。
「言っているがいい」
すると、見る見るうちに偽王の姿が変わり、どんどん縮んでいき、気づくとそこには、ランドセルを背負っていない以外はRIAMUちゃんと瓜二つな幼女が立っていた。幼女のような何かのような何かの誕生だ。
「外見だけ真似ても美幼女は中身が命なんですよ!美幼女ビーム!」
それを見た本物のRIAMUちゃんは、いつも通りすぐさま必殺技を放った。取り戻されたランドセルから、偽物を打ち砕かんと極彩色の光線が飛ぶ。しかし、開幕必殺技は通用しないのが世の理。鼻で笑いながらまるで撃たれることがわかっていたかのように、余裕で躱す偽幼女。的を外したビームは壁に容易く穴をあけ、そのまま遠くにあった勇者教会の屋根を吹き飛ばした。
「……むむ」
外したことを理解し、照射をやめ撃ちなおすRIAMUちゃん。だがまたしても簡単に避けられ、壁に穴が開き、遠くのパン屋のショーウィンドウを砕く。
『おいリアム!むやみに撃つと町がやばいぞ!』
「人はパンだけで生きるわけではないです!」
『教会もぶっこわしたやつのいうことじゃねえよ!』
放たれるビーム。避ける偽物。壊れる町。何セットか繰り返したところで、流石のRIAMUちゃんも当たらないことを認めた。
「むむむむ……」
「ふっ、ようやく無駄だと気づいたか」
偽幼女は、嘲るような笑みを強く浮かべた。
「次は俺の番だ!」
そして、RIAMUちゃんに近づき格闘戦を仕掛けてきた。繰り出される右のこぶし、しゃがんで本物が躱そうとすると、途中でそのこぶしは止まり、ローキックに変わる。なんとか腕で防御し、お返しのキックを放つが、偽物は既に間合いの外へと跳んでいた。蹴りを外した本物が足を戻すと、偽物はその時既に再び間合いの内に戻り、ハイキック。まともに頭部に受けるが、自ら跳んで威力減衰を試みる幼女。
「むむむ、八割といったところですか」
「ご名答!だが無意味だ!」
偽物のキックは、本物が放った蹴りより二割ほど威力が弱かった。どうやら完全にコピーできているわけではないようだが、八割でも十分ダメージは入る。
「行くぞ!」
また仕掛けられる格闘戦。スピードも二割本物が有利だが、本物の攻撃は悉く外れ、続ける内に偽物の打撃が何回かに一回入る。
「さあ、妖姫様の仇を討たせてもらうぜ!」
「誰ですかそれ幼女違いですよきっと!」
「違わねえな!」
続く徒手格闘の応酬。手痛いダメージこそ貰っていないが、打開策が見えない本物。
「生きてる内に、勇者の首飾りを出すんだな!」
「やっぱり幼女違いですよ!そんなものもってません!」
「勇者降臨の地で貰ったはずだろ!知ってんだよ!」
「もお!さっきから知らない事ばっかり!」
本物にボディブローを一撃いれ、距離を取る偽物。
「……本当に知らねえようだな。どういうことだ?我々魔王軍の目的も、全て知ってるんじゃなかったのか?」
「何言ってるんですかさっきから!」
訝しむ偽物と、ぷんすか怒る本物。
「まあいいか、とにかくぶっとばしてから考える!」
偽物は指を鳴らした。
実際、偽物は余裕があった。妖姫の配下であるこの男は、対象の身体の一部を摂取する事によりその姿と能力を八割真似られる。だけではない。化けている相手の考えていること、思考の浅い部分を読み取ることが出来るのだ。故に、RIAMUちゃんが何をしてくるのか前もって察知し、八割の力でも圧倒することが出来たのだ。尚、彼は記憶などの深い部分の思考を読むことはできない。そんなことが出来るのは四天王レベルくらいだ。
妖姫の配下がどう料理してやろうか邪悪に笑いながら考えていると、なんと目の前の幼女は敵の目前だというのに胡坐をかき始めた。すかさず男は思考を読む。
「スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!」
(……特殊な呼吸法により血液の流れに太陽の光と同じ波長の波を生み出し体温を上げることにより、全身が強化されたスーハ―モードになれば、例え動きが全て読まれても問題ありません……だと!?)
男は焦り、読んだ思考を吟味した。嘘をついている気配はない。隙を見せてカウンターを決めてやろうなどという魂胆もない。本当で本気なのだ。
男は笑った。相手はもう破れかぶれなだけだ。
「これで終わりだ!」
全力の飛び蹴りを放ちながらも、男は思考を読み続け、反撃を警戒していた。だが、最後まで幼女は呼吸に完全に集中しており、その全力の頭突きが男のみぞおちに突き刺さったときも、反撃のことなど考えていなかった。
「がはッ!?」
悶絶し、床を転げまわりながらも、男の頭は混乱し続けていた。幼女が近づいてくる。しかし彼女は全力で呼吸しているはずだ。今もそうなのだ。
「がッ!?」
無造作なサッカーボールキックを腹に受けるが、幼女は呼吸だけに全力で集中している。
「なん、で?」
蹴り飛ばされ、空いた穴の近くの壁にぶつかった男は、無意識にそう呟いた。
「俺達だからだ」
男はその言葉の意味を理解しようとしたが、それよりも早く終わりが来た。
『やっちゃってくださいリンさん!』
「くらいやがれ、美幼女ビーム!」
極彩色の光線が、偽幼女を吹き飛ばした。
太陽の光が天高くから壁に空いた穴を通してリンに降り注いだ。しかし体育座りする彼の頬が赤いのは、それが理由ではない。上がったテンションのまま、決め台詞を吐いてしまったからだ。
「……恥ずかしい」
『かっこよかったですよ』
「そんなことない」
『偽物が心を読んでいるとリンさんが気づいたから勝てたんです。実際かっこよかったんですよ』
リンは更に赤さを増した頬を隠すように、膝に顔を埋めた。七日目である。
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