第07話 姉弟相続と凍結するATM

10万馬力の鉄腕ATM

何となく、次回作の原案は決まっていた。

表題『彼は誰時のカシューナッツ』主人公:賀集夏生

主題「終活についてのエッセイテイスト現代ドラマ」

「終活」が「生活」の中心に在る。

このスペースは男女の恋愛がテーマであるにも関わらず。

義母は義父と連れ添った50年を悔いていると言い出した。

私の50年を、返してくれ、と……。


主人公は年下彼女で、吾輩は、もう二週間近く言葉を交わしていない。

「失業」じゃなくて「離職」だと周りには吹聴して来たが

「離職」と宣言した通り、明日「復職」しようと思っている。

理由1:義母の検査が大体終わり、治療が始まったこと。

理由2:義父はいつでも駆け付けられる圏内にいること。

(福祉サービス全活用により、他者の目が光る位置に居て

大統領が持ち歩くような謎のボタンまで準備された)

「謎のボタン=」どこと繋がっているか不明なボタン。

多分、一番近い医療機関と内通しているものと思われ。


義母の病気は明かさないと言ったが「MCNS」とメモ帳にあった。

腎臓の疾患だが知りたい人は検索しても良いと思う。

情報の拡散が人命を脅かすとは思えないから。

原因が不明で投薬の検討が立たない方が、よっぽど危ない。

血液検査は完全には終わっていないが

永年のデータで先ず治療方針は間違っていないと言えるそうだ。


毎日、我妻さんと運動がてら地方銀行に行き

1日の限度額程、ATMで引き出して帰っている。

未だ生きているので家賃など諸々の費用は引かれるが

凍結に遭わない処置をしている。

吾輩の実母は反対論者で、姉弟相続を受けるべきと言っているが

我妻家の財産をどうするかは長女が決めるべきだと思う。

無論、使う為に引き出して居るのでは無く

管理する為に手元に準備しておく。

これも我妻家の幕引きを手伝う「終活」なのだと信じて。

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